ビザ・ワールドワイド・ジャパンは2月13日、アジア太平洋地域におけるデジタルコマースの現状に関する最新の調査結果の日本語版を発表した。調査は2025年9月、アジア太平洋地域14市場の18歳以上の消費者14,764人(日本の1,043人を含む)を対象に行われた。

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高所得層ほどAIを活用したショッピングに慎重

アジア太平洋地域では、購買初期段階におけるAIの活用が高まっており、同地域では74%(日本は51%)の消費者が商品の検索、追跡、情報収集のためにAI搭載ツールを利用している。一方で、全体の26%がAIの推奨が自身の最善の利益に完全に合致しているか確信を持てないと回答しており、AI活用型ショッピングにおける透明性や利用者によるコントロール強化へのニーズがみられた。

調査では、こうした慎重な姿勢は高所得世帯でより顕著であり、データの利用方法に対して高い期待を示した割合は高所得世帯では39%と、低所得層の29%を上回っている。また、オーストラリア(38%)、ニュージーランド(37%)、シンガポール(34%)といったデジタル先行市場でも、平均を上回る慎重な姿勢が見られた。なお、本調査における「高所得世帯」とは、月間世帯収入が8,000米ドル以上を指す。

これらの結果は、AI主導型コマースにおいて信頼できる枠組みが不可欠であることを示している。同社はその分野において、Visa Intelligent CommerceとTrusted Agent Protocolを基盤とした、安全かつ拡張性の高い信頼レイヤーを通じて、消費者、AIエージェント、加盟店を結び付け、企業の取り組みを支援している。

AIが商品発見を促するが、決済は信頼が決める

消費者は、価格比較や商品特性の理解といった用途ではAIの活用に抵抗感がないものの、取引が個人的な領域に踏み込むにつれて、その信頼感は薄れていく。調査では、アジア太平洋地域の32%(日本は29%)が依然として個人情報や決済情報をAIに提供することに慎重であり、約半数の45%(日本は44%)は、決済の安全性がより強化されれば、AI活用型あるいはエージェンティックコマースを前向きに受け入れられると回答している。

これらの結果は、AIが商品発見を効果的に促進する一方で、消費者の関心を実際の購買行動へとつなげ、AI活用型コマースのライフサイクル全体の価値の最大化には安全な認証と信頼できる決済体験が不可欠であることを示している。

Visaアジア太平洋地域プロダクト&ソリューション責任者のT.R.ラマチャンドラン氏は次のように述べている。「消費者は、AIがショッピングにおいてより積極的な役割を果たすことを受け入れる準備ができており、エージェンティックコマースはすでに構想段階を超え、日常生活の中で拡大し始めています。この流れをさらに加速させるには、信頼と安全な認証の仕組みが不可欠です。トークン化やVisa Payment Passkeysといったソリューションを通じて、Visaは顧客が求めるシームレスかつ安全な体験を提供し、AIが日常のコマースに自然に組み込まれていく中でも、人々がより自信を持って買い物できる環境を支えています。」

新興国市場で高いAI受容度

アジア太平洋地域では、エージェンティックコマースへの受容度に市場ごとの差が見られ、デジタル成熟度の高さが必ずしも信頼につながらないことが浮き彫りとなった。地域別にみるとインドとベトナムがリードしており、両市場とも42%の消費者がAIを活用したオンライン購買に前向きで、新たな購買体験を積極的に試そうとする姿勢がみられる。

これに対し、デジタル成熟度の高い地域では、AIを活用したオンライン購買に対する慎重姿勢がより強く、AIを活用したオンライン購買に関心を示した割合は日本とシンガポールともに14%、ニュージーランドが16%にとどまった。こうした慎重さは、エージェンティックコマースを受け入れる前提として、データ保護やセキュリティ、個人によるコントロールに対する期待が高いことを反映している。さらに調査では、決済セキュリティの向上がこれらの市場における普及拡大の最大の促進要因であることも示され、安全で信頼できるエージェンティック・エコシステムの必要性が改めて浮き彫りとなった。

日本の状況

日本は、アジア太平洋地域全体と比べて、ショッピングにおけるAI活用には依然として慎重な段階にある。現在、購買初期の段階でAI搭載ツールを利用している日本の消費者は51%にとどまっており、AI活用型コマースはまだ導入初期の段階にあることがうかがえる。一方で、今後の利用意向は高まっており、日本の消費者の91%が、商品探索や追跡においてAIを活用することに前向きだと回答している。これは、購買の検討・探索段階において、AIの支援に対する明確な受容姿勢があることを示している。しかしながら、AIを使って購入や予約まで行うことに前向きな消費者は24%にとどまっており、決済時における信頼面での顕著なギャップが浮き彫りとなった。

日本では、オンライン決済の選択において信頼性と安全性が引き続き重要視されている。一方で、AIを活用したコマースに対する受容は、消費者が購買プロセスに主体的に関与したいという志向に加え、AIによるレコメンデーションの正確性や個人データの利用に対する懸念によって左右されている。こうした点は、信頼できる決済基盤の上に、透明性が高く、消費者がコントロール可能なAI体験を構築する必要性を示している。