ビジネスにおいて意思決定が非公開で行われるのはよくあることですが、いつ/どれだけの情報を同僚に伝えるべきか、どの程度の透明性が適切なのかを判断するのは非常に難しいことです。マネージャーである自分がチームに隠し事をしていると感じないようにするにはどうすればいいでしょうか?
その対応方法について、マイナビ出版から発売されている『レジリエントマネジメント』(著:Lara Hogan、訳:浅野祐希/梶平昌邦/田代泰介/森田仁美)から一部抜粋・編集して紹介します。
機密情報の扱い方
変化の初期段階で同僚に影響を与える機密情報を扱うことを、誰になら任せられるかを考慮し、共有すべきでない情報を誰かが共有した場合の波及効果について、各段階で事前に考えておきましょう。
たとえば、組織再編の一環としてあなたのチームが解散し、あなたが新しいプロジェクトを主導することになった場合、それをチーム内の他のリーダーにあらかじめ知らせておくことが望ましいでしょう。彼らはメッセージに磨きをかけたり、でてくるであろう質問に先回りして答えたり、移行期間中に人々の核心的なニーズに対処する方法を見つける手助けをしてくれるでしょう。
彼らに打ち明ける前に、自問自答してみましょう。
- この機密情報を共有することは、その人や他のチームメイトに対して公平ですか?
- 内部情報を持つことでその人がどれだけ負担を感じるでしょうか?
- 彼らが聞いたことを他の人と共有する可能性はどの程度ですか? もし共有した場合、何が起こりますか?
- もし彼らがメッセージを誤解し、誤った情報を他の人と共有した場合、影響はどうなりますか?
- その人は、曖昧性や不確実性、機密性が高い情報を扱うことに慣れていますか?
もし、これらの質問に答えたうえで、その人を信頼できると感じ、彼らに負担をかけてでもこの機密情報を伝える価値があると思うのであれば、コミュニケーション計画を展開する際は明確さと一貫性を作り出すために彼らを頼ってください。計画全体を通じて伝える内容と決定を繰り返し改善していくときに、非常に大きな助けとなるでしょう。ただし、リスクをとることになることを認識し、彼らがあなたを支援するためには労力や時間が必要であることを理解してください。
どんなに信頼している人がいたとしても、大きな変化が起きると、誰かが情報を漏らしてしまう可能性が非常に高くなります。そうなると、他の同僚に公平さを欠くことになり、誤った情報を広める可能性もあります。そのような不本意な状況が訪れても苛立たず、感情的な反応を抑えるようにしてください。最優先にすべきことは、誤解を解消し、メッセージを明確にし、そしてこの瞬間から学ぶことです。情報を漏らした人にフィードバックや内省を促すことは後からできます。
納得できない決定と向き合う
信頼の欠如は、ほとんどのチームがうまく機能しない原因です。表面的には決定に同意していても、いざというときにそれを支持しなかったり、コミットしなかったりすると、時間とともにはるかに多くの軋轢を生みます。合意された仕事を避けたり、チームが説明を求めたときに肩をすくめたり、決定を陰で悪く言ったりすると、このような行動は妨害や裏切りとみなされます。歓迎しないメッセージから距離をおくことはその瞬間は気持ち良いかもしれませんが、長い目で見ればチーム環境に亀裂を生むことになります。
上司の決定に同意できず、コミットできない場合は、まずは率直かつプロフェッショナルに対応しましょう。多くの質問をし、予想されるネガティブな影響を共有し、フィードバックを提供します。上司が受け入れてくれるかもしれませんし、新しい情報や視点が彼らのメッセージの改善に役立つこともあります。しかし、時には決定がすでに下されており、あなたのフィードバックや視点がそれを変えることはできないこともあります。
もし、経営陣との間のズレが深刻であれば、あなたはチームや会社を離れることに値するという決断をするかもしれません。これはあなた自身でしか決められないことです。しかし、ほとんどの場合、こういったズレが離職を引き起こすほど大きなものではありません。このような場合は「異議を唱えつつもコミットする(disagree and commit)」ときです。
この振る舞いが、あなたのとりうる最も成熟した透明性の高い行動です。異議を唱えた後にコミットするということは、物事を試すために自分の懸念を一時脇に置き、経営陣の決定を信頼することを意味します。これは、決定の長所と短所を評価し、他のリーダーに潜在的な問題を提起し、たとえ個人的に気乗りしなくても、その決定を支持することでもあります。
また、チーム環境に影響を及ばさないように、懸念を発散できる他の場所を見つけることも必要です。チームメイトの前で率直な本音を漏らすのは避けましょう。公に異議を唱える場合は、他の人に不満や不安を抱かせないように表現することが大切です。異議を唱えつつもコミットできるリーダーは、グループにとって最善の行動をとることが多いです。彼らは不要な摩擦を生むのではありません。「不要な」という言葉が重要です。メッセージを練り上げ、視点を変え、チームへの悪影響を軽減するために、「健全な摩擦」を適度に引き起こしているのです。
最後に、可能な限りフィードバックを収集するためのステップをコミュニケーション計画に明示的に組み込みましょう。それにより人々がこの新しい情報を学ぶにあたって、自分の存在が認められ、意見に耳を傾けられていると感じられるようにするのです。収集したフィードバックや反応は、補足資料を洗練させ、計画を進めるにつれメッセージをさらに明確にするのに役立ちます。
『レジリエントマネジメント』翻訳者陣によるオンラインイベントを開催
1月26日(月)に『レジリエントマネジメント』の翻訳者の浅野祐希氏/梶平昌邦氏/田代泰介氏/森田仁美氏らが、エンジニア組織でのリーダーシップや躍動をテーマにしたオンラインイベント「レジリエントマネジメント/エンジニアリングリーダー合同出版記念イベント」を開催します。このイベントでは、『ゼロからのTCP/IPプロトコルスタック自作入門』(マイナビ出版)の著者であるKLab株式会社の山本雅也氏や、@t_wadaのアカウントからXなどで技術情報を積極的に発信している和田卓人氏ら8名のゲスト登壇も予定しています。参加費用は無料。詳細の確認、参加の申し込みは同イベントのWebサイトで行えます。
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【レジリエントマネジメント/エンジニアリングリーダー合同出版記念イベント】概要 開催日時:2026年1月26日 18時30分~21時00分 主催者:レジリエントマネジメント/エンジニアリングリーダー 訳者一同 形式:オンライン 参加費用:無料 詳細・申し込み:https://rm-el-publish-event.connpass.com/event/379853/ |
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『レジリエントマネジメント』(マイナビ出版)
著:Lara Hogan
翻訳:浅野祐希、梶平昌邦、田代泰介、森田仁美
書籍:2,739円(税込)/電子版:2,739円(税込)
判型・ページ数:A5判 160ページ
ISBN:978-4-8399-8511-0
発売日:2025年10月27日
Amazon.co.jp/マイナビブックスなどで発売中
