【スーパーGT 第7戦】GT500|変わり続ける路面、分かれた明暗。STANLEYが制した3時間の戦略

■GT500|変わり続ける路面、分かれた明暗。STANLEYが制した3時間の戦略戦

2026 AUTOBACS SUPER GT第7戦「AUTOPOLIS GT 3Hours RACE」が10月17〜18日、大分県のオートポリスで開催された。今大会は今季最後のフルウエイト戦。決勝は2回の給油が義務付けられる3時間レースとあって、タイヤと燃費のマネジメント、そしてピット戦略が勝敗を左右する重要な要素となった。

今回のオートポリスで、ドライバーたちが口を揃えて指摘していたのが、路面コンディションの難しさだった。走行開始時は路面が汚れ、十分なラバーも乗っていないため、グリップレベルは低かった。しかし土曜日から日曜日にかけて走行を重ねるにつれてラバーが乗り、ラップタイムは大幅に向上。ドライビングの感覚も大きく変化していった。

一方、決勝では走行によって生じたタイヤカスが路面に蓄積。左右のコーナーが連続し、アップダウンも大きいオートポリスでは、GT300を周回遅れにする際やポジションを争う場面で、レーシングラインを外れることが避けられない。グリップの高いラインから外れた際にタイヤカスを拾えば、ピックアップによってその後のペースにも影響が及ぶ。さらにレース中の路面温度も変化し、各チームのタイヤ選択や戦略を難しくした。

予選で改めて存在感を示したのがHonda勢だった。64号車Modulo HRC PRELUDE-GTの大草りきが前戦SUGOに続く2戦連続のポールポジションを獲得。2番手には17号車Astemo HRC PRELUDE-GTが続いた。Honda HRC PRELUDE-GTは第4戦富士から好調を維持し、シーズン後半戦に入って勢力図は大きく変わりつつあった。

●2戦連続のポールポジションを獲得した64号車Modulo HRC PRELUDE-GT。しかし決勝ではタイヤのピックアップなどに苦しみ、12位に終わった

決勝は晴天のドライコンディション。序盤はポールポジションの64号車Moduloが先行し、予選5番手の12号車TRS IMPUL with SDG Zもベルトラン・バゲットが100号車STANLEY HRC PRELUDE-GTの山本尚貴をかわすなど、上位争いを展開した。

今回のレースで興味深かったのは、100号車STANLEYと12号車IMPULが、ともにレース序盤のスティントを長く取る戦略を採りながら、その後の展開が大きく異なったことだ。

100号車は山本が燃費とタイヤを管理しながら周回を重ねた。23周目に最初のセーフティカーが導入されたが、チームは第1スティントを延長。山本は45周を走り切って牧野任祐に交代した。

一方の12号車も、バゲットがマシンのフィーリングとレースペースに十分な手応えを感じながら走行を続けていた。しかし、GT300のトラフィックから解放され、ようやくプッシュできる状況になったところで最初のセーフティカーが導入された。さらに49周目に導入された2度目のセーフティカーも、予定していたピットストップの直前というタイミングだった。

●ピット作業を行う12号車TRS IMPUL with SDG Z。2度のセーフティカー導入が、チームのレース戦略に大きな影響を及ぼした

バゲットはレース後、「2度のセーフティカーは本当に不運だった」と振り返り、「セーフティカーがなければ優勝できるチャンスは十分にあった」と語った。

100号車は、2度目のセーフティカーが導入される前に最初のピットストップを終えていた。牧野はその後も速いペースを維持しながら燃料消費を管理。58周目前後に最後のピットストップを行い、ライバルがピット作業を終えるとトップに浮上した。

第1スティントを長く取ったことが、その後の給油量やピット作業時間にどの程度影響したかは詳細なデータがないものの、100号車はスティントの組み立てとピットタイミングを生かして首位を奪い、そのままチェッカーを受けた。

●今季のHonda勢の好調を象徴する100号車の勝利。山本尚貴と牧野任祐が表彰台で喜びを分かち合った

タイヤのピックアップは、上位争いにも影響した。予選で圧倒的な速さを見せた64号車Moduloも、決勝ではタイヤの性能を安定して維持することに苦しみ、12位に後退。予選の一発の速さと、3時間を通じて速さを維持することの難しさが浮き彫りになった。

●12号車TRS IMPUL with SDG Zのピットに用意されたタイヤ。路面状況の変化を見極めたタイヤ選択が重要な要素となった

路面温度は中継表示によれば、序盤の33〜34℃から中盤には35℃となり、終盤には33℃へ低下した。12号車IMPULは、最終スティントを担当する平峰一貴に、バゲットが第2スティントで使用したものとは異なる低温側の仕様のタイヤを選択。終盤の路面温度低下を見越した判断だったが、平峰によれば序盤にはグリップがあったものの、中盤以降は厳しい状況となったという。

バゲットも「2スティント目と同じタイヤを使うべきだったかもしれない」と振り返った。タイヤ選択がどこまで影響したかは断定できないが、2度のSCによるギャップの消失と最終スティントのグリップ低下が重なり、12号車は5位でフィニッシュした。

優勝した100号車に続き、2位には38号車KeePer CERUMO GR Supra、3位には23号車MOTUL Niterra Zが入り、3メーカーが表彰台を分け合った。Honda勢は第4戦富士から4連勝。さらに選手権首位の36号車au TOM’S GR Supraがペナルティによって8位に終わったことで、100号車とのポイント差はわずか3点となった。

同じ3時間のレースでも、SCが入るタイミングとピットストップの判断によって、戦略の成否は大きく変わる。100号車はロングスティントを生かした戦略で勝利をつかみ、12号車は速さを示しながらも不運なSCと終盤のタイヤマネジメントに苦しんだ。変化する路面状況、燃費、タイヤ、そして予期しない展開への対応力。その総合力が、オートポリスの明暗を分けた。

●アップダウンと左右のコーナーが続くオートポリス。混走時のライン取りとタイヤマネジメントが、レースを一層難しくした

■GT300|タイヤを使い切る戦略。K-tunesが3時間の混戦を制す

●新田守男/高木真一組の96号車K-tunes RC F GT3。タイヤ無交換を取り入れた戦略で今季初優勝を飾った

2026 AUTOBACS SUPER GT第7戦「AUTOPOLIS GT 3Hours RACE」が10月18日、大分県のオートポリスで決勝を迎えた。GT300クラスでも、3時間という長丁場をどう戦うかが勝敗を左右した。

予選では61号車SUBARU BRZ R&D SPORTがポールポジションを獲得。しかし、決勝では予選の速さだけでなく、変化する路面コンディションへの対応とタイヤマネジメントが重要な要素となった。

週末の走行開始時には十分なラバーが乗っておらず、グリップレベルが低かった路面も、走行を重ねるにつれて状態が変化。一方、決勝中はレーシングラインを外れるとタイヤカスを拾うピックアップのリスクがあり、GT500との混走も含めて難しいレースとなった。

さらに、2度のセーフティカー導入によってレース展開は大きく変化。2回の給油を伴うピットストップが義務付けられる一方、タイヤ交換の有無は各チームの判断に委ねられ、ピット作業時間の短縮と走行ペースの維持をどう両立させるかがポイントとなった。

その戦いを制したのは、予選7番手からスタートした96号車K-tunes RC F GT3の新田守男/高木真一組だった。経験豊富なベテランコンビは、タイヤ無交換を取り入れた戦略を成功させ、今季初優勝を飾った。

また、予選28番手からスタートした360号車RUNUP × SOL GT-Rも、タイヤ無交換戦略を生かして大幅に順位を上げ、2位でフィニッシュ。3位には65号車LEON PYRAMID AMGが入った。

●予選28番手から追い上げた360号車RUNUP × SOL GT-R。タイヤ無交換戦略を生かし、上位進出を果たした

タイヤを交換することで得られる走行性能と、交換しないことで短縮できるピット作業時間。どちらを優先するかは、路面状況やタイヤの摩耗、ドライバーのマネジメント能力によって変わってくる。

GT300でも、単純な速さだけではなく、変化するコンディションを読み、3時間全体を見据えて戦略を組み立てる総合力が問われる一戦となった。

〈文= 川上滋人 写真= 森山俊一〉