エンタメライターのスナイパー小林が、テレビドラマでキラッと光る"脇役=バイプレイヤー"にフィーチャーしていく連載『バイプレイヤーの泉』。

第14回は俳優の竹内涼真さんのことを書いていきます。現在ドラマ『下町ロケット』(TBS系)に立花洋介役で出演中の竹内さん。本作品は2015年にも放送、今回が続編。前作は名前も知られていなかった佃製作所で働く彼が、3年後にビューネくん、国民的彼氏と女性を惑わす名称を携えて戻ってきました。この数年の間にどんな成長があったのかをプレイバックしてみましょうか。

たったの3年間とは思えない急成長。このベクトルの行方は……?

竹内涼真

竹内さんが出演している『下町ロケット』の立花洋介役は物語の舞台となる、佃製作所に勤務する技術者だ。ロケット開発に従事していたはずが、社長の佃航平(阿部寛)がふとした好機によって、無人農業ロボットの開発に転換する。立花はトラクターに使われるバルブの開発チームの一員として勤務中。予算や人事などでトラブルは続き、思うようには進まない開発に社員全員が痺れを切らす中、立花はチームリーダーとも反りが合わずになお苦戦中……というのが竹内さんの役どころ。

3年前、佃製作所がロケット開発をしているときに立花洋介がどんな役をしていたのか記憶にある人は少ないと思う。それもそのはず、竹内さんは特撮ヒーローの出演を経て、ゴールデンタイムの民放ドラマにはほぼ初出演。身長の高いイケメン、くらいの印象しか残っていなくても当然なのだ。でも2015年以降、彼の快進撃は続く。

2016年出演の『時をかける少女』(日本テレビ系)の朝倉吾朗役。私はこの役の印象が強い。学生服で爽やかなミントの風を吹かせまくっていた竹内さん。友人の未羽を好きになってでもなかなか言い出せないという青春をドンズバで描いた世界観にうっとりした。オリンピック中継のため、ドラマがたったの5回しか連続放送しなかったことが悔やまれる。もうちょっと甘酸っぱい雰囲気を引き延ばして欲しかった。

そして2017年に竹内さんの人気にバッコーンと火が付く。連続テレビ小説『ひよっこ』(NHK総合)でヒロインの初恋の相手・島谷純一郎役として出演。前出の朝倉くん以上の爽やかさを漂わせて、幅が広すぎる年齢層から愛される事になる。ただ実際のところは、愛よりも実家を選んでしまう結末になぜか私が泣いた。いや全国の奥様方も泣いていたと思う。

同時期に『過保護のカホコ』(日本テレビ系)にも出演。島谷くんは上品さしか残らないチャンボツなのに、この作品の麦野初役はいい感じのクズ男。金のためなら女もだます、貧乏学生。ただアコギな心もヒロインの加穂子(高畑充希)の純粋さによって、初の奥にあった真っ直ぐで淀みのない心が取り戻していく。

「(加穂子に)これ以上自分を責めるな! 思いっきり泣いて忘れろ」

「オレにはおまえが必要なんだよ」

「(交際を反対する加穂子のママに)イヤです! 娘さんと会えなくなるのはイヤです!!」

女性に生まれたら一度は言われたいセリフの連打にドキドキさせられた。そして合間に私もどこにいるのかと捜索願いを何度か出した『薬用ビューネ』CMの四代目ビューネくんとなる。爽やかさと実直な男らしさが交互に顔を出してくるギャップにファンは増量。この合間に映画も出演しているらしいが、私の主戦場がドラマなのでそこまでは追えず、悪しからず。

竹内さんは大手事務所所属の俳優さんだけど、ただそれだけが理由ではここまでのジャンプアップは望めない。才能、運と呼ばれるものが彼を包み込んでいたんだろうと妄想する。

あの子犬っぷりは思わずモフりたい衝動にかられる

竹内さんを単純にすごいな、と思うのは185㎝の高身長なのに「可愛い♪」と女性に思わせてしまう素質があること。あざとい表情、仕草そういうものなら普通の俳優さんでも持ち合わせている。でも一線を画すのは顔に似合わず、必要以上に"おしゃべり男"だということ。

うっすらとした記憶なのだけど去年、彼が事務所の先輩である和田アキ子さんの番組にゲスト出演した時のこと。確か視聴者サービスで「メリークリスマス!」と言うことをリクエストされていた。こういうシーンだと俳優さんは照れるものなのに

「こんな僕でよかったらいくらでも(メリークリスマスを)言います!」

と堂々と発言。普通に見ていた私は「なんていい子なの!」と叫んで反応した記憶がある。ひょっとしたら先輩にブルっていただけかもしれないけれど、彼の好感度が急上昇した瞬間だった。他のトーク番組でも自分のことをギャグで「いや~、僕かっこいいんですよ」などというニュアンスで発言、まずビジュアルで笑いを取りに行こうとするシーンを何度か見た。こういう面白さは狙って出るものではなく、真っ直ぐな性格も大きく関わってくる。やろうと思ってできるものではない。

一歩外すと"おしゃべりクソ野郎"ゾーンに足を踏み入れてしまうのに、そうならないのは360度、どこから見てもかっこいいから。もうこれに尽きる。ついでにプロサッカーチームのユースだったなんてもう、少女マンガのヒーローがそのまんま飛び出してきたような錯覚に陥らせてくれる竹内さん。他にも武道館で開催された『WADA fes』~断れなかった仲間たち~』にゲスト出演した彼を見かけた。会場中の女性がものすごいボリュームの黄色い悲鳴で彼の虜に……など大してファンでもない私でさえからも次々にエピソードが出てくるので、やっぱり彼はスターなのだとしみじみ。

当たり前のように俳優としてのキャリアも止まらない。2017年には『陸王』『プラックペアン』(ともにTBS系)に出演。もうTBS日曜21時放送のドラマ枠の顔である。ふと思った。現在25歳の彼がこの放送枠の主演を張る日も近いのだろうと。

スナイパー小林

ライター。取材モノから脚本まで書くことなら何でも好きで、ついでに編集者。出版社2社(ぶんか社、講談社『TOKYO★1週間』)を経て現在はフリーランス。"ドラマヲタ"が高じてエンタメコラムを各所で更新しながら年間10冊くらい単行本も制作。静岡県浜松市出身。正々堂々の独身。