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人は誰しも必ず眠りにつく。人によって長さはまちまちではあるが、多い人ともなれば、人生のおよそ3分の1以上を睡眠に費やしている。睡眠は、我々の生活と切っても切れない行為だが、このほど、米国の研究チームは睡眠をしっかりと取ることが魅力度のアップにつながると報告した。

睡眠時無呼吸症候群の患者が研究のきっかけ

報告書は、睡眠時無呼吸症候群の患者などを研究している、米国ミシガン大学睡眠障害センターのRonald Chervin氏を中心とするチームがまとめた。「live science」にその研究の概要が記されている。睡眠時無呼吸症候群には、無呼吸が繰り返し起こるためにたびたび脳が目覚め、熟睡ができないなどの症状が見られる。

同氏は「我々は睡眠時無呼吸症候群の患者がしばしば魅力的に見えたり、彼らが『前よりも良く見えるね』と周囲から言われたことがあることをよく聞くが、誰もそのことを調べようとしなかった」と、今回の研究に着手した理由を説明。続けて「今回の研究は、睡眠時無呼吸症候群の治療が進むにつれて、患者は徐々により魅力的になっていくということの証拠となる」とした。

「写真測量」を用いて、治療の前後の写真を撮影

研究チームは、科学的な顔測定システム「写真測量(photogrammety)」を用いて、睡眠時無呼吸症候群の治療を受けた20人の外見の若さと魅力を客観的に測定した。「写真測量」は顔の輪郭のちょっとした違いを測定でき、顔の外科手術手術をする際のプラン作りにも使用されているという。

同氏は、詳細なデータを得るために同大学に勤める再建外科医のSteven Buchman博士とチームを組んだ。二人は同一条件下における、患者の治療前後の一連の画像を「写真測量」で撮影した。

治療後の写真はしわが減り、ポジティブな評価に

詳細な分析の結果、睡眠時無呼吸症候群の治療後の写真は、額のしわが減っており、眼下からほお上にかけての赤みが少なくなっていることが明らかになったという。また、医療の専門家やボランティアが、治療前後の写真を比較したところ、多数が治療後の写真の方を「よりポジティブ」と評価したという。

研究者は、今回の研究が小規模かつ限定的なものであることを前置きとした上で「この結果は、睡眠障害の治療を追い求めることの重要性だけではなく、良好な夜の休息を取ることの重要性も示唆している」と述べた。

「写真測量(photogrammety)」による顔写真のビフォー(左)とアフター(右)。心なしか、右の方が目がパッチリして、穏やかな表情。(University of Michigan Health System)

たとえ外見的魅力が上がらなくても……

睡眠は、脳が正常な認知機能としての役割を果たすために不可欠だ。また、体を休めるためにも大切な要素だ。生活サイクルの当たり前の行為をちょっと改善するだけで、外見的魅力が高まるのであれば、こんなにうれしいことはない。

一方で、しっかりと睡眠が取れずに苦しんでいる人も多い。米国の疾病管理予防センターによると、アメリカ人口の4分の1以上が十分な睡眠が取れておらず、約3000万人が慢性的な不眠を経験したことがあるという。また、複数の研究によって7%以上のアメリカ人が睡眠時無呼吸症候群のせいで、質の良い睡眠を阻害されていることが明らかになっている。

重度のいびきなどによる睡眠時無呼吸症候群は、時として命に関わることがある。だからこそ、自分が該当すると感じたら、ちゃんとした専門医に見てもらうべきだろう。重度のいびきが改善できれば、たとえ外見的魅力が上がらなくても、隣で眠っているパートナーのあなたに対する魅力度(心象)が「多少は」改善される可能性は高い。