イラストレーター溝呂木陽が訪れた、26年ぶりのレトロモビル

こんにちは、古い自動車や、風景、人物などの美しさを水彩画で表現するイラストレーター、溝呂木陽です。

【画像】現地パリならではの空気感がたまらない!クラシックカーの祭典で描かれた数々のスケッチ(写真18点)

レトロモビルはヨーロッパ最大の古い自動車のお祭り、過去に1993年ごろから2000年までユーロになる前のフランスフランの時代に、6回ほど所属するクラブ・ルノーキャトル・ジャポンのメンバーと訪ねたレトロモビル。今回は50回目の節目ということもあり、26年ぶりに1月29~30日の2日間フルで訪ねてきました。

パリの南端、メトロのポルト・ド・ヴェルサイユ駅から近い博覧会場で開催されるレトロモビル。今回はパビリオン7.1~7.3をメイン会場に1階から3階まで広い会場に超弩級の名車たちが居並びます。

各メーカーブースをはじめ、オークショニア、博物館ブース、有名ショップが中央に並び、周りをクラブブーブース、レストアショップ、アートギャラリーや部品屋、ガラクタ屋、ミニカーやアンティーク玩具、オートモビリアから高級ハンドビルド大型モデルまで、さまざまなブースが取り囲みます。

木曜日は開場の10時前から長蛇の列に並び、ネットで買ってプリントしたチケットのQRで入場、まずは主催者展示のブガッティオートレールを目指します。

巨大なオートレールはこのためにミュールーズのミュゼから運び込まれたもので、あのロワイヤルの12.8リッターエンジンを基に開発されたエンジンが搭載され、88両が活躍、この1934年の大統領専用車両のみが残されています。

周りをエットーレやジャンの設計した戦前や戦後のブガッティが取り囲む展示はまさにここでしか見られないもの。ボールペンを片手に下書き無しにスケッチブックにドローイングし、持って来た色鉛筆で彩色していく楽しみ。

描いているとお爺さんや子供が、マニフィクとかトレビアンとか呟いてくれるのが嬉しく、ブガッティオートレールの周りの戦前のブガッティや戦後のあのフェラーリジョッキアーノ・コロンボが横置き8気筒を設計した最後のGPブガッティ・タイプ251もスケッチ。

初日はこの一枚をはじめ、2階のアルファロメオ33/2ペリスコピカや可愛らしいワンオフの750コンペティシオーネ、そして中央でブースを構えるBMWのアートカーなどをスケッチ。有名なモビールの発明者カルダーによる最初のアートカー、カラフルな3.0 CSLやウォーホルのハンドペイントによるBMW M1、リキテンシュタインのドット表現のシルクスクリーンのような320、そしてフランク・ステラによる人気のミリメートルもじっくりと眺めながらスケッチできました。

DSブースでの各大統領専用車の展示も見逃せません

1階ではアルピーヌのツールドコルスの黄色いワークスカーをスケッチし、ルノーブースのクリオラマという展示を眺め、シトロエンブースの実験的なスタイリングのピラミッドを思わせる1980年のコンセプトカー、カリンにも出会えました。

このようなペンと色鉛筆によるスケッチには思い出があります。90年代にレトロを訪れている時、小さなノートを持って来て、パリ在住の自動車画家、吉田秀樹氏のブースに荷物を預けてペンと色鉛筆でスケッチして周り、それを吉田画伯に見てもらう贅沢な体験をしていたのです。

夜は吉田画伯のルノー11でミニカーショップの小嶋の親父さんや写真家の永嶋さんと共にイエローバルブに灯されるパリの街を彷徨ったり、アトリエを訪ねたものでした。

今回2日目は水彩の道具を持って会場入り、まず3階のアートギャラリーブース内の友人のプロフィール24というレジンキットメーカーを主宰するジャン=フィリップ・ボイヤー氏と会い、日本から持参した、僕が製作したばかりの彼のレジンキットの1/24フェラーリ340/375MMを披露、合わせて持って行ったエルベさんの1/24アルピーヌA106キットのレジン製作品も見てもらい、歓迎してもらいました。2日目は朝の10時から夜の10時までの長丁場なので、荷物を彼のブースに預け、ほぼ手ぶらで絵の道具だけ持って各ブースを回ります。

まずは昨日ざっと見て回った3階でスケッチ。

3階は高級ショップやオークショニア、博物館やショパール、リシャール・ミルなどの名ブランドが超弩級のフェラーリレーシングカーなどを展示

ここで持参した小さな椅子に座り、それぞれ下書きから仕上げまで1時間ほどかけて車たちを仕上げていきました。

最初に描いたのは、ちょっとクセのある車を並べたショップで、愛らしい赤いシアタのカレラパラメリカーナ。50年代の南米大陸を縦断するアドベンチャーラリーであるカレラの車の大ファンなのです。

フェラーリたちはリシャール・ミルのブースを中心に素晴らしいモデルが目白押し。それらを前にして描かないと言う選択肢はありません。下書きなしで色鉛筆で形をドローイング、その場で水彩で色をつけていきました。

描いたフェラーリ330P4と250LMル・マン ウィナー、そして512S。周りの人が見てくれたり気を遣ってくれたりしたのも嬉しかったです。

赤鉛筆でフェラーリをドローイングしていると、ムッシュ・ヨシダを覚えていますか?とフランス人に声をかけられたのが嬉しかったです。

そしてこんなGPマセラティである250Fがさらっと置いてあるのもレトロならでは、その美しいV12に惚れました。

素敵なライトブルーメタリックのレーシングカースクール教習車のTカーコブラと超希少なロードカーのフォードGT40マーク3を並べたブースは大変センスがよく、描いた絵を見せるとブースにあげてもらい、奥にある水色の500モンディアルをはじめ希少な車たちを間近に見ることができました。

この日はあまりたくさんのブースを眺めてみるよりも数枚の絵を描くのに熱中して、合間にスーパーで買っておいたハムやパン屋で買ったバゲットをつまみ休憩しながら夜まで過ごしました。

最後にはスパークブースでタイレルP34の50周年展示をスケッチし、ウーゴ社長にも見てもらいお開きとなりました。

お世話になったボイヤーさんのブースではワンオフの手作り1/5スケールのフルスクラッチ、アートとしての精密モデルカーである巨大な330P4やマトラMS650を堪能。アートギャラリーの並びでは自動車画家のクラウスさんとも交流しました。

夜の10時を過ぎて後にしたレトロモビル、ホテルに着いて買って窓の外に置いておいたワインとチーズ、ハムで1人で乾杯しました。

今回のパリは3泊だけの弾丸でしたが、29日早朝着だったのでそのままホテルにスーツケースを預けてレトロ会場入り。地下鉄チケットは10年ほど前に買ったプラスティックケース入りのNavigoというSuicaのようなものに窓口で毎朝1日券をチャージしてもらいました。1日12ユーロくらいで地下鉄バスが乗り放題。到着曜日によっては1週間チケットがお得になります。

最終日の31日は、まず朝暗いうちにホテルを出て(冬は8時まで真っ暗で、夕方5時には暗くなります)8時過ぎにエッフェル塔へ。持って行った模型のフェラーリやアルピーヌ、そして今回のために作ったジェーン・バーキンの1/24フィギュアをエッフェル塔を入れて撮影。

そして土曜日だったので土日開催の、地下鉄のポルト・ド・ヴァンヴ近くの蚤の市へ。青空露天ですが色々な収穫もあります。

大きなブリキのシトロエン(古いものではないですね)や古いプラスティック製ノレブの柔らかなグレーのランチア・アウレリアやアンティークキーホルダー、そしてルノーやシトロエンの60~70年代のカタログも購入。

そのまま急いで予約していたメゾンゲンズブールへ向かいました。

60~70年代のパリを象徴する伝説的なカップルジェーン・バーキンとセルジュ・ゲンズブール。

一昨年シャルロットが撮影した晩年のバーキンとのドキュメンタリーを見てジェーンが好きになり、最近とても長いジェーンの11歳からの日記も読了。その自由で自立した生き方やゲンズブールとの素晴らしい関係を知り、2人が出会った映画「スローガン」も見て、2人をドローイングした画集も製作。3カ月に一度のメゾンゲンズブールの予約を発売日にゲットでき、1月31日の11時にメゾンゲンズブールを訪ねました。事前に画集やフィギュアのことを伝え、当日はシャルロットやメゾンへのプレゼントとして渡しました。

ゲンズブールとジェーンが暮らした家はその当時のまま。少人数の1人や2人に分かれて中に入り、写真撮影厳禁の中、ヘッドフォンから流れるシャルロットの解説や思い出、セルジュの歌声やピアノを聴きながらキッチンやリビング、浴室や寝室をゆっくり見て回りました。

間にはセルジュの歌声やピアノも入り、泣きたくなるほどのパーソナルな体験でした。

メゾンゲンズブールのカフェで食べたクロックムッシュは美味しくて、お腹いっぱいになりました、おすすめです。

そのあとはメトロでいつも言っているミニカー屋のダントイズへ。ここはオリジナルのディンキーなどの復刻ミニカーやアンティークミニカーの他に足元の大きなスーパーのサックに入った冊子ミニカーのトラックや救急車、バス、シトロエンやルノーなどの大衆車が20~25ユーロであるのでお財布に優しい店。ただカードが使えないので、お気をつけください。

その日は夕方モノプリでお土産の買い物をスーパーで。

夜はホテルで夕食を済ませ、パリの夜の余韻に浸り、翌朝ホテルをチェックアウト、弾丸のパリツアーは終わりました。

今回のパリへのチケットは、中国南方航空で往復変更不可チケットなら8万5000円くらい(サーチャージ込み)、僕は変更できるチケットにしたので10万円くらいでした。広州乗り継ぎは行きは時間がかなりありましたが、帰りは待ち時間もほとんどなく寝て帰ってきました。

レトロのチケットは事前にネットで買って、1日20ユーロ、約4000円でした。

ホテルはレトロには遠かったですが、いつも泊まるHotel des Arts Bastilleで、3泊5万円でした。朝はいつも向かいのパン屋でクロワッサンやパンオショコラなどを購入、部屋のネスプレッソコーヒーで楽しみ、近所のスーパーのチーズやハムでお腹を満たしていました。

地下鉄やバスを使っての移動も快適で、久しぶりの冬のパリを堪能しました。

日本では体験できない素晴らしい世界を、ぜひ来年体験してみてくださいね。

今回の体験を一冊のレトロモビル写真集にしました。ぜひこちらでご覧ください。

http://mizorogiscm.shop-pro.jp/?pid=190429541

よろしかったら、ジェーン・バーキンの画集も作りました。

http://mizorogiscm.shop-pro.jp/?pid=190429676

今回の旅行の絵やバーキンの画集から抜粋した作品に、パリや車の水彩画も加えた小さな個展を開催します。作りためた模型作品や、製作している模型雑誌も販売いたします。あのマニアの間で話題のキーストーンという模型屋さんがある武里の駅前です。

武里駅前 わたしの基地

2026年3月18日(水)〜22(日)12~18時 期間中無休 毎日在廊 入場無料

溝呂木陽水彩展2026 「JaneとParis」

上記の写真集や画集も販売します。

文・写真・イラスト:溝呂木陽 Words, Photography and Illustration: Akira MIZOROGI