中東情勢の緊迫化や円安の影響で資産防衛への関心が高まっている。が、実際に我々の身の回りにある「金(ゴールド)」「ブランド品」「時計」などの資産が、その価値をどう変化させているのか、正確に把握できている人はそう多くないのではないか。
そこで今回は、大手買取専門店「買取大吉」の鑑定士・木村健一さんに、現在のリアルな状況と賢い売却のタイミングなどについて詳しくうかがってみた!
中東情勢の緊迫と「安全資産」としての金
――中東情勢の緊張が続いていますが、買取の現場ではどのような変化が見られますか?
やはり中東情勢、具体的にはイスラエルやイランをめぐる緊張が高まったことで、安全資産とされる金に資金が流れやすくなっていると思います。同時に、ニュースやバラエティ番組でも「金が過去最高値」と頻繁に取り上げられるようになった影響もあって、お客様の間でも「今が売り時だ」という認識が強まっているのを感じますね。
――具体的に、持ち込みの量は増えているのでしょうか。
圧倒的に増えています。直近のデータで見ても、金の持ち込みは前月比で110%を超える伸びを見せています。テレビなどのメディアで金の高騰が取り上げられた直後などは、来店数が通常の1.2倍から1.3倍に膨れ上がることも珍しくないですね。
ただ、状況は結構複雑で、本来は地政学リスクが高まると金が上がり、原油価格が上がると金が下がる、といった傾向にあるのですが、最近は株価も原油も金も、すべてが不安定に連動しているような状態が続いています。その不安定さもあって、現金に換えておきたいという心理が働いているのかもしれません。
ロレックスが再び「復調」している理由
――金以外、例えば高級時計の相場はいかがですか?
時計に関しても、一時期のような下落トレンドを抜けて、現在は復調傾向にあります。特にロレックスの「デイトナ」や「サブマリーナー」といった、いわゆるスポーツモデルは以前よりも買取価格が上がっていますね。
――なぜ今、再び時計の価格が上がっているのでしょうか。
大きな要因の一つは、ブティック(正規店)での定価改定です。ロレックスなどは数ヶ月に一度のペースで値上げを行っていて、例えば、かつて定価200万円台だったモデルがいまや700万円を超えるといったケースもあります。基本的に、中古市場の相場は定価に引きずられるので、二次流通の価格も1000万円を超えるような現象が起きているんです。
――他に最近の買取市場のトレンドで、何か特徴的な動きはありますか?
例えば、今まで趣味と実益を兼ねて持っていた高級時計を一度売却し、そのお金を金や株への投資に回そうかと考えている人も増えている印象です。高級時計も確かに資産価値がありますが、価格の伸び率という点では、今の金や日経平均の勢いの方が魅力的ではあります。「時計はもう十分楽しんだから、次はもっと手堅い資産にしよう」と考える方は一定数いると思います。
「売るべきもの」と「持っておくべきもの」の判断基準
――今、手元にある品物を売るべきか迷っている方にアドバイスはありますか?
純粋な資産として、今後長い目で見てお金を増やしたいという目的であれば、金や超一流ブランド(エルメスやシャネルの定番品)は、まだ持っておいてもいいかもしれません。評論家の間でも「金はまだ上がる」という説が根強いですからね。
一方で、トレンドで大きく価値が左右されるアイテムなどは手放してもいいと思います
――具体的にどういったものでしょうか。
例えば、デザイナーが頻繁に交代するブランド……グッチ、ボッテガ・ヴェネタ、セリーヌや、一過性の流行で価格が跳ね上がったモデルですね。これらは今がピークである可能性が高く、時間が経つほど価値が下がってしまいますし、そもそも劣化していきますからね。バッグや衣類は、保管しているだけでもベタついたり、日焼けしたりします。そうなると査定額はガクッと落ちてしまうので、「もう使わないだろう」と思ったら売却してしまっていいのではないでしょうか。
――最後に、相場の激動に不安を感じている方へメッセージをお願いします。
全体的に物の価値は上がっているので、ここで一度利益を確定させて、キャッシュを手元に残すのも決して悪い選択ではないと思います。利確した時点で損することはありませんからね。ただ、金や資産価値のあるブランド、時計などをお持ちの場合は、急いで売る必要もないと思います。そのあたりのタイミングはぜひ、冷静に考えてみていただきたいと思います。
