Chevon、ツアーファイナルで超満員の横浜アリーナを制圧「ここも通過点です」

2026年5月から、長きにわたる旅「Chevon ONE MAN TOUR 2026『 三者山羊 』」を続けてきたChevonが、ついに、ファイナルステージ・横浜アリーナへと辿り着いた。

今から振り返れば、昨年11月、Chevonが2026年9月に横浜アリーナ公演を開催すると発表した時、それまでずっと3人を熱心に追ってきた筆者でさえ少し驚いたというか、かなり思い切った挑戦だなと思った。今になってみれば当時の筆者の感覚は間違っていて、横浜アリーナ公演は瞬く間にソールドアウトし、さらには、追加公演として12月の日本武道館公演2デイズも決まった。3人は、今年に入ってから数々のフェスでメインステージに進出を果たし、そしてついに迎えた9月13日(日)、昨年より何段階も進化した完全無欠の状態で横浜アリーナに立ち、超満員の会場を見事に制圧してみせた。バンド史上最多曲数を通して、現時点におけるChevonの総力が余すことなく示された同公演の模様を、順を追ってレポートしていく。

Photo by タカギユウスケ

心臓の音が轟く中、神秘的にして荘厳な儀式を想起させるオープニングムービーが巨大スクリーンに映し出されてゆく。次第に宇宙規模の特大スケールが現出し、一気にビートが加速、そしてそのまま「B.O.A.T.」からライブが開幕する。両手を大きく横に広げ、ライブのド頭から熱唱、いや、絶唱をかましてゆく谷絹 茉優(Vo)。その上に、闇を鮮烈に切り裂くようなKtjm(Gt)のギター、重厚にうねるオオノタツヤ(Ba)のベース、そして、観客による壮大なチャントが分かちがたく重なってゆく。これぞ、Chevon流のスタジアムロック。2番からは、灼熱の炎がステージを彩り、そして、<命を燃やして>という谷絹の呼びかけに呼応するように、一人ひとりの観客がさらにめいっぱいの歌声を重ねてゆく。ライブという言葉の語源に即して言うなれば、まさに、生きている実感を、ステージと客席の垣根を越えて共に確かめ合うような、あまりにも熱烈な時間・空間だった。

谷絹 茉優(Photo by タカギユウスケ)

続けて、「DUA・RHYTHM」へ。谷絹は、「横浜アリーナ、ファイナルステージ、よく辿り着きました!」と、ここに集結した全ての人を讃え上げる。その後の「Lamipus」「銃電中」では、観客が、谷絹の想いに呼応するように、また、自身の生の証を高らかに示すように、懸命に拳を突き上げジャンプを重ねてゆく。これまで何度もライブハウスで観てきた光景ではあるが、やはり、アリーナで展開されると非常に壮観だ。

Ktjm(Photo by タカギユウスケ)

オオノタツヤ(Photo by タカギユウスケ)

「私たちがいなくなった後も記憶に残る、いつでも頭の中に、耳の奥にこびりつく、そんなライブをして帰りたいと思います。どうぞ、よしなに」という谷絹の言葉を経て、「ノックブーツ」からライブが再開する。単に一方的に観客を圧倒するのではない。「菫」「サクラループ」を含め、一人ひとりの観客と手を取り合うような優しさ、包容力をありありと感じられるパートだった。一転して、この世のあらゆるネガティブを蹂躙するような弩級のロックナンバー「大行侵」がドロップされる。アリーナすら超越してゆく破格のスケールに痺れる。続く「Banquet」では、谷絹が、ステージからスタンド席に向けて伸びる通路を闊歩し、先端まで繰り出しながら、「さぁ、存分に暴れてやろうぜ、横浜アリーナ!」とアジテーションし、「光ってろ正義」では、それを受けた観客が熱唱しながら幾度となくジャンプを繰り返してゆく。

中盤のMCパートでは、谷絹が、「最初から変わらぬ3人で、気持ち変わらずやってきた」という5年間を振り返り、3人だけで編曲までした楽曲の一つである「るてん」を披露した。次の「さよならになりました」を歌い終えた谷絹は、「私自身、音楽をして生きること、歌詞を書くこと、それは、ものすごく長い長い遺書を書くことと思っています」と告げた上で、「デイジー」へと繋いでみせた。冒頭のMCの言葉にも通じるが、谷絹は、Chevonは、今の目の前の景色だけではなく、数年、十数年先、もしかしたら、数十年、数百年先の未来まで見据えて音楽表現に向き合っているのかもしれない。〈さよなら、来世で逢いましょう〉という結びの言葉が、また、次に披露された「薄明光線」における〈あなた〉への果てしなく揺るぎない想いが、音源以上の温かさと親密さをもって深く胸に響いた。その後の「さよなら、アイリーン」、最新曲「クライネ」、「春の亡霊」から成るパートも、あまりにも美しい名演だった。

ここで谷絹が、「急に思い出したこと」と前置きした上で、もともと用意してきたMCではない、今の率直な心情を赤裸々に明かし始めた。一人で歌を歌っていた専門学校時代。何もうまくいかない中、さらに、親友と思っていた人からある裏切りに遭い、本当にダメかもしれないと思った。そんな時、ある夢を見た。とても大勢の人の前で、オリジナル曲を、楽しそうに歌っている夢。当時は一人で活動していたにもかかわらず、そのステージの上には自分以外の誰かが共に立っていた。その夢を見たからこそ、辛かったあの時期、ふんばることができた。その後、Ktjmとオオノと出会い、バンドを始めた。谷絹は、超満員の横浜アリーナの光景を前にして、当時見た夢のことを思い出したという。さらには、その夢の光景は、まさに今日のこの横浜アリーナの光景だったのかもしれない、と語る。

Photo by タカギユウスケ

「あの頃の自分が見ている」「だから、こっからのセトリ、容赦なくぶち上げにしましたんで、思いっきり盛り上がってもらえますか」「私にChevonというバンドを始めさせてくれますか」。そう呼びかけた谷絹は、ここで感極まるが、観客の声援を受けて立て直す。そして、「見とけよ!」と、あの頃の自分に叫んだ上で、「冥冥」からライブがクライマックスパートへと突入する。超絶怒涛の熱狂が横浜アリーナ全体に満ちてゆく中、谷絹は、ステージの背面を振り返り、「どうだ、見たか!」と叫ぶ。その誇らしげな表情が忘れられない。

続けて、「六ノ輪」へ。次の「Capretto」では、Ktjmとオオノが、それぞれ上手・下手の先端へと繰り出し、スタンド最前列の観客にゼロ距離で応戦してゆく。「FLASH BACK!!!!!!!!」では、猛烈な炎がステージを覆う中、会場全体の高揚感と一体感がさらに際限なく高まり続ける。全ては、あの頃の谷絹に、最高の夢の景色を見せるため。あの頃の谷絹に、Chevonを始めてもらうため。そして、夢の景色を超越していくため。3人の想い、一人ひとりの観客の想いが、限りなく高い精度で合致していることが、会場に満ちる熾烈なバイブスを通して確かに伝わってくる。

Photo by タカギユウスケ

「ここが終わりじゃないですよ。ゴールテープ切るつもりないですよ」「あえて生意気なことを言いますけど、ここも通過点です」。そう語った谷絹は、この日の公演が終わりへと向かっていることを惜しみつつ、「次もあるからね、先に進みましょうよ、一緒に」と告げ、「横浜アリーナに一番連れていきたかった曲」「うちらの始まりの曲」である「No.4」を披露。続けて、「みんなと一緒に歌いたくて、この曲もってきました!」と呼びかけ、「セメテモノダンス」を披露。何度も繰り返される観客のシンガロングを全身で受け止めた谷絹は、「いろんなことでへこたれても、今日のこの光景で頑張れる気がする」「こんだけ仲間がいるって、そう思って生きます」「これからも、目の前のあなたしか踊らせることしかできないけど、そんな私をどうか、共依存で、よしなにね」と万感の想いを告げ、そして、この日の公演は、「B612」「ダンス・デカダンス」の2曲をもって鮮やかな大団円を迎えた。

Photo by タカギユウスケ

ライブ後、「大事なお知らシェ」として、2027年のホールツアー、および、Kアリーナ横浜公演の開催が発表された。横浜アリーナからさらに規模を拡大する挑戦にはなるが、3人なら、間違いなく堂々と完遂してみせると思う。どれだけ会場の規模が大きくなっていくとしても、きっとChevonは、会場の大きさを遥かに超越していくようなドデカいライブを、また、集まった人を誰も置き去りにしないような優しいライブをしてくれる。そんな信頼が、今回の横浜アリーナ公演を通してさらに深まった。だからこそ、これからも、どこまでも、突き抜け続けていってほしい。

セットリスト

1. B.O.A.T.

2. DUA・RHYTHM

3. Lamipus

4. 銃電中

5. ノックブーツ

6. 菫

7. サクラループ

8. 大行侵

9. Banquet

10. 光ってろ正義

11. るてん

12. さよならになりました

13. デイジー

14. 薄明光線

15. さよなら、アイリーン

16. クライネ

17. 春の亡霊

18. 冥冥

19. 六ノ輪

20. Capretto

21. FLASH BACK!!!!!!!!

22. No.4

23. セメテモノダンス

24. B612

25. ダンス・デカダンス

Official HP:https://www.chevon.biz/