2026年6月25日の開業が決定した、星野リゾートの「星のや奈良監獄」(奈良県奈良市)。国の重要文化財「旧奈良監獄」を活用したラグジュアリーホテルで、重要文化財である旧監獄を活用したホテルは日本初。

  • 2026年6月25日の開業が決定した、星野リゾートの「星のや奈良監獄」(奈良県奈良市)

    2026年6月25日の開業が決定した、星野リゾートの「星のや奈良監獄」(奈良県奈良市)

宿泊予約開始となった2026年1月20日に開催された発表会では、旧監獄の舎房や庁舎を活かした館内・客室が初公開された。全室スイートルームで、"重要文化財に泊まる"という特別な体験ができる、星のや奈良監獄の最新情報をお届けしよう。

監獄からラグジュアリーホテルへ - 2026年、新たな歴史がはじまる

「明けの重要文化財」をコンセプトに、100年以上旧奈良監獄として歩んだ歴史が明け、ラグジュアリーホテルとして新たな時を刻み始める「星のや奈良監獄」。1908年に山下啓次郎氏によって設計された旧奈良監獄の美しさを「保存」すること、そしてゲストが快適でラグジュアリーに過ごせるよう「改修」すること、その両面からアプローチした建築となっている。

宿泊者のエントランスは100年以上前のレンガが印象的な「表門」。そして「ハヴィランド・システム」で中央看守所から放射状に配置された5本の舎房のうち、第1寮・第2寮・第4寮・第5寮が宿泊棟、そして第3寮がミュージアムエリアという構成だ。

ハヴィランド・システムとは、中央に監視台を置きすべての舎房が見渡せる西洋の監獄建築。明治期、全国5か所に竣工された「明治五大監獄」に取り入れられているが、監獄として全貌が残っているのは奈良監獄だけだ。なぜ、西洋建築を取り入れた近代的な監獄が必要だったのかーー歴史を紐解くと、当時の日本はアメリカなどと結んだ不平等条約を撤廃するために近代化が急務だった。「当時の欧米諸国にとって日本は対等な国とは見られておらず、近代的な監獄を整備することは、日本が名実とともに近代国家であることを示す上で避けて通れない道だったんです」と、国内企画開発グループのプロジェクトマネジャー・石井芳明氏は話す。

建物とともに刑罰の近代化が行われたのも、この時代の特徴。江戸時代には鞭打ちなどの身体刑が行われていたが、自由を制限することを罪とする自由刑が導入され、そのために多くの囚人を収監する施設が必要だったという。そういった時代背景を含めて旧奈良監獄について深く学べるのが、第3寮のミュージアムエリアだ。

ミュージアムエリアは2026年4月27日に、「奈良監獄ミュージアム by 星野リゾート」として開業。近代化を急いだ明治期の歴史を振り返りながら、かつての独居房も見学することが可能。星のや奈良監獄の宿泊者は、奈良監獄ミュージアムに滞在中何度でも入場できる。

全室スイートルーム、重要文化財の美しさと快適性を兼ね備えた客室

星のや奈良監獄の中で、ラグジュアリーステイを体感できるよう、最も手を入れたのが「客室」。ひとつあたり5平米の独居房を9〜11房分繋ぎ合わせ、寝室、ダイニング、リビング、バスルームとスペースを分けたスイートルームとなっている。

部屋数も限られており、例えば第2寮は70mの長い廊下が続くが、客室は6室数のみ。全48室のスモールラグジュアリーなホテルだ。設計はこれまでも「星のや」を手がけてきた建築家の東利恵氏が担当している。

客室は「The 9-Cell」、「The 10-Cell」、「The 11-Cell Deluxe」の全3タイプ。修復の過程で漆喰を落とした壁から現れたレンガをそのまま活かしたり、高い位置に設置されたかつての窓に木製のフレームを合わせたり、「保存」と「改修」がバランスよく取り入れられている。「かつての独居房が、贅沢なリラックス空間に生まれ変わっています。重要文化財に泊まるという体験は、決してほかではできないと感じております」と、総支配人の掛川暢矢氏は自信を持って述べた。

そもそも旧奈良監獄は法務省が所有し、老朽化をきっかけに今後の活用が検討された際に、星野リゾートが公募に参画。そして2019年に運営することが決定した。運営条件は観光の収益で文化財の保存に必要な費用を賄う、つまり観光の力で文化財を保存するということ。星野リゾート代表の星野佳路氏は「このプロジェクトは、日本の重要文化財を観光の経済力で維持・保存していこうという新しい取り組みです。開業はゴールではなく、本当にスタートなんです。当初の目的を達成できるように、皆さんと一緒に努力していきたいと思ってます」と、開業への想いを語った。

かつて"美しすぎる"と称された旧奈良監獄に泊まるという、特別な体験ができる「星のや奈良監獄」。現在は日本人の感性で進化した日本のフランス料理を味わえるレストランや、非日常を体験できる空間演出など、開業準備を進行しているという。改めてとなるが、星のや奈良監獄の開業は2026年6月25日。星野リゾートが何年もかけて本気で作り上げた宿泊施設の続報に、今年は目が離せない。

アクセスは、JR奈良駅から車で10分、近鉄奈良駅から車で6分。価格は1泊14万7,000円〜(1室あたり、税・サービス料込、食事別)。予約受付は1月20日から開始されている。