Ettone×Rol3ert「STAY」制作秘話 走馬灯、バロック、英語詞が生んだ新しい“余白”

Ettoneの新曲「STAY」は、疾走感のあるビートとバロック音楽の対比、英語詞がもたらす独特の”間”によって、これまでとは異なる表情を描き出した一曲だ。

今回コライトに迎えたのは、米国生まれ・日本育ちで、英語詞を軸にJ-POP由来のメロディ感覚も織り交ぜるシンガーソングライター/プロデューサー、Rol3ert。制作は、”走馬灯”という言葉をきっかけにトラックそのものを書き直すところまで発展し、さらに4人での長い対話から「ここにいたくない、でも今はここにいる」という葛藤が浮かび上がっていった。chiharu、pia、Rol3ert、プロデューサーのALYSAが、〈all I can do is Stay〉と〈But I just dont wanna Stay〉に込めた本音、日本語と英語の役割、そしてコライトによって生まれたEttoneの新しい”余白”を語る。

登坂広臣の推薦から始まった、Rol3ertとのコライト

─今回、なぜchiharuさん、piaさん、Rol3ertさんという組み合わせになったのでしょうか?

ALYSA:CDL entertainmentとO21が事業で一緒にタッグを組んでいることをこの間公表したんですけど、そのCDL entertainmentのCEOである登坂広臣さんがRol3ertくんを私に勧めてくれたんです。普段は自分でアーティストを見つけてDMしたりすることが多いんですけど、Rol3ertくんは登坂さんから「気になるんだけど」と連絡が来て。マネージャーさんを紹介してもらって、オンラインで最初のミーティングをしました。

Rol3ert:どこで知ってくれたんですかね。すごい早耳ですよね。

ALYSA:本当に早耳なんですよ。「絶対このアーティスト来る」みたいな人がいると、すぐ私に送ってきて、「絶対仕事したほうがいいよ」って。

─そのうえで、なぜEttoneからchiharuさんとpiaさんを?

ALYSA:Rol3ertくんは8割、9割ぐらい英語で、そこに少し日本語を入れるスタイルだったので、だったらそのやり方を生かしたほうがいいと思ったんです。それでpiaとは絶対相性がいいだろうと思ったし、Ettoneの中でpiaの良さを一番引き出すにはどういう曲がいいんだろう、ということにも興味があった。一方で、日本語詞がまったく入らなくなると、これまでEttoneがやってきた”ジャパンコア”とか”ユースノスタルジア”という世界観から離れてしまうかもしれない。chiharuは日本語の奥ゆかしさや趣を引き出す能力がすごくあると思っていたので、絶対いてほしいと思いました。

Photo by Rika Tomomatsu

chiharu:私は英語ができないので、最初は「どうしよう」と思ったんですけど、英語はpiaとRol3ertさんがいるから、「私は日本語で頑張ろう」と。自分のできるところとpiaのできるところを補い合いながらできたと思います。

Rol3ert:それが結果的に、いい日本語詞と英語詞のミックスになりましたよね。役割分担もうまくできたと思います。

─英語と日本語が混ざることで、曲の響きにも変化がありましたか?

chiharu:日本語だけでは書き切れないところを、英語が補ってくれる感覚がありました。もっと深いところまで表現できるというか。

ALYSA:日本語詞を英語のメロディにはめると、どうしても音数が多くなったり、譜割りがカクカクしてしまうことがあるんです。でも今回は最初から英語詞があったので、メロディに空白や余白を残せた。そこがすごく好きでした。

chiharu:私は、英語が”ホログラム”みたいだと思っていて。暗号じゃないけど、言葉を少し隠している感じ。日本語で伝えたいことを、実は英語の一言でもっと深掘りしている。パッと聴いただけでは分からないからこそ、”隠された言葉”みたいで好きなんです。

Rol3ert:英語のほうがダイレクトに言いやすいんですよね。日本語は奥ゆかしいし、詩的になればなるほど読み解く必要もある。だから、ストレートなことを英語で言うのはやりやすかったかもしれないです。

”走馬灯”からトラックを全面的に書き直した

─「STAY」は、どこから制作が始まったんですか?

ALYSA:最初に私がトラックを書いて、それをみんなに送りました。

Rol3ert:俺はそこにトップラインのスクラッチを入れて。

ALYSA:chiharuとpiaはムードボードを持ってきてくれました。最初は『ハイキュー!!』みたいなスポーツ漫画やアニメの話も出ていたんですけど、その中でみんなが「おっ」となったのが”走馬灯”という言葉でした。

chiharu:トラックを聴いて、ずっと走っているイメージがあったんです。「頑張ってる感じがするよね」という話から、部活とかスポーツという言葉も出てきて。その中で”走馬灯”という言葉がポンと浮かびました。最初のふわっと始まる部分とか、少しスローモーションになる感じから、フラッシュバックしているようなイメージもあって。

pia:私はオレンジっぽい光、ランタンみたいなものを想像していて、それを調べていったら”走馬灯”につながったんです。

Rol3ert:俺にはそういう発想はなかったので新鮮でした。このトラックを聴いて、アニメの青春系のイメージにはならなかったから。

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─ビートはガラージや2ステップ、ドラムンベースを思わせる前進感があります。

ALYSA:Ettoneにはあまりスピード感のある曲がなかったので、いつかで作りたいと思っていたんです。それと、ギターをメインにした曲もなかった。でも”走馬灯”というワードが出てきて、さらに「Stayしていたくないけど、でもStayしている」という感覚を掘っていく中で、”リバース”というアイデアを思いついた。それで「トラックを全部書き直さなければ」と思いました。ギターやドラムンベースのような現代的なものに、対比する要素を置きたかった。そこでバロック音楽、チェンバロ、ストリングスが駆け上がっていくような音を取り入れました。プリコーラスは完全に古典音楽の技法を使っています。

─現代的なビートと古典音楽を対比させた。

ALYSA:そうです。ジャケットも同じ発想で、chiharuが足のモデルをやってくれて、右足には革のブーツ、左足にはバレエシューズを履いている。青いリボンは鎖のように見立てていて、”前に進めない”感じを表現しています。MVもdreamcore的な夢の世界と、超現実主義的な感覚を対比させている。全部を”対比”させているのが、この曲の大きなアイデアですね。

pia:面白かったのが、ちょうどその頃、私はクラシカルなストリングスとテクノを混ぜたアンダーグラウンドのプロデューサーをずっと聴いていたんです。それをchiharuにも送っていて、その数日後に新しいデモが来たらストリングスが入っていて、「来た!」って思いました(笑)。

─Rol3ertさんは、そのトラックにトップラインを乗せる時、何を意識しました?

Rol3ert:最初から「Ettoneはこのジャンル」と決められているわけではなかったので、J-POPに寄せようとは思わなかったです。せっかく自分が呼ばれたからには、自分を100%出そうと。でもサビはめちゃくちゃ難しかったですね。ああいうトラックを自分でもやったことがなかったので。

chiharu:フックは本当に時間かかりました。

Rol3ert:フックって、「人の心をつかめ」と言われているようなものじゃないですか。「そんな簡単にできねえよ」と思いながら(笑)。

ALYSA:一度持ち帰ってもらったんですけど、最後に「STAY」という言葉が出てきた時に、「はい、来ました」と思いました。コーラスに入るところで、もともとビートを止めていたんですよ。そこまでずっと走っているのに、〈all I can do is Stay〉で止まる。その瞬間に、言葉とトラックが全部つながった。ここがこの曲の一番強いポイントだと思いました。

Photo by Rika Tomomatsu

2時間の”カウンセリング”が引き出した本音

─歌詞は、そこからどう作っていったんですか?

Rol3ert:最初のスクラッチはマンブリングで、歌詞は入れていませんでした。2回目のセッションでみんなで考えていったんです。俺は細かい単語を考えるというより、「ここで魂の叫びが欲しい」とか、曲全体の流れについて話していました。あと、カウンセリングして(笑)。

chiharu:2回目のセッションも、結局サビしかできなかったんですよね。

Rol3ert:カウンセリングだけで2時間ぐらいやってたのかな。

─具体的にはどんな話を?

Rol3ert:歌詞はなるべくオーセンティックにしたかったので、「このトラックを聴いて何を思い浮かべる?」「今、言いたいことはある?」みたいに質問していきました。そこで出てきたのが、今いる場所が嫌なわけではないけれど、他にも自分がやりたいことがある、というジレンマ。それはソロで活動している自分にもレゾネートする部分があったので、「ここを深掘ろう」と思ったんです。

chiharu:かなり深いところまで話した感覚はありました。

ALYSA:私も分かってはいたけど、chiharuが気を遣って言っていないんだろうな、と思っていたことがたくさんあって。それを全部言ってくれた感じがありました。

chiharu:私は、あの時間があったから少し前に進めた感覚があります。その時は思考が絡まっていて、自分で自分を縛ってしまっていた。でも、それをこの曲に昇華したことで一旦「いいや」と思えたんです。伝えることもちゃんとしたし、自分で行動できることはしている。「今やれることを、ここにいながらしっかりやっていこう」と思えるようになりました。

pia:私も結構変わりました。変わったというか、”昔の自分が戻った”感じ。海外に住んでいた時の解放的な気持ち、「Aussie vibeで、別に良くない? やっちゃっても良くない?」みたいな感覚が戻ってきて。その時からずっと家で曲を書いてます。

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─その本音が、サビの〈all I can do is Stay〉と〈But I just dont wanna Stay〉につながっていった?

Rol3ert:そうですね。〈all I can do is Stay〉って、本当の気持ちではないじゃないですか。だから最後には、それに対する”魂の叫び”を入れたいと思った。聴いていてハッとするような切なさが欲しかったんです。”魂の叫び”といっても、実際に叫ぶ必要はない。聴いた時に、「あ、これは本音なんだ」と感じるものを最後に爆発させたかった。

chiharu:メンバーに歌詞の意味を聞かれて、〈all I can do is Stay〉は「ここにいるしかない」、最後は「でも、ここにいたくない」って言ってるんだよと説明したら、「え!?」ってなって(笑)。日本語だったら「そんなストレートに言えないよ」と思うようなことも、英語にすることで少しマイルドになる。そこがすごくいいなと思いました。

Rol3ert:「英語なら許される」みたいなところはありますね。

─日本語詞では〈瞬く青が急かす〉というラインも印象的です。

chiharu:そこは本当に何回も何回も考えました。走っている時に信号の青が点滅していて、それに急かされながら「走るのか、止まるのか」という景色が浮かんできたんです。それで〈瞬く青が急かす〉になりました。

Photo by Rika Tomomatsu

ALYSA:見た瞬間に「さすがchiharu」と思って。絶対これを生かしたかった。1番のプリコーラスはRol3ertくんが〈if I could disappear〉と、その次の一行も英語で書いてくれていたんですけど、2番に〈瞬く青が急かす〉が入ったので、1番も”青”に合わせたくなって。それで〈消えゆく青が証す〉に変えました。あと〈積み重なる未完成〉もすごくいい。

chiharu:最初は〈逃げてもどうせ〉だったんです。

ALYSA:〈逃げてもどうせ/積み重なる未完成〉だったんですけど、歌った時のハマりを考えて変えていきました。

chiharu:私は言葉自体はいろいろ出てくるけど、それを音にうまくはめる感覚はまだ甘いと思っていて。3人が流れるようにはめていくのを見て、すごいなと思いました。

Rol3ert:一番分かってたの、多分piaちゃんですよね。

chiharu:「この母音がいいから」とか、言葉を音で捉えるんです。

pia:感覚ですね。

「STAY」でEttoneに生まれた新しい”余白”

─Rol3ertさんは普段、どこから曲を作ることが多いですか?

Rol3ert:大体トラックの”音”ですね。「こういう音を試したい」というところから始まることもあるし、「この感覚を言葉にできない」「何かに昇華しないと気持ち悪い」という時に曲を書くこともある。その感覚を音で具現化するイメージです。基本的にはトラックを作って、トップラインをはめて、そのあと歌詞を書く。今回も同じですね。

─英語で歌詞を書くことも、もともと自然だった?

Rol3ert:実は歌詞を書き始めたのは2025年なんです。それまではまったく書いたことがなくて、ゼロから勉強し直した感じ。英語もネイティブではないんですよ。でも、聴いてきた音楽がほとんど英語だったから、自分にとってはすごくナチュラルなんです。洋楽だけじゃなく、日本で育っているのでJ-POPも当然耳に入ってきた。嵐もめっちゃ聴いてたし、小さい頃は父親が好きだったマイケル・ジャクソンやビリー・ジョエルも聴いていた。そういう日本由来のものと洋楽の要素が、自分でも意識しないうちに混ざっているんだと思います。

左から、Rol3ert、プロデューサーのALYSA

─今回、Ettoneとコライトしたことで気づいたことは?

Rol3ert:気づいたことばかりですね。誰かをプロデュースすること自体、ほぼ初めてだったし、グループの人たちとセッションしたこともなかったので。俺は結構、「ここの音をこうしよう」と曲を近くで見るんです。でもEttoneはもっと大きな単位で見ている。例えば「ここをこう設計したら、ライブではこうなるよね」とか、振り付けやパフォーマンスまで含めて全体を考えているんですよね。自分は一つひとつの音を掘り下げていくタイプだけど、みんなはその音が最終的にどう見えるかまで考えている。そこはすごく勉強になったし、俺自身も視野が広がりました。

─最後に、「STAY」はEttoneにどんな新しい表情を加えたと思いますか?

ALYSA:まず、今までよりメロディの音数が少ない。その分ビートがしっかり刻まれていて、”乗れる曲”になっている。それ自体が新しいです。それから英語。これぐらい英語が入るのは「東京劇場」以来なんですけど、Wez AtlasくんとRol3ertくんでは英語の入れ方も違う。「STAY」は、ちゃんとビートの上に歌詞が乗っている。一方で「東京劇場」は、レイドバックしているところまで含めてビートになっている。その違いも新鮮でした。そもそもEttoneは、「この方向性の曲がEttoneです」というものがあまりないんです。歌い方、ハーモニー、パフォーマンスによって「Ettoneってこうだよね」というものがある。だからこそ、コライトしてくださるアーティストの良さを最大限出してもらえると思っています。今回Rol3ertくんと一緒に書いたことで、ビートへの乗り方、英語の新しい使い方、そしてメロディに新しい”余白”を作ることができた。Rol3ertくんの良さが見える。でも、それをEttoneがやることで、しっかり「Ettoneの曲だ」と感じられる。そこを聴いてもらえたら嬉しいです。

─「STAY」をこれから聴く人へ。

pia:4人ですごくたくさん話し合って、一人ひとりが深いところまで自分に向き合いながら書いた曲です。現実と自分がやりたいこと、やりたいことと今やるべきこと。その間で悩みながらも、前へ進んでいく。メンバーの本音も歌詞の中に隠されているので、ぜひ歌詞に注目して聴いてほしいです。

chiharu:自分の本音を出すことを、「自分勝手なんじゃないか」と思ってしまうことって、私自身はあって。自分の気持ちを肯定してあげたい。でも、「それをしてもいいのかな」という迷いもある。その狭間で揺れている時に書いた曲です。歌詞にはいろいろな”隠れた本音”が散りばめられているので、今頑張っている人に寄り添える曲になっていたらいいなと思っています。

左から、chiharu、pia(Photo by Rika Tomomatsu)

5th Digital Single

「STAY」

Ettone

配信中

配信リンク:https://o21.lnk.to/Ettone_STAY 

Ettone

HP:https://ettone.o21-label.com/

X(Twitter):@Ettone_official

Instagram:@ettone.official

TikTok:@ettone_official

YouTube:@Ettone_official

『Kodoku EP』

Rol3ert

配信中

https://rol3ert.lnk.to/Kodoku_EP

『meet me in my head』

Rol3ert

2026年10月21日(水)リリース

Label:Exciter Records

Format:Digital,CD

※収録内容および曲順は変更となる可能性があります。

=収録曲=

1. Done

2. meaning

3. Boy

4. Aftertaste

5. i won't see you anymore

6. savior

7. Realized

8. Kodoku

9. say my name - album version-

10. sweet tear - album version -

11. with you

12. (how could i be)honest?

13. HOPE

14. dreams

プリアド/プリセーブリンク:https://rol3ert.lnk.to/meetmeinmyhead

CD予約リンク:https://friendship.lnk.to/meetmeinmyhead_cd

Rol3ert Live Tour 2026 ”meet me in my head”

2026年11月6日(金)大阪 BIG CAT

2026年11月12日(木)東京 Spotify O-EAST

チケット:前売 スタンディング 4,500円(税込)

※ドリンク代別

※4歳以上有料

ツアー総合サイト:https://linktwin.co/hQSlKz

運営 東京:DISK GARAGE / 大阪:キョードーグループ

企画制作 KMGI/ライブエグザム

Official Web Site https://rol3ert.com