小学生向けに理系の仕事や研究の魅力を伝え、将来の進路選択のきっかけ作りを目指す体験イベント「リケコのすすめ」が2月11日、札幌・アリオ札幌で初開催された。

企業・団体からは、北海道電力をはじめ、機能性食品原料メーカーのアミノアップ、総合建設企業・戸田建設、光学機器専門メーカーのIDDK、日本弁理士会北海道会、北海道発明協会がブースを出展。大学では、北海道大学工学部と室蘭工業大学が参加し、小学生に理工学の楽しさを伝えた。

道内の理系企業・大学の仕事、研究を体験

オープンの11時には長蛇の列が会場を取り囲んだ。「不思議! 温度で色が変わるスライムを作ってみよう!」を実施した室蘭工業大学のブースは、配布された入場整理券が開場前になくなるほどの大人気。イベントに参加した小学生は6時間で約1,000人に及んだ。

主催した経済産業省 北海道経済産業局 地域経済部 産業技術革新課 知的財産室長の早乙女愛佳さんは「ここまで並んでいただけるとは全く思いませんでした」と、昼食時間になっても、減るどころか増える一方の行列に驚きを隠せなかった。

本イベントの初開催にあたり、北海道経済産業局は、北海道大学工学部の呼びかけで昨年6月に発足した、工学分野を志す女性の拡大を目指すプロジェクト「We are Engine.―女性エンジニアは世界のエンジンだ―」の参加企業・団体・大学に協力を呼びかけた。

プロジェクトに関わる戸田建設、北大工学部らとともに、北海道電力も出展を決めた。「2040年には、理系の人材が100万人不足するといわれております。今の小学生から、一人でも多くの理工学系の(今まで世の中になかった価値提案ができる)イノベーター人材が育ってほしいという思いを込めて、イベントを企画しました」と早乙女さんは話す。

電気で楽しく遊ぶ、北海道電力もブース出展

北海道電力のブースには「電気で楽しく遊ぼう! 学ぼう!」をテーマに、小学生を理系の道に引き込むアイテムが用意された。

1つ目は、「発電トライ&タッチ」。ゲーム台のボタンを、光っているうちにたたければ得点が入る仕組み。光っているボタンを見つける広い視野、見つけた時にすぐ叩ける反射神経が試されるゲームだ。一般的なもぐらたたきとの違いは、もぐらが下から出てくるのではなく、ボタンが光ることと、エネルギー関連の施設のイラストが台上に描かれていること。イラストには原子力発電、水力発電、風力発電、太陽光発電、変電所などがあり、夢中になってボタンを押している間に、電気がどのような施設を通って家庭に届いるのかがわかるようになる。

2つ目は、「人力発電カメラ」だ。手回し発電機を回すと電気が発生。5ワットに到達すると、シャッターが切れ、その瞬間の写真がプリントされる仕組みになっている。

力いっぱい発電機を回さないとシャッターは切れないが、一生懸命に回し過ぎると、必死に回している時の表情がプリントされてしまう。そのため、サポートスタッフの「笑顔で!」という合図は聞き逃せない。手作業でも電気は作れるが、大きなエネルギーを必要とすることを、身をもって感じられるカメラである。

北海道電力 広報部 コミュニケーション戦略グループの菅野望愛さんは、「理工学系の道に進む女性を増やす目的で『We are Engine.』が始まり、私たちもその取り組みに参画しています。このイベントは、まさに理系の子どもたちを増やそうという試みですし、まずは子どもたちに『楽しい』と思ってもらえるようにと考え、電気で遊べるように準備しました。小学校高学年になると、発電のキットを学校などでもらえることがあると思います。その時に、『やったことがあるな』と思い出してもらえたらうれしいですね。今後は他のブースのように実験などを取り入れることも考えます」と話す。

北海道電力のブースでは、ラストの午後5時まで子どもたちが列を作り、ブースには終始笑顔があふれた。

正午と午後2時の2回は、北海道電力のコーポレートキャラクター・エネモが会場に現れ、入場を待つ子どもたちとの写真撮影に笑顔で応じた。運の良い参加者は、同じ時間に現れた室蘭工業大学のキャラクター・ムロぴょんとエネモがそろった、3ショット写真におさまった。

エネモのぬいぐるみをもった女の子は、うれしそうにエネモの大きな体を抱きしめた。北海道電力のブースでアンケートに答えた参加者には、菅野さんがデザインに関わった最新のエネモ・クリアファイルが手渡された。「私自身が『かわいいな』と思えるデザインにしてみました」と、菅野さんは笑顔で話す。

北海道電力のブースも含め、実験やゲームを満喫した小学生は、「楽しかった!」と、充実した表情でイベントの感想を口にした。全国の大学工学部の女性比率は、20%に届かないと言われる。北海道電力でも、技術職の女性は少ない。「キラキラしたイメージがなく、作業着を着た泥臭い職場のイメージがあるかもしれません。こうしたイベントに参加することで、イメージを少しでも変えていきたい」と菅野さん。

今回の「リケコのすすめ」が、子どもたちにとって理系の世界を身近に感じ、将来の進路や職業選択を考えるきっかけとなることが期待される。