その「食品表示」本当に正しい?消費者の安全・安心を守る農林水産省「食品表示Gメン」の活動を解説
杉浦太陽と村上佳菜子がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「杉浦太陽・村上佳菜子 日曜まなびより」(毎週日曜 7:30~7:55)。「学びと成長」をコンセプトに、毎回さまざまなゲスト講師をお招きして、明日の暮らしがもっと豊かになる情報や気になるトピックをひも解いて、今よりもちょっと成長することを目指す番組です。

2月1日(日)の放送テーマは、「消費者に正しい表示を! 食品表示Gメン」。農林水産省 食品表示監視室長の綾戸隆英(あやと・たかひで)さんから、近年の食品偽装事情や、食品表示の調査について伺いました。


左から:村上佳菜子、綾戸隆英さん、杉浦太陽


◆「食品表示Gメン」とは?

食品表示は、「どんな食品なのか」を知るための重要な手がかりであり、食の安全を守るうえでも欠かせない情報です。もし、卵が使われているにもかかわらず表示に記載がなかったり、消費期限が誤っていたりすれば、アレルギー症状や食中毒を引き起こす可能性もあります。そのため、消費者が安心して食品を選べるよう、正しい情報を分かりやすく表示することが求められています。

そのため、スーパーなどで販売されている多くの食品は「食品表示法」によって表示ルールが定められています。原材料名や原産地などを表示することが義務づけられており、事故が起きた際は、その表示をもとに原因究明や迅速な商品回収がおこなわれます。食品表示は、日常だけでなく、もしものときにも重要な役割を果たしているのです。しかし、その大切な食品表示を偽り、不当な利益を得る「食品偽装」が問題になることもあります。そこで登場するのが「食品表示Gメン」です。

食品表示Gメンとは、食品に表示された名称や原材料名、原産地、内容量などに誤りがないかを立入検査などで確認し、問題があれば事業者への指導や改善状況の確認をおこなう農林水産省職員の通称で、全国の地方農政局などに約300人います。

◆食品表示ルール違反は人命を脅かす危険な行為

食品表示Gメンが誕生したきっかけは、2000年代に相次いだ食品表示偽装事件です。食肉や加工食品、生鮮食品などで違反が続発し、大きな社会問題になったことを受け、2003年に初めて配置されました。綾戸さんは「その頃に比べれば数自体は減っていますが、ここ数年は残念ながら増加傾向です」と現状を説明します。ちなみに、2024年度に食品表示Gメンが違反を見つけ、食品表示法違反で改善を指示して公表したのは16件ありました。

実際にあった事例が、ふるさと納税の返礼品をめぐる産地表示の誤りです。山形県産のシャインマスカットであるにもかかわらず「長野県産」と表示し、長野県の返礼品として販売していたケースがありました。「原因は、事業者の食品表示に対する認識の低さにあり、『山形県産の割合が少ないから問題ないと思っていた』という事例でした」と紹介します。

近年、特に多いのが産地や原産国に関する表示違反です。例えば、外国で製造した商品を輸入した場合、商品を製造した場所を原産国名として表示する必要があります。ところが、外国で製造した塩さばを輸入したにもかかわらず、原産国名を表示せずに販売されたことがありました。原産国名の表示がなければ、消費者が「国内製造」と誤解して購入してしまうおそれがあります。

ただし、こうした違反の背景には人手不足によるチェック体制の不十分さや、食品表示ルールを十分に理解しないまま作業を進めてしまう実情があり、必ずしも悪意ある偽装ばかりではなく“うっかりミス”が原因となるケースも少なくありません。しかし、綾戸さんは「たとえ単純ミスであっても、消費者は食品の表示が正しくされていることを前提に、商品を選んで購入します。このため、食品表示違反は健康被害につながる可能性があり、人の命を脅かす事態にもなりかねません。これは消費者の信頼を裏切る行為です」と強調します。

◆食品表示Gメンがおこなう3つの調査方法

次に食品表示Gメンの活動について伺うと、綾戸さんは、「食品表示は医薬品を除くすべての飲食料品に表示が義務づけられており、我々農林水産省は、名称、原材料名、原産地、内容量など、品質に関する情報に誤りや重要な偽造がないか、主に3つの方法で調査しています」と説明します。

1つ目が「食品表示110番」です。これは、消費者が「産地、原材料があやしい」など食品表示に疑問を感じた場合、電話やメールでの情報提供を受け付けるために設置されました。通報を受けると、内容に応じて食品表示Gメンが調査を開始します。

2024年度には、この食品表示110番に約1,820件もの情報提供が寄せられました。「消費者が目を光らせて通報すること自体が不適正表示の抑止力になります。気付いたことがあれば、気兼ねなく食品表示110番へご連絡をお願いします」と呼びかけます。

2つ目は「買上調査」です。食品表示Gメンが一般の消費者としてスーパーを訪れたり、インターネット通販で食品を購入したりして、表示と中身が一致しているかを確認します。とはいえ、「国産か外国産か」「原産地はどこなのか」といった点は、見た目や味だけでは判断できません。加工食品ではなおさらです。

そこでおこなわれるのが“科学的な検査”です。買上調査で購入した食品に対し、独立行政法人農林水産消費安全技術センター(FAMIC)という検査機関で、DNA分析や元素分析など、食品の特性に合わせて徹底的に検査をおこないます。

食品表示調査の3つ目は「店舗調査」です。食品表示Gメンが抜き打ちで店舗を訪れ、実際の表示状況を確認します。店舗調査を実施した経験のある綾戸さんによると、調査の際は数名のGメンが店舗に入り、「農林水産省米穀流通・食品表示監視室から参りました。御社が製造・販売されている食品の表示状況とその根拠について、食品表示法第8条2項に基づき立入検査を実施させていただきます」と正式に伝えたうえで、責任者の立ち会いのもと調査をおこないます。「突然の訪問に驚かれることもありますが、協力を得ながらありのままの状況を確認していきます」と話します。

調査内容の詳細は、今後の監視に支障が出るおそれがあるため明かせませんが、事前に作成した要注意リストに基づき、店内の食品表示を細かくチェックしていきます。玉ねぎやじゃがいもなどの表示のないバラ売り商品については、入荷記録などを確認して表示の根拠をたどっていきます。

◆日本の食の安全を守ろう!

食品偽装は、小売業者だけでなく、加工業者や生産者、輸入業者など、どの段階で起きているかわかりません。「小売店での調査であやしいものがあれば、その情報をもとに、その仕入れルートをたどって調査していきます」と綾戸さん。違反が確認された場合は、改善の指導や指示をおこない、原則公表されます。ただし、常習性がなく過失による一時的なもので、既に改善策が講じられている場合には、公表せず指導にとどめるケースもあります。とはいえ、一度公表されれば事業者が信用を取り戻すのに時間がかかるため、表示には細心の注意が必要です。

食品表示Gメンは、違反を未然に防ぐ取り組みもおこなっています。うっかりミスや知識不足による違反を防ぐため、食品表示ミスが起きる原因を整理したパンフレットを事業者に配布し、注意喚起をおこなっています。

最後に、綾戸さんは「食品表示は食品を選ぶうえで重要な情報源です。適正な表示がなされるように、皆さんも食品表示に興味を持ち、気づいたことがあれば『食品表示110番』へご連絡ください。また、我こそはという方は食品表示Gメンになって、一緒に日本の食の安全・安心を守っていきましょう!」とコメントしました。

番組のエンディングでは、杉浦と村上が今回学んだ「食品表示Gメンの活動」について復習。2人が特に注目した点をピックアップして発表します。村上は“ウソはダメ! みんなに安心・安全を”とスケッチブックに書きました。続いて、杉浦は“見過ごすな! 不適正表示 食品表示Gメン”と注目ポイントを挙げ、「食品表示110番へ電話やメールで通報、問い合わせをしたい方は、農林水産省ホームページ内にある『食品表示110番』のページをご覧ください。電話番号やメールの送信フォームをすぐに確認できます」とコメントしました。


左から:杉浦太陽、村上佳菜子



<番組概要>
番組名:杉浦太陽・村上佳菜子 日曜まなびより
放送日時:毎週日曜 7:30~7:55
パーソナリティ:杉浦太陽、村上佳菜子
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/manabiyori/
番組公式X:@manabiyori_tfm