ネット社会の現代では、グルメのブームに火が付くのも"SNSがきっかけ"ということも多い。ここでは、流行に乗り遅れないために知っておきたいSNSで話題の"バズるグルメ"をご紹介。トレンドに敏感なクライアントや同僚たちの前で恥をかかないように、しっかり話題のグルメを押さえておこう。第21回は「#フルーツ大福」。
フルーツ大福とは?
人気の定番和菓子の一つ、大福。中でもいちご大福は見た目もかわいらしく、普段和菓子を食べない若者にも人気で、コンビニでも気軽に買える。最近はいちごだけでなく、みかんやさくらんぼなど、様々な旬のフルーツが大福になって、SNSで話題となっている。果物が丸ごとたっぷり入っている分、普通のあんこの大福よりも軽く、さっぱりとジューシーなので、老若男女問わず人気なのだ。
Instagramでは「#フルーツ大福」の投稿が約37,000件も(2020年3月現在)。それらの投稿には「#萌え断」(約150,000件)、「#フォトジェニックスイーツ」(約28,000件)というハッシュタグも一緒に入れられているものが多い。おいしさに感動する声とともに、「カットして並べるとカラフルでかわいい」というコメントも目立つ。中のフルーツは基本的にフレッシュなものばかりなので、旬の時期だけの特別感、食べるのがもったいないほどの美しいビジュアルが、最近のフルーツ大福の人気の要因になっている。
一度は食べたい幻の白桃大福! 大阪「一心堂」
大阪府内と兵庫・神戸市に4店舗を構える「一心堂」は、60年以上の歴史をもつ老舗和菓子店だ。自慢のいちご大福や、旬の果物を生かしたジューシーなフルーツ大福を毎朝手づくりしている。安心で安全な素材を使用し、手間ひまかけて作られる大福を目当てに、地元住民や大阪土産を求める人で行列が絶えない人気店だ。
自慢のいちご大福は色んな味わいを楽しめるようにと、白あんや練乳など全7種類。一方、フルーツ大福は期間限定品を含めると30種類ほど。中でも注目なのが「幻の大福」といわれる「白桃大福」。毎年6月~9月頃に販売される。販売統括部長 西川綾香さんは、「お客様にこんな大福が欲しいといわれ開発し、1984年から販売しています」と説明する。
「白桃大福」はおいしい状態で食べてもらうため消費期限が「当日」と短く、店頭販売のみ。平日の早い時間でも売り切れるので、地元のお客でも入手困難なようだ。「桃の果汁が、周りの白あんとぎゅうひに溶け合い、とろけるような食感です。ぜひ、冷たい状態でお召し上がりください」(西川さん)。一口頬張るとあふれだすほどの桃の果汁に驚く人が続出。SNSでも「白桃大福がおいしすぎてやばい! 」、「何個でも食べられる」といった興奮気味のコメントが目立つ。
同店でもう一つ注目を集めているのが、2018年から販売している5月の母の日向けに限定販売される「さくらんぼ大福」だ。「国産の完熟大粒さくらんぼを贅沢に2粒使い、自家製さくらんぼ餡と、つるっと口どけの良い生地で包んでいます」(西川さん)。
淡いピンク色のかわいい見た目、甘酸っぱい果肉、つるんとした食感の大福に、若い女性のファンが多い。少々高めだとしても旬の時期にしか食べられない特別なおいしさに、思わず買ってしまう人が多いようだ。白桃以外のフルーツ大福はオンラインストアで購入可能だ。
大福を綺麗にカットする裏技も! 名古屋「弁才天」
昨年10月、名古屋の覚王山にオープンしたフルーツ大福専門店「弁才天」は、オープン後またたくまに行列必至の人気店となった。覚王山の本店以外では、今年3月7日にオープンしたばかりの上前津店も含め、今春だけで5店舗がオープン予定と、勢いがある。異業種から和菓子業界に飛び込んだオーナーの大野淳平さんは、独自の目線で全国のフルーツ大福を実食し、研究を重ねて開業した。
「ぎゅうひと白餡の加糖は極力控え、シンプルで素朴な味に仕上げることで、中のフルーツのおいしさを引き出しました」(大野さん)。そのため、ぎゅうひには高級羽二重粉を100%使用し、厳選した白豆で白餡を作り、毎朝市場から届く旬の果物を丸ごと手包みしている。
Instagramで「#弁才天」と検索すると「#萌え断」というハッシュタグもついていることが多い。同店のフルーツ大福には、きれいにカットするための秘密兵器「餅切り紐」がついてくるので、萌え断を撮影しやすいのが魅力のポイントにもなっているのだ。
「一人だと一度に食べられるのは2個くらい。でも、きれいにカットすればみんなでシェアして食べられる。大きな無花果大福だと、1個を4人で食べてもいい」と大野さん。「餅切り紐」には大福をみんなで分け合って食べて欲しいという願いも込められているようだ。
他にも評判なのが、大福を入れる箱や紙袋などのパッケージ。高級感のあるデザインに「手土産にぴったり!」との声が多く、お客の7~8割は地元のシニアやマダム、経営者だという。挨拶回りやママ会などの手土産にする人が多いとのこと。SNS人気に加えて、地域の人からも愛される店になっているようだ。
新しい大福の美味しさを堪能できて、SNS投稿も楽しくなるカラフルなフルーツ大福。ギフトはもちろん、自分へのご褒美にもぴったり。様々な味のバリエーションが出てきているので、今春、自分好みのフルーツ大福を探してみてはいかがだろうか。