「都心では物価が高いので、生活していくのが大変だ」または「地方は物価が安いので、生活費が都心に比べてあまりかからない」と世間で言われていることは、本当なのでしょうか。 お金の扱い方について、都心部と地方部では、違いがないのでしょうか。

連載コラム「地方の生活コストは本当に安いのか?」では、ファイナンシャル・プランナーの高鷲佐織が、実際に東京と地方、両方の生活を経験して感じたことを交えながら、お金に関する情報などをお伝えいたします。

「東京23区は家賃が高い!」と、以前から言われていますが、この数年でさらに家賃が上がっているように思います。アットホームの調査によると、2025年10月における東京23区の賃貸マンションの平均募集家賃の金額は、単身者向け(30㎡以下)物件で、10万円超(104,594円)というデータがあります。

特に、港区、中央区、千代田区、渋谷区、新宿区、目黒区などの都心部においては、人気があるため家賃が高騰しているようです。都心部のみならず、全国的に家賃の金額は上昇しています。大学等の入学により親元を離れて一人暮らしをする予定の子がいる世帯では、教育費の出費のみならず、子の家賃負担も家計を圧迫する可能性があります。そこで、今回は、一般的な賃貸物件よりも家賃が安く、かつ、設備やセキュリティ管理も整っている「学生マンション等」に注目してみたいと思います。

学生のための住居というと、以前は「学生寮」という名前が主流だったと思いますが、 現在では、学生マンション、学生寮、学生会館と大きく3つの呼び名があるようです。学生対象の住居という意味ではいずれも同じです。学生マンション、学生寮、学生会館の特徴は以下のとおりです。

学生マンション

学生を入居者対象としており、部屋には、バスやトイレ、キッチンなど一般的なマンションと同様の設備が備え付けられている。ただし、食事つきではないマンションが多いため、食事が付いていない場合は、自炊もしくは外食となり、食費は別途負担することになる。オートロックや防犯カメラなどの防犯設備が充実している。

学生寮

学校が提供する学生向けの寄宿舎で、バスやトイレ、キッチンなどは共同で使用する物件が多い。食事つきが多く、朝夕の食事が提供される。寮母さんや管理人が常駐している。

学生会館

企業が運営する学生専用の寄宿舎で、バスやトイレ、キッチンなどがある部屋を選択できる物件もある。食事つきが多く、朝夕の食事が提供される。

学生マンションは、門限がなく、家族や友人の訪問や宿泊もできる物件が多く、自由度が高いのが特徴です。一方、学生寮や学生会館は、門限や外泊の規則など共同生活のルールが定められていることが多いです。家賃は、学生マンションのほうが、学生寮や学生会館に比べて高めです。

企業が運営している場合、以下のような運営会社(物件)があります。

1.学生会館ドーミー

特徴:
現地の厨房での手作りされたできたての料理を食べることができる。
完全個室で必要な家具が備え付けられている。
共用キッチン、複数台の洗濯機(無料)、大浴場(一部)などの共用設備あり。

2.UniLife学生マンション

特徴:
防犯カメラ付きオートロックや防犯キー、24時間サポート体制の管理センターなどセキュリティ面が手厚い。
女性学生専用マンションや女性専用(優先)フロアがある。

3.TOKYO Student-House(学生会館)

特徴:
館長夫婦やフロントスタッフが24時間常駐し、来訪者の入退館を管理し、施設内を巡回しているので、不審者の侵入を未然に防ぐことができる。
入居者同士のコミュニケーションが広がるように多彩なイベントがある。

終わりに

学生マンション、学生寮、学生会館では、合格発表前でも申込や仮予約ができる場合が多いので、受験する段階から、物件の空き状況を確認しておくとよいでしょう。

住居に家具や家電が付いている部屋の場合、初期費用を抑えることができます。また、通信環境は自宅学習する上で重要です。Wi-Fiを利用できる物件がほとんどですが、部屋でのWi-Fi通信状態が悪い場合、どのような対応をしてもらえるのか等、通信状況について事前に聞いておくとよいでしょう。