福士蒼汰が主演するフジテレビ系ドラマ『東京P.D. 警視庁広報2係』(毎週火曜21:00~ ※全話放送終了後、FODでseason2独占配信)の第4話が、3日に放送された。
今作はこれまで数多く制作されてきた“警察ドラマ”の中でも、知られざる“警視庁広報課”を舞台にした完全オリジナル作品。今回は、前回から続く連続死体遺棄事件をきっかけにした「実名報道」の是非を描いた。
テレビドラマで“テレビ報道”の在り方を描く危うさ
なぜこれほどまでに苦しい作品を見続けてしまうのか――前回そう自問したが、その答えが今回、改めて突きつけられた。それは、今作の登場人物たちが、物語を盛り上げるための“記号的な葛藤”ではなく、地に足のついた、逃げ場のない場所で、“まっとうに”苦しみ、もがき続けているからだ。
特に今回スポットの当たった、テレビ局記者の稲田(金子ノブアキ)の苦悩は実に“まっとう”だった。テレビドラマという枠組みの中で、身内であるはずの“テレビ報道”の在り方を描くことは極めて危うい。批判に寄りすぎれば自己矛盾に陥り、擁護に回れば身内への甘さが透けてしまうからだ。
しかし本作は、稲田という男に、自身の正義と同じだけの重さを持つ批判も丁寧に描いてみせた。周囲からは報道による騒動をとがめられ、被害者遺族からは実名報道の間違いを目の前で突きつけられる。逃げ場のないその光景を、ドラマはごまかすことなく克明に映し出したのだ。
さらに特筆すべきなのは、稲田と遺族が対峙(たいじ)した時の描写だ。ドラマ的な“和解”によって心がほぐれるような描写はそこにはなかった。しかし、SNS上で会ったこともない者たちが憶測で石を投げ合うけん騒の外側で、彼らは“直接”向き合い、互いの苦しみを見つめ合う。その泥臭いプロセスを経て初めて、解決とは呼べないが、一筋の光が差し込むような決着を見せた。
答えの出ない不条理な現実に安易な救いを与えず、ただただ誠実に苦しみ、対峙する。その姿が実に“まっとう”だった。だからこそ私たちは、この物語から目を逸らすことができないのだ。
奇跡でしかない「コイン」に宿った説得力
この第4話は、これまでの展開にはなかった刑事ドラマとしてのカタルシスも備えていた。それは、事件解決の決定打となった“証拠発見”のシーンだ。広報課である今泉(福士)が、百戦錬磨の捜査員が見落とした証拠を見つけるという展開は、一歩間違えれば主人公補正のデタラメになりかねない。しかし、彼が見つけ出したのは、たった一枚の、あまりに小さな「コイン」。その描かれ方が実に秀逸だった。
多くの人々を絶望の淵に追いやり、世間を騒がせた事件の全貌が、無機質なコインによって裏返る――その対比は、主人公たちが積み重ねてきた泥臭い奔走や、解決とは呼べない解決へと向かう物語の縮図のようであり、同時に、人間の命や尊厳の危うさを映し出す鏡のようでもあった。だからこそ、本来であれば奇跡でしかない「コイン」に、確かな説得力が宿ったのだ。
今回のモチーフとなったのは、2017年に日本を震撼させた「座間9人殺害事件」だと思われる。もはや本作にとって、実在の事件は単なるリアルを演出するためのスパイスではない。緻密な心理描写を積み上げることで、ドラマとしての強固なリアリティは既に担保されているからだ。
けれどそこに凄惨な現実が重なることで、フィクションは現実の痛みを取り込み、さらなる深淵へと潜っていく。実際の事件を改めて振り返る時、私たちはドラマの背後に、当時そこに存在したはずの“本物の”葛藤や苦悩さえも幻視してしまうのだ。
終盤、安藤(緒方直人)の背景がわずかに提示されたことで、物語はいよいよ核心へと動き出した。まだ断片に過ぎないので憶測でしかないのだが、社会が蓋をしてきた“ある不穏”が暴かれていきそうで、得体の知れない戦慄を禁じ得ない。このドラマならきっと、どれほど救いがなくとも、最後まで“まっとう”に描ききってくれるだろう。






