日本ベーリンガーインゲルハイムは2月16日、「脂肪肝に関する認知・理解度調査」の結果を発表した。調査は2025年11月27日~12月1日、35~74歳の全国の男女2,000人を対象にインターネットで行われた。

「脂肪肝」認知度8割超も、疾患の理解度に課題

脂肪肝を「知っている」「聞いたことはあるが、詳しくは知らない」と回答した人の割合は8割を超える一方、理解度の側面から見ると、脂肪肝がどのような病気なのか「知っている」と回答した人は4割未満に留まる結果となり、疾患名自体は広く知られているものの、詳しい理解には至っていない人が多いことが明らかになった。

  • あなたは「脂肪肝」を知っていますか

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肝臓の役割は「アルコール分解」のイメージに留まる

肝機能の認知については、「アルコールや薬などの有害物質を分解して無害化する(解毒)」が最も多く、その一方で、アルコール分解以外の役割(代謝や免疫、胆汁の生成・分泌、栄養の貯蔵等)の認知に関してはいずれも4割以下に留まり、「特に思い浮かばない/わからない」と回答した人も2割を超える結果となった。

  • 肝臓の役割と聞いて、知っているもの全てお答えください

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脂肪肝と代謝疾患の関連認知は不十分

「脂肪肝が関連する病気」について当てはまると思う疾患を聞いたところ、「肝硬変」を選んだ人が過半数を超えた一方で、それ以外の疾患についてはいずれも4割以下となった。また、「脂肪肝炎」を選んだ人は3割弱に留まったことから、脂肪肝と脂肪肝炎の関連性についての理解も低く、脂肪の蓄積でも肝炎が引き起こされることを知らない人が多いことも分かった。さらに、肥満症、脂質異常症、2型糖尿病などの"代謝疾患"と脂肪肝が関連していると回答した人はいずれも2割未満となった。

  • 脂肪肝が関連する病気について、当てはまると思うものを全てお答えください

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AST・ALT・γ-GTPの認知・理解度

肝機能を表す指標であるAST・ALT・γ-GTPの認知・理解度を聞いたところ、「肝臓に関する項目であることを知っている/意味も理解している」と答えた人は、いずれの項目においても2割以下に留まった。言葉を聞いたことが無い・意味を理解していない人も多く、約8割はAST・ALT・γ-GTPの項目を正しく理解していないことが明らかになった。

  • 肝臓に関する下記の検査項目についてどの程度理解していますか

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脂肪肝のリスクと早期対応の必要性

肝臓の健康に目を向ける重要性について、同社は以下のように解説している。

脂肪肝とは?

肝臓はアルコール分解のほかにも腸で消化・吸収したさまざまな栄養素を取り込んで分解したり新たに合成したりして、バランスよく全身に供給する大事な役割を担っている。食事でとった糖分は、通常はグリコーゲンとして肝臓に一時的に貯蔵されるが、過剰な糖分は中性脂肪に変換されて肝臓にたまる。食べ過ぎや運動不足などのために食事でとったカロリーが消費量を上回ると、肝臓で中性脂肪が多く作られ、脂肪肝となる。

脂肪肝から肝硬変になった場合のリスクとは

脂肪肝が進行して肝硬変を発症すると、黄疸や足のむくみ、腹水がたまることによる腹部の膨満感(お腹が張った感じ)などがあらわれることがある。その結果、これまで当たり前に行えていた食事や飲酒にも制限が生じ、加えて通院や入院の回数が増えることで、医療費の負担も増加する。こうした影響は健康面にとどまらず就労にも及び、肝移植後2年での就労率は43.3%と報告されており、半数以上が仕事に復帰できていないことが明らかになっている。このように、脂肪肝の進行は将来的に身体面・生活面・社会生活のすべてに影響を及ぼす可能性があるため、早い段階からの適切な対応が重要とされる。

一般的な健康診断での血液検査項目が指標に

今回の調査結果では、肝機能を表す指標(AST、ALT、γ-GTP)を理解している人は2割以下となったが、脂肪肝は、初期の段階では自覚症状がほとんどないため、健康診断などで確認できる数値や検査結果(指標)を参考に、肝臓の状態を知ることが大切。代表的なものとして、血液検査で測定できる、AST(GOT)やALT(GPT)、γ-GTPといった項目があり、これらの指標が肝臓に負担がかかっていないかを見る目安となる。

健康診断の肝機能検査の確認が大切

一般的にBMIが高い人のほうが脂肪肝のリスクが高いものの、日本人を含む東アジア人においては、普通体重であっても脂肪肝に至るリスクが相対的に高いという報告もある。そのため、普通体重もしくはやせ型の人であっても健康診断結果や医師の診断などを基に、自身の発症リスクを正しく認識することが重要となる。

健康診断でAST(GOT)やALT(GPT)、γ-GTPといった項目が高いと指摘された場合や、脂肪肝を指摘された場合には、自己判断せず、早めに医師へ相談することが望ましい。日本肝臓学会は受診の目安として「ALTが30を超える場合」としており、この基準を覚えておくことも有用である。また、すでに2型糖尿病や脂質異常症などの代謝疾患を罹患している人は、肝臓の健康にも目を向け、定期的な確認を心掛ける必要がある。