共働きの夫婦にとって、トラブルの原因になりやすい「家事分担」。夫側、妻側双方に言い分はあるものの、お互いに忙しい日々の中で、じっくり本音でぶつかり合ったり話し合ったりするのは面倒……というのが正直なところではないでしょうか。

そこで今回は、家事や育児と両立しながら正社員として働く女性たちに集まってもらい、家事分担にまつわる夫への本音を語っていただきました。

  • 夫婦共働きの女性たちによる覆面座談会を開催!

Aさん(28歳) 夫と2歳の息子の3人家族。16時45分までの時短勤務でWEB編集の仕事に携わっている。夫は20~21時には帰宅し"家事はよくやってくれている"ものの、どれも中途半端に「未完了」で終わるのが不満。

Bさん(37歳) 夫と小学生・保育園児の娘の4人家族。17時までの時短勤務で働いているが、18時まで残業していることが多い。週6で飲み会があり、残業、休日出勤、趣味などでほとんど家にいない夫のことは「同居人」と呼んでいる。

Cさん(33歳) 夫と1歳の息子の3人家族。16時45分までの時短勤務で営業サポートの仕事をしており、現在管理職として活躍。平日夜、夫はほぼ毎日飲み会に出掛けており、残業せずに帰宅する日は2週間に一度ほど。家事は「けっこう1人でやっている」という認識があるが、ほめ上手の夫のおかげか夫婦仲は良好。

Dさん(28歳) 夫と2人暮らし。妊娠中で秋に出産予定。夫婦共にフルタイム勤務でお互い19時には帰宅していることが多い。子どもができてからの家事分担に不安を抱えている。

夫がやらなくて当たり前になっている家事が多すぎる

――夫婦間の家事分担、現在の状況を教えてください

Aさん: 「保育園の送りと食器洗いが夫の担当です。それから、洗濯物は置いておくとたたんでくれますし、子どものおもちゃが散らばっていると片付けてくれますね。夫の方が長い時間働いているし、お給料もたくさんもらっているので、私の家事負担が多いのは納得しています。ただ、食器は洗うけど生ゴミは残っていたり、調理器具の収納場所を間違えていたりと、全部が中途半端に未完了で気になります


――生ゴミの処理などは、一番やってほしい部分ですよね

Aさん: 「でも指摘すると『後でやろうと思ってた』と言われたり、『はいはい、やりますよ』ってすねられたりして余計面倒なので、黙って自分で処理しちゃうことは多いです」


  • 「下手にすねられるくらいなら自分で家事を処理するほうが楽」と語るAさん

Cさん: 「うちも、細かいところは結局私がやっていますね。土日の徹底的な掃除は夫の担当になっているのですが『家の掃除は俺が全部やっている』と思われているのがちょっと納得いきません。例えば排水溝をきれいにするとか、三角コーナーをきれいにするとか、日々の細々とした掃除を全部やっているのは私ですけど……と思います」


  • 日々の細々とした家事、いわゆる「名もなき家事」を夫に認識されていないモヤモヤがあるとか

――そういった細々とした家事をやっていることをアピールしたり、やってほしいと頼んだりすることはないんですか?

Aさん: 「アピールしたいけど、アピールすると"細かいオンナ"とか"ちっちゃいオンナ"とか思われる気がして言いづらい。しかもやってもらってもちゃんとできないから、結局自分がやった方が早いという結論に至ります


Cさん: 夫がやらなくて当たり前になっている家事っていっぱいありますよね。実はこの前、ゴミの仕分けとゴミ出しを私がやるのが、あまりにも当たり前になってしまっているなと思って、瓶ゴミと缶ゴミを放置してみたんです」


――結果、どうなったんですか?

Cさん: 「結局1カ月経っても何もしてくれなかったので、限界を感じた私が『何も言わなかったら、本当にやらないんだね』って言ったら、『何でお前がやらないのか不思議だったんだよ』って言われてしまって……(笑)。ゴミの存在に気づいていながらも、自分の仕事ではないって思われているんだなと感じました


  • いつの間にかゴミの仕分けとゴミ出しが自分の担当になっていたというCさん

Aさん: 『俺の仕事はコレとコレ、それ以外は妻の仕事』みたいな(笑)。そしてそれ以外の家事が多すぎるし細かいんですけど、理解してもらえてないですよね」


Dさん: 「うちも帰宅時間は夫の方が早いかほぼ一緒なのに、平日のごはんはなぜか私の帰りを待たれています。私が帰ってくると『今日は何かな?』って聞いてくるんです(汗)。料理はいつからあなたの担当じゃないって決まったのかな……?って思います


「同居人」と割り切ったほうが楽

――ほぼ家に夫がいないというBさん。結婚当初から、家事はほぼお一人でされていたんですか?

Bさん: 「子どもができる前は、夫も家事や料理をやってくれていたのですが、私に家事負担が集中するようになったのは、妊娠して、産休に入ってからですね。産休中、家にいる時間が多いのは私なので、自然とほとんどの家事をやるようになって、いつの間にかその状態が当たり前に……。そして、職場復帰した後も状況は変わっていないというのが現状です」


――なんとか改善しようとはされなかったんですか?

Bさん: 「当初はイライラしましたし、けんかもしましたが、夫は『自分はやらない、時間がない、いつかやる』を繰り返すばかりで……もう諦めました。せめて家事代行などを手配したいと頼んでも『他人を家に入れるのは嫌だ』と言われてしまって議論は平行線。だから、家事のことについては話さないのが一番いいなと今は思っています」


  • 「家事について話し合うことを諦めた」とBさん

――そんな中でも、夫が担当している家事・育児ってあるのでしょうか?

Bさん: 「子どもの保育園の送りはやってくれていますし、私が飲み会の日は、ごはんからお風呂、仕上げ磨きまで子どものお世話をしてくれます。家事・育児を一手に担われている主婦の方たちよりはリフレッシュさせてもらえているのかなとは思います。それから、向こうの方が稼いでいるので、稼いでいるならしょうがない、とはなるかな。これで稼ぎが少なかったら、今も文句言ってますよ!」


――そんな今の状態を表すのが「同居人」なんですね

Bさん: 同居人って割り切ると楽なんです。向こうが家賃を払ってくれて、私が生活費を払う、ルームシェアみたいな感覚で生活しています。顔をあまり合わせていないから距離感を保てるし、自分の中ではそれで生活が成り立ってしまっています。今は『子どもが幸せで笑ってくれたらそれでいい』と思っています」


諦めていかないとつらくなっていく

Dさん: "諦めていく"という感覚は共感できますね。うちの場合、お風呂掃除とか排水溝の掃除とか、私が苦手な掃除を夫がやってくれるので助かってはいるのですが、物を床に置きっぱなしにするのは、何度言っても直らないんです」


――というのは?

Dさん: 「例えば帰宅するやいなや、服や靴下を脱ぎっぱなしにするんです。脱いだ形のまま床に放置しています。他にも、ゴミ箱にゴミを投げるんですけど、入らなかったらそのままとか(笑)。結局私が気になって拾ってしまうので、もはや夫は私のことを『ゴミを拾ってくれる人』『洗濯物を片付けてくれる人』と認識していると思います。私が諦めたことで、その役割が当たり前になっていくのは分かっていても、諦めないとその状態が気になってイライラしちゃうのでもう仕方がないかなって


  • 「家をきれいに保てていない状況が気になってしまった私の負け」というDさん

Aさん: 「もう、言う方が面倒になってくるんですよね。どうしても直してほしいと思うときは、いじけないように優しく『これはこうしようね~』『やってくれたらうれしいな~』って諭すんですけど、『私はあなたの母親じゃない!』っていう気持ちになります(笑)」


Dさん: 「そして期待しなくなりますよね(笑)」


ほしいのは「理解」と「気遣い」

――家事分担に関して夫にはどんなことを望んでいますか?

Aさん: 家事について注意したときにすねないでほしいです。仕事で上司から注意されたときには、すねないじゃないですか。仕事と一緒なんだと考えて、やりきってほしいなと思います」


Cさん: 既に夫は実践してくれているのですが、『あなたはこれだけ家事をやってくれているんだね、ありがとう』って定期的にほめてほしいですね。中途半端な家事をやって『意外と簡単だ』とか『自分はちゃんとやっている』と主張されるよりも、私の愚痴をうんうんって聞いてくれる方が、よっぽどいい。家事分担に不満があっても夫婦仲がいいのは、夫がほめ上手だからかなと思います」


Dさん: 「確かに、感謝してもらったら満足するのかなって思いました。私が家事をしていることを、当たり前だと思わないでほしいんですよね」


Bさん: 「1週間に1度でいいから、私の好きなお酒とか、子どもと一緒に食べられるスイーツとか、買ってきてくれる気遣いがあると違うなぁとは思いますね。それから『土日はテイクアウトか外食でいい』と提案があるとうれしい。それか、もはや夫が家にいないか(笑)」


  • 大事なのは"夫から"提案があること

Aさん: 「分かる! 子どもだけだったら食事作りは楽ですもんね。『今週は飲み会ない』って言われると、ちょっとがっかりしている自分がいます(笑)。そもそもの家事の量が減るか、アウトソーシングできる方がうれしい気がします



夫婦の形はそれぞれ。夫の方が家事をしている、フェアに分担できているという家庭もあるかと思いますが、今回の座談会では「夫側が想像している以上に、たくさんの家事を担っていることを理解して感謝してほしい」「妻が大半の家事を担っていることを当たり前だと思わないでほしい」という女性たちの思いが垣間見えました。

また、妻と夫の家事スキル・家事認識の差が感じられる発言も。試行錯誤の結果、「夫に期待せず、自分でやった方が楽」「むしろ家事の量を減らしたり、家事をアウトソーシングしたりしたい」という気持ちに変化していったことも分かります。

一方、過去に行った共働き夫の家事・育児にまつわる座談会では、夫側から「妻の家事・育児に対する要求水準が高い」「家事分担をするのであれば、それぞれのやり方で進めさせてほしい」といった声や、「時短勤務の妻と家事分担をフェアにはできない」という意見などが寄せられています(※参照「共働きパパたちの覆面座談会 - 妻の言うことは"ごもっとも"なんだけど……」)。

もしかしたら、あなたのパートナーも同じような気持ちを抱いているかも!? 一度ご自身の家庭の家事分担状況を振り返ってみてはいかがでしょうか。

※会場協力: 海鮮バル ソルマール(地下鉄東西線竹橋駅直結・パレスサイドビル地下1階)