同一クールで夫婦そろって出演するだけでもすごいのだが、どちらもゴールデン・プライム帯でしかも主演。今冬、反町隆史(52)が『ラムネモンキー』(フジテレビ系)、松嶋菜々子(52)が『おコメの女-国税局資料調査課・雑国室-』(テレビ朝日系)の主演としてそろい踏みしている。

今や2人は50代のベテランだが、28年前に共演して結婚のきっかけとなったのが『GTO』(カンテレ・フジ系、98年 ※FODで配信中)。「学園ドラマを変えた」とも言われる反町隆史版の『GTO』はあらためてどんな作品だったのか。令和の今だからこそ称えたくなる同作の本質をドラマ解説者・木村隆志が掘り下げていく。

  • 『GTO』(C)藤沢とおる/講談社/関西テレビ/アベクカンパニー

    『GTO』(C)藤沢とおる/講談社/関西テレビ/アベクカンパニー

元暴走族が屈折した感情から解放

『GTO』と言えば、1996年から2002年に『週刊少年マガジン』で連載された藤沢とおるの漫画が人気だった分、ドラマ化のハードルは高かった。

ただ関西テレビは、主演に『ビーチボーイズ』(フジ系、97年)直後で人気絶頂の反町、脚本家にその後『魔女の条件』(TBS系、99年)、『女王の教室』(日本テレビ系、05年)、『家政婦のミタ』(日テレ系、11年)などを手がける遊川和彦を起用。

さらに制作を『もう誰も愛さない』(フジ系、91年)、『あなただけ見えない』(フジ系、92年)、『もう涙は見せない』(フジ系、93年)などのジェットコースタードラマで一世を風靡したアベクカンパニーが担うことで、原作漫画のベースを守りつつも、連ドラらしいエンタメ性を広げることに成功した。今見てもキャストとスタッフの起用が成功した作品だったことは確かだ。

ギャグシーンも多かった原作漫画よりもフィーチャーされたのは、学校と家庭の問題。生徒間のいじめ、教師に対する授業ボイコット、高校生の援助交際詐欺、教師の暴力行為、両親の家庭内別居、モンスターペアレントなど、当時社会的な問題になったものが詰め込まれていた。

あらためてあげていくとその問題は、令和の現在とあまり変わっていないことがわかるだろう。制作サイドは物語の舞台を原作漫画の中学校から高校に変えたが、それによって令和にも通じる問題の深刻さが際立っていた。

特に遊川が強調したのは、体面を気にするなど、子どもたちを苦しめる親と教師の姿。型にはめて個性や自由を奪い、自己保身のために斬り捨てる大人たちの姿が繰り返し描かれている。それによって元暴走族ならではの解決方法が心に響き、子どもたちが屈折した感情から解放されるシーンへの爽快感が増していった。