ENEOSは、本社にて「2025年度ENEOSエネルギー技術会議」を開催した。本会議は、製油所・製造所および関連部門が一堂に会し、安全推進や安定操業、競争力強化に向けた取り組みを共有するもので、社員による研究発表を通じて技術交流と意識向上を図ることを目的に毎年実施されている。

当日は「新技術・将来像」と「基盤事業の競争力強化(安全安定操業・効率化・省エネ)」の2部構成で、計8件の研究成果が発表された。既存設備の高度活用や管理技術の導入、デジタル・AIの活用など、多岐にわたるテーマが扱われた。

会議冒頭では山口敦治社長が登壇し、これまで培ってきた技術の継承とさらなる高度化の重要性を強調。成果だけでなく課題や工夫の共有が、改善活動の加速や新たなアイデアの創出につながるとの考えを示した。

こうした考えのもと発表された取り組みの中から、本稿では一部の事例を紹介する。

外面腐食検査のDX、教育とデータ活用で高度化

配管の外面腐食とは、配管に施工されている保温材の劣化によって雨水が浸入し、そこから配管が錆びで穴が開いてしまう状態のこと。配管漏洩のトラブルの中でも比較的高い割合を占めているという。

同社では、1次検査(全配管の目視によるスクリーニング)と2次検査(目視で発見したリスクの高い箇所の詳細チェック)を組み合わせた体制を構築しているが、判断の難しさや対象設備の多さといった課題があった。

こうした課題に対し、川崎製油所では運転員向け1次検査教育アプリ「ぴん! とゲームズ」を導入。クイズ形式で判断力を養う仕組みとし、約250問の問題やスコア・ランキング機能により、継続的な学習を促進している。

さらに、本社主導で外面腐食管理アプリの導入も進めている。従来は印刷した図面への記録やExcelやWordでレポートを作成を行っていた。同アプリの活用により、タブレットでの入力で現場対応が完結するようになり、クラウドでの情報共有も可能となった。

同アプリはリリースしてから約3年で、登録された検査点の数は2026年1月末時点で累計10万点以上に。今後はデジタルツイン基盤との連携やAI活用も予定されている。

タンク監視のデジタル化で安全性と省人化を両立

水島製油所では「タンク槽内デジタル監視システム」を導入し、監視業務の効率化と安全性向上を図っている。従来は監視人が現場で作業を見守っていたが、人手不足や猛暑によるリスク、大きなタンクの場合は、奥の方が暗くて見通しが悪く、作業状況の把握が難しいといった視認性の低さが課題となっていた。

同システムでは遠隔カメラを活用し、監視室から複数の作業を一括監視。ズームや暗視機能によりタンクの奥の方が見えづらいという課題も解消し、監視人の負担軽減と安全性確保を実現している。

また、入槽管理もICカードによるオンライン化を実施し、作業者の状況を遠隔で把握可能とした。2025年7月から本格運用を開始し、コスト削減や作業効率向上、労災リスク低減といった効果が確認されている。

全発表後の講評では、寺本光司常務が「第1部はポジティブな姿勢、第2部は困難に向き合い解決策を導いた内容だった」と振り返り、「各現場がそれぞれの観点からリアルに成果を出している点は非常に素晴らしい」と総括。同社は今後も技術開発と現場改善を通じて、安全性と競争力の強化を図っていく考えだ。