「やらなければならないことのやるべき理由を見つけることで、 仕事だけでなくさまざまなことがやりやすくなった」。文響社の林田玲奈氏は、自身が手がけた翻訳書『人生を変える習慣のつくり方』の効果をそう語る。同書が示唆する「人生の変え方」とはどのようなものか? ビジネスプロデューサー・書評ブロガーの徳本昌大が聞いた。

  • 文響社 編集部 林田玲奈氏

    文響社 編集部 林田玲奈氏

幸せになるには毎日の習慣が大切、タイプ別の習慣の作り方とは?

文響社 編集部 林田玲奈氏

『人生を変える習慣のつくり方』(文響社 / 2016年12月発売)は、『人生は「幸せ計画」でうまくいく!』でベストセラー作家となったグレッチェン・ルービンの新著。ルービンは前著で「幸せになるための計画」を追求していたが、その中で人によって幸せになるためのやり方が異なることに気付いたという。

その違いを突き詰めていったところ、「人間には4つのタイプがある」という理解にたどり着いた。このタイプによって幸せになる方法は違い、そのためには毎日の習慣が大切で、4タイプごとに習慣の作り方が異なる―― というのが本書『人生を変える習慣のつくり方』の大きなテーマだ。

本書では「悪い習慣を良い習慣に変える」ことに注目しており、朝早く起きる、ダイエットする、タバコをやめるなど、内容は具体的で実践的なものが多い。これらの目標を達成し習慣化するにあたり、「うまくいく人もいかない人もいる。それはタイプが異なるためで、やり方を変えればいい」というのがルービンの指摘だ。

本書で挙げられる4タイプは「アップホルダー(約束を守る人)」「クエスチョナー(疑問を持つ人)」「オブライジャー(義務を果たす人)」「レブル(抵抗する人)」。この4タイプごとに適したやり方をやれば、悪い習慣を良い習慣に変えられる、とルービンはいう。

その背景には、ルービンの優しい眼差しがある。悪い習慣を直せない人はやる気が足りないなどということではなく、正しいやり方ができていないだけ。正しいやり方を実現するためにはまずは自分のタイプを知り、そのタイプごとのやり方を実践すればいいとしている。

林田氏が語る『人生を変える習慣のつくり方』の読みどころ

林田氏が本書に出会ったのは、海外のAmazonのランキングをチェックしていたときだ。ルービンは前著ですでにベストセラー作家となっていたため、本書はランキング上位に記載されていた。これを見つけた、翻訳化を進めたかたちだ。「翻訳書は硬いものも多いですが、柔らかい語り口で自身の体験を交えつつ、女性でも共感しやすい内容になっています」。林田氏は本書をこう評価する。

  • 林田玲奈氏と徳本昌大

    文響社に入社してすぐに編集部に配属されたという林田氏(左)と徳本。翻訳書には「世界中のベストの著者の最新、最高の知恵が詰まっている」と語る

ルービンは自身の経験とこれまで行ってきた人間観察や研究結果を背景に、本書で重要な役割を果たす前述の4つの分類を定義した。この4つの分類を基に、理論ではなく実践的なやり方を提示してくれるのが本書。巻末には診断テストがついており、自分がどのタイプか分かるようになっている。まず、自身のタイプを把握してから本書を読み進めると良いだろう。

診断テストでクエスチョナーだったという林田氏は、「他人からやりなさいと言われると腰が重かったが、やらなければならないことのやるべき理由を見つけることで取り組みやすくなった」と話す。

例えばジムに通おうとして、アップホルダーなら他人に宣言する、オブライジャーなら友人と一緒に行く、といった具合に、それぞれのタイプごとに異なるやり方がある。林田氏も自分がクエスチョナーとして腑に落ちたことで、正しいやり方を習慣化できるようになったという。

本書は原書に対して、日本の読者が冗長に感じないように短くはしているものの、それなりに厚みのある本だ。だが、ルービンの優しい語り口が「ブログを読んでいる感じで読みやすい」と林田氏。そのせいか、ビジネス書にしては女性の読者も多く、「自分を許していい、背中を押してくれるようなポジティブな気持ちになる」という点が評価されているという。

今の生活に問題がある、悪い習慣がついてしまった、でもそれが直せない。そんな悩みを抱えている人は、本書を手に取ってみてもいいかもしれない。

人生を変える習慣のつくり方

どんなに頑張っても変えられなかった習慣があるなら、それは努力や根性の問題ではなく、「自分の傾向」にあった方法を知らなかっただけです。共感できる実例と共に「今日から実践したくなる」沢山のメソッドを紹介。


グレッチェン・ルービン著
花塚恵 訳
定価:1,580 円+税
発行年月: 2016年12月20日