映画「魔女の宅急便」にはニシンを使ったパイが出てきます。「パイには肉でしょ。魚なんて!?」と思ったけれど、食べてみるととても美味しい。案外、自分が常識と思っていたことが単なる思い込みだったことを知った瞬間でした。そこで今回は常識を打ち破る魚のオムレツをご紹介。缶詰を使えば缶た~んですよ!

  • 極洋の新商品「いわしのトマトパッツァ」

    極洋の新商品「いわしのトマトパッツァ」

スペイン風オムレツとは

いきなり結論でありますが、これがイワシ缶を使ったスペイン風オムレツ。たまには時系列を逆さまにして進行してみようと思う。

  • ということで、話は最初に戻って完成品!

    これがイワシのスペイン風オムレツ

スペイン風オムレツとは、基本的にはじゃがいもがたっぷり入った卵焼きのこと。両面をしっかり焼いて仕上げるのが特徴で、おかげで表面がかりっと、中はふわっとしている。いわゆるとろとろ系オムレツとは対極の食感だ。

水産大手・極洋が3月15日に発売した「いわしのトマトパッツァ」が、今回のオムレツの主役であります。トマトパッツァは「トマトソース煮」の意味。一度焼き上げたイワシを、にんにくを利かせたトマトソースで煮込んであるのだが、このトマトソースは何とカゴメ製。つまりこれは極洋とカゴメの異業種コラボレーションで実現した缶詰なのだ。

イワシだって認めて欲しい

このイワシの太さを見ていただきたい。完全なメタボ体系、というと聞こえが悪いが、つまりは脂がたっぷり乗ったイワシということ。この脂は不健康なわけではなく、逆に人間の健康にいいと言われているDHA・EPAが含まれている。最近のサバ缶人気はこのDHA・EPAが手軽に摂れるからなのだが、それならイワシだって負けてない。おまけにイワシは近年豊漁なので、どんどん積極的に食べたいものだ。

  • 魚はメタボがよし

    魚はメタボがよし

で、その缶詰の中身をトマトソースごとボウルに開けて、ざくざくとほぐしてやる。青く輝く魚体を崩すのは気が引けるが、このひと手間が美味しさの素であります。やがてイワシがトマトソースを吸って、汁気が少なくなればOK。並行作業として、新じゃがの皮をむき、ざく切りにしてから多めの油で炒めておくのがうまい手。

  • 思い切って崩す

    思い切って崩す

先ほどのボウルに炒めたじゃがいもと全卵を入れて、よく混ぜる。今回はじゃがいも2コ、卵3コ、いわしのトマトパッツァ2缶を使ってたっぷり4人分を作っております。

  • 具はイワシとじゃがいも

    具はイワシとじゃがいも

フライパンに油を熱したところにボウルの中身を開ける。最初は強火で、あとから中~弱火で。フタをして8分~10分くらい火を通したら、ヘラの先をオムレツの下側に差し込んでちょいと持ち上げ、焼け具合を見てみよう。

  • うまいことひっくり返そう

    うまいことひっくり返そう

全面に香ばしい焦げ目がついていたら、フライパンに皿を被せて、思い切ってひっくり返す。その皿からオムレツをスライドさせるようにしてフライパンに戻し、反対側も香ばしい焦げ目が付くまで焼けば缶成!

  • ということで、話は最初に戻って完成品!

    これがイワシのスペイン風オムレツ

ということで、話は最初に戻るのだ。 トマトソースが焦げた素晴らしい香り。それを切り分けて口に運べば……。じゃがいものさっくりした歯触り。いわしの香ばしさ。それらをまとめる濃厚トマトソース入りオムレツ。ミニマルな材料でうまみMAXであります。

日曜の夜に多めに作っておけば、翌日には「いわしのスペイン風オムレツを挟んだサンドイッチ」という、非常に説明しづらいお弁当も作れますぞ。

缶詰情報
いわしのトマトパッツァ / 極洋
価格 税別180円程度
スーパー、一部のコンビニ、通販サイトなどで購入可

黒川勇人/缶詰博士

昭和41年福島県生まれ。公益社団法人・日本缶詰協会認定の「缶詰博士」。世界50カ国以上・数千缶を食している世界一の缶詰通。ひとりでも多くの人に缶詰の魅力を伝えたいと精力的に取材・執筆を行っている。テレビやラジオなどメディア出演多数。著書に「旬缶クッキング」(ビーナイス/春風亭昇太氏共著)、「缶詰博士が選ぶ!『レジェンド缶詰』究極の逸品36」(講談社+α新書)、「安い!早い!だけどとてつもなく旨い!缶たん料理100」(講談社)など多数。
公式ブログ「缶詰blog」Facebookファンページも公開中。