脱サラをするには、開業資金や運転資金などさまざまなお金がかかり、いくら必要なのか気になる方も多いでしょう。また、会社員とは年金や保険などが異なるため、別途対策が必要です。本記事では、脱サラを検討している方が把握しておきたい、お金の話をわかりやすく解説します。

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脱サラに必要なお金は事業の種類や規模によって異なる

脱サラにいくらの資金が必要なのかは、開業するビジネスの業種やスケールによってかなり幅があります。一概に決まっているわけではありません。

店舗や事務所を借りるビジネスの場合、物件を借りるための前家賃などの初期費用、業務に必要な設備や什器を用意するための費用が必要です。飲食業や販売業などは、食材や商品の仕入費用もかかります。

自宅でできるネットビジネスや各種教室やコンサルティングの場合、パソコンなどの備品を準備する程度でよいため、比較的少ない資金で開業できます。

【シミュレーション】脱サラに必要な資金の種類と額の導き出し方

ここからは、脱サラで必要な開業資金の種類、金額の目安を解説します。

開業資金

まず開業するのにいくら必要なのかは、業種・職種によって大きく異なります。飲食店など店舗を構える仕事の場合、テナントの賃貸料、内装工事料、備品の費用などが必要で、数百万円ほど必要なケースも多いです。

一方自宅でできる仕事の場合、パソコンやスマホ、インターネットだけで開業できるケースも多く、開業資金はほとんどかかりません。

運転資金

ビジネスを継続するには、運転資金も準備しておく必要があります。生活費とは別に、ビジネスに必要な費用の6カ月分を運転資金として確保しておきましょう。店舗を構える場合は、数百万円~1,000万円以上が目安となります。

自宅でできる仕事であれば毎月の固定費は水道光熱費やインターネット代くらいですが、スキルを高めるための講座の受講や書籍の購入などの機会もあります。この場合も月5万〜10万円くらい準備しておくと安心です。

生活費

事業資金とは別に、生活費の準備も必要です。ビジネスが軌道に乗るまで乗り越えるために、6ヶ月分~12ヶ月分の生活費を準備しておきましょう。

生活費を手厚く準備しておくと、売上・利益が思ったように伸びない状況でも、慌てることなく冷静に対処できます。メンタル面で余裕を持つためにも、生活費の準備は重要です。

予備費

事業でもプライベートでも、急な出費が必要なことがあります。たとえば事業なら交際費、プライベートなら家電の買い替えなど。

生活費で補うと余裕がなくなるため、あらかじめ予備費として20万円程度用意しておくとよいでしょう。

脱サラの資金を貯める方法

脱サラをするためのお金をどのように貯めるのか、具体的な方法を解説します。

先取り貯金

貯金で重要なのは、先取りで行うことです。毎月の給料が振り込まれたら、すぐに一定額を貯金用の口座に移動させ、残りのお金で生活することが成功のポイントです。毎月の生活で残ったお金を貯金しようとしても、結局残らないケースが多いでしょう。

各銀行では自動積立貯金サービスを用意しており、毎月決まった日に一定額を貯金用口座に移すことが可能です。無料で利用でき、先取り貯金に役立つため、利用するとよいでしょう。

投資はおすすめではない

事業資金を貯める方法として、投資は推奨できません。その理由は、リスクがあり資金が減る可能性があること、長期で行わなくてはいけないことの2点です。

資産形成は長期で行うため、10年・20年などまとまった時間をかける必要があります。そこまでは待てない方が多いのではないでしょうか。

一方、短期で大きな利益を狙おうとすると、かなりハイリスクな投資に走りやすくなり、こちらもおすすめできません。

脱サラの資金が足りないときの対処法

脱サラの資金が足りない場合には、融資、補助金、フランチャイズなどの方法があります。

融資制度を利用する

これから開業・創業する方は信用度で劣るため、一般的な金融機関から融資してもらうのは難しいです。このため、政府が100%出資する政策金融機関である日本政策金融公庫を利用しましょう。

新規開業資金などの創業向け融資制度は、融資限度額が最大で7,200万円です。返済期間は設備資金が20年以内、運転資金が10年以内であり、長期で返済ができます。

金利は年2.95%〜4.75%程度が目安で、この時点でも一般的な金融機関より低いですが、条件に該当するとさらに低い金利で融資を受けることも可能です(※2026年4月時点)。

補助金・助成金の制度を利用する

国や自治体において、創業者や中小企業を支援するために各種補助金や助成金の制度を設けています。融資と異なり、返済しなくてよいため、条件に当てはまるなら申し込んでみる価値があるでしょう。

ただし審査に関しては、融資よりも厳しくなります。事業計画をいかに説得力を持たせながらアピールできるかがカギとなります。

また、お金をもらってそれで終わりではなく、その後も経過説明を求められるケースもあります。

フランチャイズに加盟する

自己資金が少ない状態で、店舗や事務所などを構える必要がある場合、フランチャイズに加盟する方法もあります。加盟金は500万円程度のケースが多く、自分で何もかも用意するより安く済むでしょう。

フランチャイズに加盟すると、立地調査や店舗運営方法、開店準備などのサポートを受けられます。ロゴやブランドなどすでにあるものを利用できるため、よりスピーディーに出店できます。

開業後も本部から経営指導を受けられ、新商品や新サービスが提供されます。ただし、毎月の売上から一定割合をロイヤリティとして支払うことが必要です。

FPが教える「資産形成」を止めない戦略

脱サラをすると厚生年金から抜けることになり、将来の年金受給額が減ります。このため、脱サラ後の資産形成は欠かせません。

新NISA

新NISAは、投資で得られた利益が非課税となるメリットが大きい金融制度です。つみたて投資枠であれば、毎月100円などの少額で積立投資ができるため、多くの人が利用しやすいでしょう。

新NISAは必要な資金をいつでも引き出せるのもメリットです。10年後の子どもの大学進学資金など、いつまでにいくら貯めるのかを決めるのがポイントです。

iDeCo

iDeCoは個人が任意で加入する年金制度です。毎月掛金を拠出して投資信託などで資産を運用していきます。

iDeCoの掛金は全額所得控除になり、所得税や住民税を安くできるのが大きなメリットです。運用益にも税金がかからず、資金を引き出すときには退職所得控除を利用できます。

ただし、60歳まで引き出せないため、老後のためのお金と考えておく必要があります。老後資金はiDeCo、それ以外は新NISAなどで備えましょう。

小規模企業共済

iDeCoと同じくチェックしておきたいのが小規模企業共済で、こちらも掛金がすべて所得控除の対象です。毎月掛金を拠出し、将来の退職金として受け取れます。

会社員を辞めると退職金がなくなるため、小規模企業共済を利用して退職金の代わりを用意することが重要です。

脱サラに向けて準備しとくべきこと

資金の確保以外で、脱サラに向けてやるべきことをまとめます。

クレジットカードを作成する

会社員を辞めると社会的な信用度が落ちるため、金融機関の審査で不利になる可能性があります。脱サラをする前に、クレジットカードを発行しておきましょう。

すでにクレジットカードを持っている方も、事業専用のクレジットカードを発行しておくと便利です。プライベートと事業の支出を明確に区別でき、記帳作業も楽になります。

健康保険の任意継続について調べておく

脱サラ後の健康保険の主な選択肢は、国民健康保険への加入と、会社員時代の健康保険の任意継続の2つです。それぞれの場合の保険料がいくらになるか、事前にチェックしておきましょう。

どちらが割安なのかは、家族構成などによって異なります。

なお任意継続は最大2年間まで加入できますが、それ以降は国民健康保険などに加入する必要があります。

教育訓練給付金の利用を検討する

脱サラで開業のために必要な資格の取得、知識・技術を身に付けたい場合、教育訓練給付金の活用を検討してみましょう。初めて利用する場合は、雇用保険に1年以上加入していれば対象であり、受講費用の20%(最大10万円)を受け取れます。

退職後でも受講可能ですが、退職した翌日から1年以内という制限があるため、退職した場合は急ぐ必要があります。

eラーニングなど自宅で学習できる仕組みもあるため、平日は忙しい方も土日を活用してスキルアップができます。

家族とよく話し合う

意外と盲点になるケースもありますが、事前に家族との話し合いの時間を十分に取ることも重要です。安定収入を前提に生活している家族にとって、脱サラは不安や心配が伴います。

事業を開始しても、最初からうまく行くことはまれで、軌道に乗るまで時間がかかるケースもあります。その間のお金をどうするのかも含め、家族とよく話し合うことが必要です。

その一方、脱サラ開業は家族にとってのメリットもあります。家族が好きな仕事ができ、一緒に過ごす時間を増やせる可能性もあります。