マイナビが、燃料価格の高騰が日本の農業経営に及ぼす影響について、同社が運営する「マイナビ農業」責任者による現状分析と現場の声を紹介している。
燃料価格の急騰が農業経営を直撃
イラン情勢の悪化よる原油価格の高騰により、ガソリンや軽油、農業用資材の価格を押し上げており、日本の農業現場にも大きな影響が広がっている。経済産業省 資源エネルギー庁によると、国内のレギュラーガソリン平均価格は2026年1月中旬には1リットル当たり約155円だったものの、3月中旬には190円を超える水準に達した。ここ数年では最高水準であり、短期間で大幅な上昇となっている。軽油や灯油など他の燃料も同様に高止まりしており、日常的に燃料を使用する農業分野では、コスト増に直結してる。こうした負担を販売価格に転嫁しにくい農業現場では、経営への影響を懸念する声が広がっている。
具体的な影響としては、以下の3点が挙げられる。
1.生産コストへの影響
燃料価格上昇によりトラクター等の運転に必要な軽油代や、ビニールハウス暖房用の重油代などが急騰し、野菜の生産コストが押し上げられている。
2.収益構造への影響
燃料や資材の高騰で生産コストが上昇しているにもかかわらず、農産物の市場価格は大きく上げられず据え置かれる傾向にあり、農家の利益率が圧縮されている。
3.農業経営・持続可能性への影響
燃料をはじめとする生産コスト高騰が長期化すると、経営体力を著しく奪い、営農の継続が困難になる。一部の農家からは「赤字が拡大し、このままでは農業を続けられない」との声も。
農家から寄せられる切実な声
各地の農家からは、以下のような声が挙がっているという。
「ガソリン価格が上昇しており、通勤費だけでなく、田んぼの荒起こし・ならし等の作業全般に大きな負担が生じている。今後の作業計画に支障が出る可能性が高く、燃料確保に不安を抱えている」(石川県/米・野菜農家/50代女性)
「燃料価格の高騰により、施設園芸に不可欠な空調費をはじめ、農業用資材、物流費、人件費などあらゆるコストが上昇し、農業経営を大きく圧迫している」(富山県/施設園芸/20代男性)
「畜産業では、牛の運搬のため大型車両を日常的に使用しており、燃料価格の高騰は経営に大きな負担となっている。あらゆる生産コストが上昇する中で、燃料価格の高騰が追い打ちとなり、極めて深刻である」(長崎県/畜産/30代男性)
マイナビ農業責任者「社会全体の課題として可視化を」
全国の農家を見てきたマイナビ農業の伊藤槙吾氏は、現状について次のようにコメントしている。
「昨今の燃料価格高騰は、農業経営におけるコスト構造に大きな影響を及ぼしており、生産現場では営農継続への不安の声を耳にします。マイナビ農業では、こうした状況下における生産者の実態や声を正確に社会へ届けることが重要であると考えております。特に、燃料費の上昇が収益を圧迫し、経営判断に直結している現状は、生産者だけでなく社会全体の課題です。今後も生産現場に寄り添いながら、生産者一人ひとりの声を丁寧に発信し、農業を取り巻く課題の可視化と理解促進に努めてまいります」(伊藤氏)
