南海電気鉄道は16日、「GRAN 天空」の新車両外観初お披露目報道公開を実施した。「GRAN 天空」は同社の通勤車両2000系を改造した新観光列車。現行の観光列車「天空」(橋本~極楽橋間)に代わり、難波~極楽橋間で4月24日の運行開始を予定している。
「GRAN 天空」の外観は落ち着きのある深紅をベースに、ゴールドを基調とした装飾で繊細な華やかさを表現。「お客さまが南海沿線の魅力や文化に気付き、南海電鉄の『物語』をお楽しみいただける、上質かつ普遍的に愛される外観デザイン」をめざした。「明治から大正、昭和初期のアーツ&クラフツの精神とアールヌーボーの有機的で繊細なデザインを再現するべく、線の強弱やカーブの角度など、細部までこだわりが詰まっています」とのこと。
「車両を横断する象徴的なデザイン」として、「南海電鉄の社章(通称『歯車マーク』)から着想を得た優美に羽根を広げるデザイン」を採用。「この列車旅を通して、旅の可能性を広げて欲しい」との願いを表した。高野山に咲くシャクナゲや、難波駅の駅舎に用いているアカンサスなど、沿線にゆかりのある植物をモチーフとした装飾を随所に散りばめ、沿線の自然も感じられるデザインとしている。
3号車の車体側面(山側)にデザインした「キュリオシティマーク」や、車体前面に掲出するエンブレムのモチーフとして用いた羅針盤は、「旅人の好奇心の広がり」を表現。エンブレムに関して、「通常、羅針盤の方位は東西南北で表すところ、地域の名称を当てはめ、この列車旅を起点とし、沿線各地へ盛り上がりを波及させたい」と説明しており、エンブレム上部の「N」は「Namba」、下部の「W」は「Wakayama」、左右の「K」は「Kansai International Airport」と「Koyasan」を表しているとのことだった。
「GRAN 天空」のベースとなった2000系は、1990年から製造開始した軽量ステンレス製の通勤車両。高野線の急勾配曲線区間の走行に対応しており、通称「ズームカー」と呼ばれたが、南海電鉄の一般的な通勤車両(8300系など)とは異なる車体長17m・片側2扉の車両であることに加え、製造から30年以上経過したこともあり、近年は支線での運用が主となっている。新観光列車の計画段階で車両の新造も候補に挙がったが、総合的な判断として、高野線を走行でき、かつ車両更新の時期でもあった2000系を改造する方向になったという。
高野線の橋本~極楽橋間は急勾配や急曲線が連続する山岳路線であり、走行可能な車両が限定されるという事情がある。この条件に適合した既存車両を改造することで、新造車両よりも開発コストを抑えつつ、確実な運行性能を確保できるメリットがある。2000系はもともと高野線の運用を前提に設計された車両であり、その特性を生かして観光列車として再活用することは、設備投資の効率化と観光サービスの充実を両立させることにもつながる。
観光列車への改造にあたり、苦労した点のひとつに「通勤車両らしさ」をなくすことも挙がった。従来の2000系は車体前面の下部に前照灯・尾灯を配置しているが、「GRAN 天空」に改造された編成は車体前面の上部に丸型の前照灯・尾灯を配置し、イメージを一新している。これも「通勤車両らしさ」をなくすための工夫だという。「GRAN 天空」への改造にあたり、新しいVVVFインバータ装置へ置き換えるなど、床下機器も更新した。
「GRAN 天空」は号車ごとに座席のタイプが異なる。1号車(2151)は「リラックスシート」、2号車(2101)は「ワイドビューシート」、3号車(2051)は「ロビーラウンジ」、4号車(2001)は「グランシート」「グランシートプラス」とされ、とくに3・4号車は「アーバンハイクラスホテルのロビーラウンジのような重厚感と落ち着き」のある内装になる予定。今回の報道公開で、「内装にこだわりをかなり入れています。お金をかけて、皆さんにいいものを提供したいとの思いがありました」といったコメントも聞かれた。
同車両は今後、3月29日に開催予定のお披露目会を経て、4月24日から難波~極楽橋間で2往復運行予定。運行日は「毎週水曜日と第2・4木曜日を除く毎日」(水曜日が休日の場合は運行し、翌日運休。第2・4木曜日が祝日の場合は運行)とされている。車内で提供する食事メニューとして、運行時間に応じてモーニング、ランチ、アフタヌーンティーの3種類を用意。サービス内容に応じてシート別に料金を設定し、高野山を訪れる利用者のさまざまなニーズに対応するという。なお、現行の「天空」は3月20日をもって定期運行を終了。その後、当面はツアー貸切など団体利用の専用列車として、不定期での運行を予定している。































