帝国データバンクは2026年4月3日、国内景気動向調査(2026年3月調査)の結果を発表した。本調査は、国内景気の実態把握を目的として2002年5月から継続している月次統計調査。2026年3月17日〜31日の期間、全国2万3,349社(有効回答企業1万312社)を対象にインターネット調査にて行われた。
国内景況感の動向、原油高騰が直撃し2カ月ぶりに悪化
2026年3月の景気DIは前月比1.4ポイント減の42.9となり、2カ月ぶりに悪化した。緩やかな回復基調にあった国内景気は、中東情勢の緊迫化にともなう原油価格の高騰や燃料費の上昇、先行き不安から大幅に下落した。物流費や原材料コストの押し上げが全規模・全業界・全地域に波及し、運輸・倉庫や小売などで厳しい状況が続いている。一方で、インバウンドや春休み需要が下支え要因となったほか、売り上げや生産・出荷量は底堅さを残した。
今後の景気は、高まる不確実性のなかで下振れリスクをともないつつ、弱含みで推移するとみられる。原油高による企業収益や家計負担の下押し、金利上昇による設備投資の停滞が懸念材料となる。政府の成長投資や賃上げ継続が購買力を支えれば底堅さを保つ見込みだが、急激な円安や株価急落、国際情勢の不安定化が強まれば下振れする可能性が高い。
全10業界が一斉に悪化、運輸・倉庫は3年ぶりの低水準
2023年9月以来、2年6カ月ぶりに全10業界がそろって悪化した。中東情勢による原油高と供給不安が幅広い業種で悪材料となっている。
「運輸・倉庫」は38.5(前月比5.3ポイント減)と大きく落ち込み、3年1カ月ぶりに30台となった。燃料コストの増加に加え、海運での迂回運航による航海日数延長などが深刻な影響を及ぼしている。「小売」は37.7(同2.5ポイント減)に下落。「専門商品小売」が大きく落ち込んだほか、寒の戻りで「繊維・繊維製品・服飾品小売」も振るわなかった。一方、「医薬品・日用雑貨品小売」は来局者の増加により改善した。「製造」は40.5(同1.3ポイント減)で、原材料の調達難や大手自動車メーカーの減産が響いた。「サービス」は47.8(同0.8ポイント減)となり、燃料高騰による電気・ガス等の落ち込みが目立ったが、春休み需要で「旅館・ホテル」は回復傾向にある。
規模別:11カ月ぶりに全規模がそろって悪化
「大企業」「中小企業」「小規模企業」が11カ月ぶりに一斉に悪化した。「大企業」は47.3(前月比1.5ポイント減)で、原料費上昇を危惧する「建設」や「運輸・倉庫」が重しとなった。「中小企業」は42.1(同1.4ポイント減)となり、製造業や3年ぶりに30台へ転落した「運輸・倉庫」が全体を押し下げた。「小規模企業」は41.0(同1.6ポイント減)で、価格高騰による需要減少に直面するガソリンスタンドなどの「小売」が低迷した。
地域別:2年6カ月ぶりに全10地域が悪化
2023年9月以来、2年6カ月ぶりに全10地域が悪化した。中東情勢による原油高の影響が全国に広がっている。「南関東」は46.3(前月比0.9ポイント減)で、消費低迷の影響を受けるサービス業などが押し下げた。「近畿」は41.7(同1.8ポイント減)となり、貨物輸送の停滞が聞かれる「卸売」や「製造」の下落が目立った。「四国」は40.4(同2.3ポイント減)で、サービス業や原材料確保が懸念される「製造」が大幅に低下した。
中東情勢に関する企業の見解
原油価格の上昇によるコスト負担に加え、関連資材の調達難や荷動きの停滞、消費者の生活防衛を危惧する声が多い。この影響はエネルギー多消費産業だけでなく、化学肥料を使う農林水産業や塗料を使用する建設関係など幅広い分野に波及しており、企業や家計にとって大きな負担となることが予想されている。




