日本ビジネスメール協会が毎年行っている「ビジネスメール実態調査」。2017年6月2日に発表した2017年版によると、受け取って不快に感じたメールの第1位は「質問に答えていない」(35.59%)です。質問があるからメールを送っているにもかかわらず、その件に関して回答のない返信がくれば、誰もが不快に思うでしょう。

相手が答えてくれていないことに、不快になる事例

どのような質問が、相手が質問に答えていないと思うのか。シンプルな事例をご紹介します。

あなたはチラシ100枚の送付依頼を受け、発送の準備をしています。しかしそのチラシは、依頼者とは別の部署の方が利用する旨を、事前にお聞きしていました。

そこで「郵便番号・送付先の住所・担当者の方の部署名・お名前・電話番号・受け取りのご都合の良い時間帯」について教えてくださいとメールを送りました。ところが、返信メールには、送付先の住所しか書いていなかった。こうしたケースだと「質問に答えてくれていない」となります。

不快感を強めてしまう理由。二度手間の発生、配慮がくみ取れていないことも

足りなかった情報を尋ねなければ発送ができないため、もう一度連絡するという二度手間が発生します。また、相手に手間がかからないようにと、自分は先回って必要事項をすべてメールに書き出すという手間と最大限の配慮をして、質問しているにもかかわらず、応えてくれていなません。

相手に手間をかけないように、先回って質問をするという配慮ができるメールのスキルがある方だからこそ、質問に答えていない相手のメールのスキルが低いように感じることもあるかもしれません。こうしたことから非常に不快感を強めるのではと考えられます。

わざと答えていないわけではない

しかし、相手があえてその質問に答えない、というのはビジネス上まれであり、本人は相手の質問に答えていないつもりはないでしょう。そのため、多くのケースで「答え損ね」という表現が近しいと思います。つまりは、相手のミスを引き起こしやすいメールを、こちらが書いていないかという点が非常に重要なポイントになるでしょう。

「質問に答えやすいメール」とは

例えば、何行にもわたって質問をしていたり、質問の途中に不要な文章を途中に挟んでしまっていたりしているメール(図1)。これは受信者が答えるべき情報をピックアップせねばなりません。

  • 図1

これに対して、質問事項を箇条書きで並列に書いるメール(図2)。住所以外の情報を必要としていることも、一目瞭然です。視覚的にもわかりやすく「答えそこねさせない、メールの書き方」は、こうした工夫も可能です。

  • 図2

ビジネスメールのレベルを問わず、誰でも今すぐできる改善

もちろん相手が質問に答えてくれない、と言うことは「見た目では質問とわかりにくい」場合に加えて「そもそも質問が明確でない」場合もありますが、今回の図1・図2の事例は前者のケースとしてご紹介しました。

「質問が明確でない」場合は、まずメールを送る目的意識を明確にすることから始めるので、中・上級者向けです。しかし、この「メールの見た目のわかりやすさ」に関しては、行間をあける・箇条書きにする等、誰にでも今すぐできる改善事項。これだけで、無駄なやり取りや自分の不快感を減らすことが可能になりますので、「見た目にわかりやすい質問メール」を心がけてみてください。

「ビジネスメール実態調査2018」回答受付中!(5/1まで)

本調査は、仕事におけるメールの利用実態と課題を明らかにすることを目的として、現在仕事でメールを使っている人を対象に、毎年実施しています。2007年から12年連続で行っている、日本で唯一のビジネスメールに関する継続した調査です。質問内容は約30項目。一人でも多くの方の声を集めております。回答にご協力をお願いいたします。

調査期間 2018年4月2日(月曜)から2018年5月1日(火曜)
所要時間 10分程度
結果発表 2018年6月1日(金曜)予定
回答はこちらから

長野ゆか

長野ゆか

一般社団法人日本ビジネスメール協会認定講師。
元大阪府八尾市職員。情報システム部門に在籍し、市役所内部や自治体間、教育機関、大手IT企業のSEや営業の担当者等とのやり取りを行う中で、電子メールを主なツールとして利用。また市民からのメールに対して、返信を行う総合窓口業務経験をもち、これまでの電子メールの送受信実績は、10万通を超える。整理収納アドバイザー1級認定講師(全国24名)、情報資産管理指導者等の資格をもち、オフィスの片付け・コンサルティング等を実施しており、オフィスファイリングシステムの構築を基本とし、データや電子メールの効率的な管理・共有・分類も得意分野としている。自治体、青年会議所、税理士事務所から一般の状況企業まで、ビジネスメール・ビジネスマナー・オフィスの整理収納・ファイリングセミナーなど、多数の企業研修を実施。一般公開講座としては、毎月大阪・奈良にてビジネスメールコミュニケーション講座を開催。著書に『この1冊で安心!! 新人公務員のメールの書き方』(学陽書房)がある。

日本ビジネスメール協会

日本で唯一のビジネスメール教育専門の団体。ビジネスメールに特化した講演・研修などの事業を10年以上前から行っており、これまでにメールに関する書籍を中心に27冊出版(内2冊は翻訳され台湾で出版)。メディアには1,000回以上登場し、ビジネスメールについて情報発信してきた。仕事におけるメールの利用状況と実態を調査した「ビジネスメール実態調査」を2007年から毎年行っており、本調査は、日本で唯一のビジネスメールに関する継続した調査として各メディアで紹介されている。ビジネスメールに関する研修(講師派遣)や講演(公開講座)を実施。2時間でビジネスメールを学ぶ、「ビジネスメールコミュニケーション講座」は東京を中心に毎月開催。研修の問い合わせも受け付け中。