賃貸住宅の退去のタイミングで突然突きつけられる、「思ったよりも敷金が戻らなかった」という現実。初めての一人暮らしでは、「どこまでが自分の責任なのか分からない」「これって普通……?」と混乱したまま請求を受けてしまうケースも少なくない。実際に、マイナビニュース会員500人への調査では、退去時の費用やトラブルで「しまった……!」と感じた経験がある人は42.2%にのぼった。決して珍しい話ではないのだ。

実際にあった退去時の誤算エピソードを紹介していこう。

  • 「入居時に傷を確認していなかったため、退去時にこちらの責任になった」(女性/37歳)
  • 「実家と同じような感覚で画鋲をたくさん刺していたので壁紙の貼り替え費用がかかってしまった」(女性/26歳)
  • 「クロスに日焼けした部分があり、経年劣化を主張したが認められず、多額の修繕費用が発生した」(男性/38歳)
  • 「かなり高額な敷金を払ったが、退去時に1円も返還されなかった」(女性/26歳)

こうしたトラブルは決して珍しいことではない。壁紙の日焼け、床のへこみ、身に覚えのない傷……。退去時に初めて気づいて、「こうしておけば良かった……」と、後悔する人は多い。では、こうしたトラブルを防ぐためにはどうすれば良いのだろうか。

入居時にやっておきたかったこと

退去時に後悔しないためには、まず「入居時の傷や汚れを写真に残しておく」ことが重要だ。入居前にあった傷だと説明したところで、証明するものが無ければ話が進まない。時間が経つと、自分でも「これって前からあった?」と曖昧になりがちなので、家具や家電を運びこむ前にしっかり撮影を。

また、賃貸物件には、退去時に“借りたときの状態に戻す”という原状回復のルールがあることも忘れてはいけない。壁にポスターを貼るときも、腹筋ローラーを使うときも、穴をあけたり凹ませたりしないよう注意が必要だ。

とはいえ、どれだけ気を付けていても、物を落とせば床に傷がつくこともあるし、コーヒーをこぼせばシミにもなる。そもそも、傷も汚れもゼロで暮らす、なんてことは不可能だ。だからこそ、「傷をつけないように暮らさなきゃ……」と神経質になるより、「傷や汚れは付くもの」を前提に、つきやすい場所をあらかじめ“保護しておく”という発想が有効だ。

退去トラブルを防ぐ便利アイテム

では、実際にどんな“保護”の仕方があるのか。ここでは、退去トラブルを防ぐのに役立つ便利アイテムを紹介する。原状回復の基本知識に加えて、こうしたアイテムを取り入れておけば、「あの時やっておけば……」という後悔をグッと減らせるはずだ。

■壁の穴(画鋲・ネジ)

画鋲やネジで壁に穴を開けてしまい、貼り替え費用を請求されるケースはかなり多い。そこで便利なのが、跡が目立ちにくい石膏ボード用ピンを使うフック。通常の画鋲よりも穴が小さく、跡が残りにくい。

  • アイテム例:「石膏ボード用フック シングル」

    アイテム例:「石膏ボード用フック シングル」

■家具や家電による床の傷

椅子を引いただけでフローリングに傷がつくこともある。また、重いテレビを載せる台など、特に、細い脚で支えるような家具は要注意。家具の脚に貼るタイプの保護材を使えば、床へのダメージを軽減できるだけでなく、椅子を引くときの音や振動を抑え、下階への騒音トラブル予防にもつながる。

  • アイテム例:「貼るだけ簡単 クッションフェルト」

    アイテム例:「貼るだけ簡単 クッションフェルト」

■冷蔵庫による床の傷み

冷蔵庫などの重たい家電は、置くだけで床に傷や凹みができることがある。そんな時は、床用の保護パネルを敷いておくのが効果的。また、家電の熱で壁紙が変色するケースもあるため、剥がせるタイプの保護シートを壁に貼る、あるいは壁から少し離して設置すると安心だ。

  • アイテム例:「冷蔵庫 床プロテクトパネル」

    アイテム例:「冷蔵庫 床プロテクトパネル」

■カビ・水垢

物件によっては、結露や湿気が原因で水回りだけでなく部屋中にカビが発生することもある。日当たりが悪い部屋や築年数の古い物件は特に注意したい。普段の掃除に加えて、防カビアイテムを定期的に使用すると予防効果が高まるだろう。

  • アイテム例:「防カビ・抗菌スプレー」

    アイテム例:「防カビ・抗菌スプレー」

まとめ

そのほか、浴室の鏡のうろこを掃除していなかったり、原状回復のルールを知らずに喫煙してしまい、清掃費・修繕費として敷金が戻らなかったなど、敷金トラブルは決して特別なケースではない。

いずれにせよ、入居前に原状回復のルールを知り、傷や汚れを“予防する仕組み”を整えておくだけで、思わぬ出費を減らせるはず。さらに、入居後もこまめな掃除や日常的なケアを続ければ、退去時の負担もぐっと軽くなるだろう。「知らなかった……」で後悔しないために、今日からできる小さな対策で、快適な賃貸暮らしを実現してほしい。