桜と自転車通勤の時季がやってきた。冬物のコートが必要なくなり、日射しが春めいてくるとカラダを動かしたくなる。そう思ったなら、満員電車に別れを告げて、自転車通勤をはじめてみよう。
自転車通勤は心身にポジティブ効果を与える
ペダルを漕ぐ習慣を持つメリットは数多くある。サイクリングは脂肪と酸素をエネルギーにする有酸素運動。ダイエットに役立つし、公共交通機関の時刻表や路線図に惑わされることなく目的地へも一直線。イギリスの公衆衛生専門の国際医学誌「British Medical Journal」に掲載された研究によると、毎日自転車に乗ることでガンと心臓病の発症率が45%も減少したという結果もあるという。また、一過性の有酸素運動は認知機能(ワーキングメモリ)を向上させ、脳のパフォーマンスを安定して発揮させる可能性も示唆されている 。
自転車通勤による心理面のポジティブ効果も確認されている。シマノによる都内在住の会社員を対象とした2カ月間の継続調査によると、自転車通勤をした日と自転車以外で通勤をした日では、精神面の安定度や活性度(やる気)に有意な差があったという。
他にもメリットはたくさんある。しかし、自転車通勤の魅力は理解しつつも、踏み切れない人も多いはず。
「とはいえ、自分には無理……」
そう諦める前に、実現するための方法を学ぼう。
毎日じゃなくてもOK
世界保健機関(WHO)は成人の健康を守るための最低目安として「息がはずむけれど会話ができるペース」での運動を、1週間に150分以上の推奨している。これなら片道20分なら週4日でクリアできる。雨や風が強くて乗りたくない日は無理に頑張る必要はない。自転車通勤するのが3日だけでも、目標のほとんどを達成できるというわけだ。
ちなみにシティサイクルの平均時速は概ね時速15㎞弱。道路状況によって違いはあるが、片道20分なら5㎞も移動できる。さらにスポーティーなクロスバイクなら時速18㎞ぐらいはラクに出せる。体重60㎏の人が時速18㎞で1時間走ると、200~250Kcalほど消化すると言われている。食事の量を少し控えめにして片道30分、週に4日走ると月1㎏程度の減量ができる。
距離はともかく、坂が多くて……という人は、電動アシスト自転車を使うのもアリ。運動量は通常のペダルバイクと比べて落ちるが、向かい風や坂を気にしないで走れるため、走行距離が伸び、自転車通勤をする日数が増えるという統計データもある。
青切符導入で走りやすくなる?
2026年4月1日に改正道路交通法が施行され、自転車にも『交通反則通告制度(いわゆる青切符)』が適用される。ということは、「ながらスマホ」で走ったり、信号無視で交差点に進入してくる人や、歩道を高速で走る人、警報器が鳴っている踏切に進入するなどの無法者が減ったりするということ。どの行為も見かけたり、不快に感じたりすることがあるだろう。
いきなり環境が変わりはしないだろうが、長い目で見ると走りやすい環境になるというわけだ。罰則規定は113項目にも及ぶが、青い切符の重点取り締まり対象は以下の6項目(※警察庁「自転車ルールブック」(令和7年9月)参照)。
- 信号無視 反則金6,000円
- 一時不停止 反則金5,000円
- 通行区分違反(右側通行=逆走など) 反則金6,000円
- 指定場所一時不停止等(踏切など) 反則金7,000円
- 歩行者用道路での徐行違反 反則金6,000円
- 通行禁止違反(自転車進入禁止エリアの走行) 反則金6,000円
なぜ、青切符の対象ではあるが「ながらスマホ」(反則金12,000円)は入っていないか、それはすでに厳罰化されているから。そして、事故につながれば赤切符の対象となる。厳しくなるようにも見えるが、正しく走っているならば、なにも変わらないというわけだ。
自転車通勤前に確認しておくべきこと
季節も環境も良くなることはわかったが、いくつか解決しておかねばならないポイントもある。事前にしっかりとチェックしておこう。
【会社が自転車通勤を認めているか】
通勤中は労災対象なので、禁止されている場合もある。うっかりすると通勤手当の不正受給とみなされることもあるので、キチンとチェックしておこう。
【会社に駐輪場はあるか】
会社に駐輪場があれば問題ないが、都心のオフィスには保管スペースがないことも多い。折りたたみ自転車なら持ち込める場合もあるが、駐輪しても問題ないか確認は必要だ。
駐輪場がない場合は、オフィスの最寄り駅ではなく、数駅離れた場所からシェアバイクを使うという手もある。東京、大阪、名古屋、仙台、広島といった主要都市なら月額3,300円(30分以内)で使えるので、家から最寄り駅までサイクリングと合わせて運動不足の解消を図ることもできる。
最後に。
ゴールデンウィークを過ぎると汗ばむ日も増える。オフィスに到着する5分前からはペースを上げないこと。また、臭いが気になる季節になったら、アウトドア用の制菌加工されたインナーシャツやメッシュ素材のインナーを着用。オフィスに到着したら制汗シートで身体を拭い、着替えてしまう。
これから梅雨までは、自転車に乗っていちばん楽しい季節。新しい生活習慣として、自転車通勤を採り入れてみよう。

