最近はかわいいデザインの缶詰が多いですね。缶詰博士に話を聞いてみると「女性が開発を担当するケースが増えたんです」とのこと。思わずジャケ買いしそうになるし、SNS映えもばっちり。やっぱり女子パワーは大事!

「今旬なのはこれ。見た目だけでなく中身も女子パワーが詰まってます」。そういって博士が取り出したのは、まるで外国の缶詰のようなツナ缶でした。

  • 三洋食品「リエッツナ」。ツナのリエットという造語(写真:マイナビニュース)

    三洋食品「リエッツナ」。ツナのリエットという造語

とがってます

静岡はツナ缶の一大生産地。なんと国産ツナの99%近くが静岡で造られているのだ。ゆえにツナ缶の造り手がたくさんあって、それぞれが「ウチが一番おいしい!」と味を競っている。

そんな中で独自の道を歩んでいるのが「三洋食品」。ドライフルーツやナッツを合わせたオリジナリティーあふれるツナ缶を造っていて、中でも2018年4月に発売された「リエッツナ」シリーズはすごい。ツナをリエット風にしたもので、「ローストアーモンド&黒胡椒」「スモークチーズ&レモン」「ケッパー&ローズマリー」の3種類がある。

ちなみにリエットとは、肉類を煮込んで脂といっしょにペーストにしたもの。フランスではパンと一緒に出されるのが定番だ。

  • ローストアーモンド&黒胡椒の外観

    ローストアーモンド&黒胡椒の外観

味の想像がつかない

3種類のうちのローストアーモンド&黒胡椒を見てみよう。パッケージにはバゲットとともにエスプレッソマシーン、コーヒーカップが描かれている。明らかに朝食シーンであります。「パンを素敵に!」とのキャッチコピーは、いつものトーストをオシャレにしてみませんかという提案なのだ。

それにしても、ツナにアーモンドと黒胡椒とはいったいどんな味なのか? まったく想像できませぬ。

  • ローストアーモンド&黒胡椒の内観

    ローストアーモンド&黒胡椒の内観

欧米か?!

本日もご唱和ください、開缶! っと、フタを開けたとたんに立ち昇ってきたのはスパイシーな力強い匂い。思わず「欧米か?!」と懐かしいつっこみを入れてしまう。

ツナ、アーモンド、黒胡椒のほかにんにくの匂いもある。まるでビスロトで出されたリエットのように本格的だ。

  • 食パンに塗ってみる

    食パンに塗ってみる

ますます欧米化

軽く焦げ目をつけたトーストに塗ってみた。ツナはきめ細かく、かつクリーミーなので広げやすい。スパイシーな匂いがさらに拡散し、再び「欧米か?!」と突っ込んでしまう。

  • 素敵なパンになった

    素敵なパンになった

本格派

かくのごとし。いつものトーストがちゃんと素敵になりました。

たっぷり塗ったところを頬張ると、まず口中に広がったのはクリーミーな脂分。ツナの脂だけではこうはいかないが、原材料を見て納得。生クリームも入っているのだ。アーモンドの粒々もいい食感で、そのベースに黒胡椒の辛みと、食欲を持続させるにんにくの味がある。

ふと思いついて赤ワインと合わせてみたら、相性ばっちり。つまり朝だけでなく夜も素敵になっちゃうツナ缶なのであります。

かなりおいしいツナのリエット缶だが、入手が難しい。確実なのは三洋食品の焼津工場2階の直売所であります。僕はたまたま新東名高速道の静岡サービスエリア内「缶詰王国静岡」という売り場でゲットできた。まさにご当地缶詰なのであります。

缶詰情報
三洋食品/リエッツナ(3種類)
希望小売価格 280円(税込み)
同社の焼津工場直売所などで購入可

黒川勇人/缶詰博士

昭和41年福島県生まれ。公益社団法人・日本缶詰協会認定の「缶詰博士」。世界50カ国以上・数千缶を食している世界一の缶詰通。ひとりでも多くの人に缶詰の魅力を伝えたいと精力的に取材・執筆を行っている。テレビやラジオなどメディア出演多数。著書に「旬缶クッキング」(ビーナイス/春風亭昇太氏共著)、「缶詰博士が選ぶ!『レジェンド缶詰』究極の逸品36」(講談社+α新書)、「安い!早い!だけどとてつもなく旨い!缶たん料理100」(講談社)など多数。
公式ブログ「缶詰blog」Facebookファンページも公開中。