今の缶詰人気に一役買っているのがデザインです。昔は中身を写真で表していたけど、今ではイラストで描かれていたりしてとても可愛い。「ラベルだけで選んじゃうことあるよね」などと話していると、「実は僕もジャケ買いしてます!」と缶詰博士がカットイン。ジャケ買いって博士、レコードじゃないんですから。
博士によれば、デザインでもっと先を行っているのが外国の缶詰だそうです。そこで今回は、博士がほれ込んだ外国缶詰を6種類ご紹介します。
愛らしさ
1番バッターはポルトガルであります。乾物の塩ダラを柔らかく戻してほぐし、オリーブオイルに浸けたパテの缶詰であります。
正面の黄色いシール以外は、まるでモザイクのタイルのようなデザイン。何と愛らしいことか。このシリーズはほかにもオイルサーディンやツナがあって、観光客のお土産として大人気だそうだ。※日本未発売
品格
同じポルトガルの缶詰でも、このツナ缶はとてもカッコいい。何というか、品格を感じるデザインであります。彼の国はかつて世界の海を股に掛けた海洋王国であり、その王国的な雰囲気が紋章や書体に表れております。※日本でも入手可
三幸貿易(ヤフーショッピング)
ミニマル
ポルトガルのお隣スペインには、こんなに美しい缶詰がある。白地にあんこうが描かれ、他は最低限のインフォメーションのみ。まさにミニマルデザイン。
中身は何と、あん肝。もみじおろしをかければ、それこそ日本酒にばっちり合うという、まことに不思議な外国缶だ。※日本でも入手可
ATS-FOOD直販サイト
分かりやすさ
この赤いタータンチェックを見れば、どこの国の缶詰かお分かりだと思う。そう、イギリスであります。"いかにも"なデザインではあるけど、分かりやすさというのも大事でありますね。
中身はハギスという伝統料理で、羊の内臓を煮込んだもの。オートミールも入っているので食感はねっとりしており、味付けは塩とこしょうのみ。※日本未発売
マチス風
これはフランスのバターサーディンの缶詰。オイルサーディンはオイル浸けだけど、これはバターに浸けてある。
キッチンに立つメイドさん(?)の袖とかスカートの描写がアンリ・マチス風なのが素敵。そういえばマチスもフランス人でありました。※日本でも複数のネットショッピングで入手可
牧歌的
こちらはフィンランドの缶詰。ニジマスを燻製にして油浸けにしたもので、大雑把に申せばスモークサーモンのようなものだ。イラストでは燻製小屋から煙が出ていて、その背景に川と森と空。いかにも北欧チックな風景が描かれている。※日本未発売
こうして並べてみると、イラストや文字でデザインされた缶詰はやはり可愛いし、美しい。中身が何だかぜんぜん分からないのもご愛嬌である(フィンランドの缶詰とか)。
対する日本の缶詰も、ここ数年でデザインが多彩になってきた。次の機会にはそんな日本のデザイン秀逸缶を紹介したいと思う。乞うご期待!
黒川勇人/缶詰博士
昭和41年福島県生まれ。公益社団法人・日本缶詰協会認定の「缶詰博士」。世界50カ国以上・数千缶を食している世界一の缶詰通。ひとりでも多くの人に缶詰の魅力を伝えたいと精力的に取材・執筆を行っている。テレビやラジオなどメディア出演多数。著書に「旬缶クッキング」(ビーナイス/春風亭昇太氏共著)、「缶詰博士が選ぶ!『レジェンド缶詰』究極の逸品36」(講談社+α新書)、「安い!早い!だけどとてつもなく旨い!缶たん料理100」(講談社)など多数。
公式ブログ「缶詰blog」とFacebookファンページも公開中。