芝浦工業大学は1月29日、同学の桑原央明准教授らが、ロボットハンドで「つかむ」と「知る」を同時に行う非破壊検査技術「InSIGHT Grip」を開発したことを発表した。

  • ロボットアームの先端に装着した「InSIGHT Grip」のプロトタイプ

    ロボットアームの先端に装着した「InSIGHT Grip」のプロトタイプ

農産物の熟度判定や工業製品の劣化診断では、対象を壊さずに調べる非破壊検査の需要が高まっている。しかし現在主流のレーザーや音響を用いた検査手法では、装置が大型かつ高価になる傾向があり、作業と検査が異なる工程として実施されることから、コストや時間の増加を招く一因となっていた。

  • 「つかむ・測る・知る」を統合

    「つかむ・測る・知る」を統合

この技術は、モーター情報のみで把持力と振動を制御する独自技術により、高価な力覚センサーを介さずに対象物を優しくつかみ、内部の熟度や劣化具合をリアルタイムで推定できるというもの。これにより、従来は分離していた収穫・選別といった作業工程と検査工程を一体化し、生産現場のコストや時間を大幅に削減する。

振動応答解析を活用し、表面と内部の硬さの差分から状態を把握する仕組みで、メロンのように表面が硬く内部が柔らかい対象でも、つかんだ瞬間に内部状態を正確に判別することが可能になった。この成果は「第20回わかしゃち奨励賞」で優秀賞を受賞している。

  • 振動応答の解析結果

    振動応答の解析結果

今後は農業分野にとどまらず、工業製品の劣化診断や医療、建設分野への展開も目指す。触覚から状態を理解する「触覚知」を産業界の共通基盤とすることで、人手不足解消や食品ロス削減への貢献が期待される。