仕事でメールを使うとき、用件を伝える、連絡するための手段だから「挨拶は必要ない」という方がいらっしゃいます。また、相手に失礼がないようにと気遣うばかり「どんな挨拶がふさわしいのか」と悩む方も多いようです。

ビジネスマナーでは「挨拶はコミュニケーションのスタート」と言われます。「相手と良いコミュニケーションを取ることができるように」「相手に良い印象を与えることができるように」メールではどんな挨拶がふさわしいのでしょうか。

  • ビジネスにふさわしいメールの挨拶(画像はイメージ)

そもそもメールに挨拶がなぜ必要なのか

LINEやメッセンジャーなどでのコミュニケーションに慣れてしまうと、仕事でのメールにも挨拶は必要ないと思う方がいらっしゃいます。しかし、ビジネスで使うメールは単なる連絡手段ではなく、取引先やお客様など関係性を考えて使う必要があるコミュニケーションアイテムです。

取引先の担当者に会ったとき、挨拶をしない方がいるでしょうか?
お客様に電話をするとき、いきなり用件を話し出すでしょうか?

そうやって考えると、やはりビジネスメールには最低限の礼儀「挨拶」が必要だということが分かってきます。

仕事で使うのならば、印象の良い挨拶を使いたいものです。しかし、取りあえず丁寧な挨拶をしておけばよいということで、「平素より格別のご高配を賜り、誠にありがとうございます」なんて挨拶を書けば、堅苦しいというか、かしこまったというか「そんなにすごいことをしていませんよ」と嫌みに受け取られる可能性もあります。

どんな挨拶がふさわしいのか

毎回「お世話になっています」という挨拶文では印象が良くないのではないか。どんな挨拶が良いのかと質問を受けることがあります。

「いつもと違う挨拶言葉を書きたい」と思うのならば、「今からこの人と電話をするときに、どのような挨拶をするだろうか」と考えてみると、シチュエーションに合った挨拶言葉が見つかると思います。

一般的な電話の会話では「お世話になっております。○○商事の山田です」という挨拶から始まります。久しぶりの方に電話をかけるのであれば「ご無沙汰しております。○○商事の山田です」と言います。

つい先ほど、10分前に電話をしたのに、言い忘れたことがある場合なら「度々の電話で失礼いたします。○○商事の山田です」となります。

この、電話での挨拶をそのままメールに当てはめてみましょう。

いかがでしょうか。電話での挨拶言葉とメールでの挨拶言葉。違和感がありません。

相手にふさわしい挨拶を使う

メールは受け取り手がどのような印象を受けるかがポイントになりますので、相手からのメールに気を付けることも必要です。

例えば、いつも相手が「平素より大変お世話になっております。△△工業の佐藤でございます」というように、少し硬いな、丁寧だなと感じる挨拶言葉の方であれば、普段は「お世話になっております」という一般的な挨拶にしていても、「いつも大変お世話になっております」というように少し丁寧な印象の挨拶言葉を書くと良いでしょう。

挨拶はもちろんメール全体の印象など、相手のレベルに合わせることができると、相手から見て違和感のないメールを書くことができます。

社内・身内あてのメールの挨拶をどうするか

上司、同僚など社内でのメールのやり取りであれば、「お世話になっております」という挨拶では違和感を覚えます。ではどのような挨拶が良いでしょうか。

廊下ですれ違うときをイメージしてみてください。上司と廊下ですれ違うとき「お疲れさまです」の一言とともに軽く会釈をするのではないでしょうか。メールも同様に「お疲れさまです」の挨拶で十分でしょう。また、朝の早い時間であれば、「おはようございます」という挨拶で始まるのも良いと思います。

お客様、取引先だけではなく、上司や同僚など身内に対してもふさわしい挨拶を使うようにしましょう。

花井美代子

花井美代子

一般社団法人日本ビジネスメール協会認定講師。
三重県津市出身。日本福祉大学卒業後、映像制作会社、広告会社の経理、総務、人事を経て2007年から2014年まで治験施設支援機関の取締役に就任。退任後、従業員教育の専門家として独立。一般社団法人日本キャリア・マナーサポートコーチング協会認定講師・コーチ。取締役として人事・社内教育に携わった経験に基づき、経営(管理)サイド「自社の従業員にどのような知識とマナーを身につけてほしいか」と従業員サイド「どのような知識マナーを身につけ社会・企業に貢献したいか」両方の視点から見たビジネスマナー教育・スキルアップ教育、またすべてのビジネスパーソンが自分らしく働ける意識改革のサポートを日々心がけている。ビジネスメール、ビジネスマナーの研修はもちろん、ユニバーサルサービス、医療機関の接遇研修など幅広く活動中。

日本ビジネスメール協会

日本で唯一のビジネスメール教育専門の団体。ビジネスメールに特化した講演・研修などの事業を10年以上前から行っており、これまでにメールに関する書籍を中心に27冊出版(内2冊は翻訳され台湾で出版)。メディアには1,000回以上登場し、ビジネスメールについて情報発信してきた。仕事におけるメールの利用状況と実態を調査した「ビジネスメール実態調査」を2007年から毎年行っており、本調査は、日本で唯一のビジネスメールに関する継続した調査として各メディアで紹介されている。ビジネスメールに関する研修(講師派遣)や講演(公開講座)を実施。2時間でビジネスメールを学ぶ、「ビジネスメールコミュニケーション講座」は東京を中心に毎月開催。研修の問い合わせも受け付け中。