JTBは1月8日、2026年の旅行動向見通しを発表した。同調査は、1泊以上の日本人の旅行(ビジネス・帰省を含む)および訪日外国人旅行を対象に、各種経済指標や消費者行動調査、運輸・観光関連データ、JTBグループが実施したアンケート調査などを基に推計した。
旅行者の現状
国内旅行について、2025年は国内の経済状況や物価高騰などの影響により、宿泊者数は伸び悩みとなっている。2025年の延べ宿泊者数をみると、1~11月の累計は4億3,854万人泊で、2024年同期(4億5,452万人泊)と比べると96.5%となっている。海外旅行について、2025年は国内外の物価高騰や円安、世界的な政情不安などがある中、コロナ禍後からゆるやかに回復を続けている。2025年1~11月の日本人出国者数の累計は1,343万人で、2024年同期(1,182万人)と比べると113.6%と前年を超えている。
訪日旅行について、2025年は続く円安などの影響により、堅調に増加を続けている。2025年1~11月の訪日外客数の累計は3,907万人で、2024年同期(3,338万人)と比べると117.0%となっている。
国・地域別にみると、2025年1~11月の累計は多い順に中国(877万人、2024年同期比137.5%)、韓国(849万人、2024年同期比106.7%)、台湾(618万人、2024年同期比111.2%)となっている。
今回実施した旅行に関するアンケート調査によると、2025年1月~12月の1年間で1泊以上の旅行を実施した人の割合は、国内旅行については62.8%となり前年より2.3ポイント増加した。居住地域別にみると、国内旅行を実施した人の割合は「九州地方(66.3%)」が最も高く、次いで「中部地方(65.8%)」、「関東地方(63.5%)」となった。
性年代別に見ると、国内旅行を実施した人の割合は「女性29歳以下(73.4%)」が最も高くなったが、前年より7.3ポイント減少した。次いで、「男性29歳以下(72.3%、前年比2.9ポイント増)」、「女性30代(66.9%、同5.1ポイント減)」、「男性40代(66.8%、同7.0ポイント増)」となった。女性の実施率は30代以下が減少し、40代以降が増加している。
海外旅行については、実施した人の割合の合計が11.2%となり、前年より2.5ポイント増加した。居住地域別にみると、実施した割合は「九州地方(沖縄含む)(16.0%)」が最も高く、次いで「関東地方 (13.2%)」、「近畿地方(12.0%)」となった。
性年代別に見ると、「女性29歳以下(22.8%)」が最も高く前年より8.2ポイント増加、次いで「男性29歳以下(20.4%、前年比3.3ポイント増)」、「女性60代(14.4%、同8.4ポイント増)」、「男性40代(12.4%、同4.5ポイント増)」となるなど、30代男性以外で増加となった。国内海外共に若い世代の実施率が高く、またいずれも男性40代で増加が見られた。
2026年の大型連休は?
2026年は3連休以上が8回(3連休6回、5連休2回)ある。2025年の9回(3連休8回、4連休1回)と比べ、回数としては1回の減少だが、GW(5月2日(土)~6日(水))とシルバーウィーク(9月19日(土)~23日(水・祝))に5連休があり、夏休みは、8月10日(月)を休むと8月8日(土)~11日(火)が4連休。2026年~2027年の年末年始は、12月28日(月)~31日(木)を休めば12月26日(土)~1月3日(日)の9連休となり、2025年と比較すると大型連休が多い年と言える。
2026年に開業(開催)される主な施設・イベント
春先には、世界的な注目を集める「ワールドベースボールクラシック(WBC)」が開催され、国内外から多くの観客が訪れることが期待される。愛知・名古屋ではアジア・アジアパラ競技大会が開催される。秋には、愛知・豊川にある豊川稲荷で72年ぶりの御開帳が予定されている。また新しいアートイベントとして、東京湾エリアでは「TOKYO ATLAS」、群馬・前橋では「前橋国際芸術祭2026」が始まるなど、各地で多数のイベントが予定されている。
海外では、2月にイタリアでミラノ・コルティナ2026冬季オリンピック・パラリンピック、6~7月に米国・カナダ・メキシコでFIFAワールドカップが開催される。さらに、スペイン・バルセロナではサグラダ・ファミリア完成記念式典が予定され、世界的な注目を集める見込みだ。
レジャー・商業施設としては、2月に東京と神奈川にまたがるよみうりランド内に「ポケパークカントー」がオープンする。東京ディズニーシー、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンは開園25周年を迎える。東京・有明には、エンターテインメントとテクノロジーが融合する発信拠点を目指し、シアターやホールを構えた「TOKYO DREAM PARK」が開業する。美術館としては、東京・高輪に「100年先へ文化をつなぐ」をミッションに掲げた「MoN Takanawa: The Museum of Narratives」が登場。宿泊施設では、「帝国ホテル京都」(京都・祇園)や「カペラ京都」(京都・東山)が開業し、ラグジュアリーな滞在の選択肢が増える。交通関連では、9月に横浜・東京・神戸・博多を結ぶクルーズ船として「三井オーシャンサクラ」が就航、移動そのものが旅の楽しみとなるサービスが広がる。
国内旅行の動向
給与の伸び率は緩やかになる一方で、物価や宿泊費の高騰が継続し、国内旅行単価はさらに上昇する見込みだ。このことから、旅行者数は前年とほぼ横ばい、総消費額は単価上昇により微増する見込みである。
アンケート調査によると、2026年1月~12月の1年間における1泊以上の国内旅行の実施意向は、性年代別に見ると、国内旅行を実施する人の割合は「女性70代(79.2%)」が最も高く、次いで「女性40代(77.8%)」、「女性29歳以下(77.7%)」、「男性29歳以下(77.0%)」と、比較的女性が高い傾向となった。
居住地域別にみると、国内旅行を実施する人の割合は「九州地方(77.5%)」が最も高く、次いで「関東地方(76.9%)」、「近畿地方(76.3%)」となった。
国内旅行に「一度も行かない」と答えた人は全体の24.8%だった。主な理由は、「家計に余裕がないから(33.5%)」、「旅行費用が高いから(29.6%)」など、前年同様、費用面での理由が上位となり、「旅行費用が高いから」は前年より6.2ポイント上昇した。特に女性の50~60代で旅行費用の高さがネックとなっているようだ。
国内旅行を実施すると答えた人に対し、旅行先を決めるきっかけになりそうなものを聞いたところ、「自然が楽しめる場所(国立公園や花畑など)」が30.0%と最も高く、「寺社仏閣、史跡などの歴史スポット」が24.1%と続いた。性年代別でみると、男性70代と女性60~70代で「自然が楽しめる場所(国立公園や花畑など)」が人気で、20~30代は男女ともに、動物園や水族館、テーマパークなどの割合が高くなった。
また自由回答では2025年に開業した「JUNGLIA OKINAWA」や、新エリアが誕生したハウステンボス、人気映画の影響で歌舞伎などが注目されていることがわかった。
現時点で考えている旅行の行き先については、「中部(33.7%)」が最も高く、次いで「九州・沖縄」(31.9%)」、「関東(29.8%)」で、昨年とほぼ同様の傾向だったが、「近畿(22.8%)」はやや減少し、「北海道(24.6%)」と順位が逆転した。
海外旅行の動向
コロナ禍から時間が経過したものの、前年の急激な円安や物価高騰などにより、海外旅行の回復はゆるやかで2025年より鈍化する見込みだ。旅行者は徐々に円安を受け入れつつあり、アジアへの旅行が引き続き多い一方で、一部の遠方の行先も回復傾向が見られる。また、アジアでも物価や宿泊費の上昇が続くことで、平均旅行単価はさらに高まると予想される。
アンケート調査によると、2026年1月~12月の1年間における1泊以上の海外旅行の実施意向で「行く予定」と答えた人は23.0%で、前年より2.0ポイントの増加となった。2024年から2025年にかけての増加と比べて鈍化はしているものの、引き続き海外旅行意欲は上昇傾向にあるといえる。性年代別にみると、「女性29歳以下」が35.9%、次いで「男性29歳以下 (30.9%)」と高く、それぞれ前年より1.6ポイント、3.4ポイント増加している。
居住地域別には、「行く予定」の割合は「関東地方(26.9%)」が最も高く、次いで「九州地方(26.6%)」、「近畿地方(25.4%)」となった。
現時点で考えている旅行の行き先については、「韓国(26.7%)」が最も高く、次いで「台湾(21.0%)」と近隣の国・地域が高い一方で、「ヨーロッパ(18.7%)」、「ハワイ(18.1%)」など中長距離も人気がある。
海外旅行に「一度も行かない」と答えた人は77.0%で、国内旅行同様に経済的な理由が上位になったが、海外旅行では「旅行費用が高いから(36.5%)」、次いで「家計に余裕がないから (26.5%)」となり、国内旅行とは順位が逆転している。3位の「円安だから(21.2%)」は前年より3.2ポイント減少した。経済的な理由以外には、「言語の問題」や「出入国手続きが面倒くさそう」、「パスポートを取り直すのが面倒」など心理的な要因がハードルとなっているようだ。
訪日外国人旅行者数、伸び率は落ち着く見込み
訪日外国人旅行者数は、コロナ後の回復過程に、円安の追い風もあり、二桁台の伸び率を重ね、2025年には過去最高となった。しかしながら、急激な需要回復は一巡し、今後の伸び率は落ちつく見込みだ。そこに中国・香港からの需要減が加わり、2026年は前年を下回ることが予想される。
2024年から2025年にかけての訪日需要の高い成長率は、円安や日本国内の物価安、コロナ前と比べた各マーケットの所得水準の向上、欧米豪などを中心とした日本人気の高まりなどが背景と考えられるが、これらによる需要押し上げの効果は2025年までで概ね一巡し、2026年は各マーケットの経済成長にともなう国外旅行需要の自然増が訪日客増加の主な要因となる見込みだ。
需要の下振れ要素として懸念されるのは中国、香港からの訪日需要減。本予測では2025年12月初旬時点における日中間の国際線航空座席数の減少率から、予測期間における旅行者数が前年を2割下回るものと想定して予測している。
一方、訪日外国人旅行者の増加について、受け入れ側の日本居住者はどのように感じているのか、今回のアンケート調査対象者に訪日外国人観光客増加に対する気持ちについて聞いたところ、「観光地でのマナーが悪くならないか不安だ(51.3%)」、「住んでいる人の生活に影響が出ないか不安だ(41.0%)」、「観光資源・施設、自然などがダメージを受けないか不安だ(40.7%)」など、不安に感じる声が特にシニア層で高くなった。
一方、「日本経済全体の活性化につながるので歓迎だ(24.0%)」など、歓迎する割合は比較的、若い世代で高い傾向がみられるとともに、シニア層でも「地方経済の活性化につながるので歓迎だ(17.3%)」は男性70代、「日本の文化や伝統を広め、残すことになるので歓迎だ(10.0%)」は女性60~70代で高くなった。
旅行を取り巻く経済環境と暮らし向き
複数の経済研究機関の予測によると、日本経済における2026年度の実質GDP成長率は、概ね+0.7%から+0.9%程度と見込まれている。2025年度の見通しと比較すると、やや鈍化するものの、日本経済は、緩やかな回復基調が続いている。
成長を下支えする要因としては、堅調な設備投資や、インバウンド需要の継続などが挙げられる。また、物価上昇率は、2025年をピークに鈍化する見込みで、人手不足を背景に、2026年の春闘でも5%程度の高い賃上げ率が予測されており、個人消費は底堅いことが期待される。
一方、米国の関税引き上げ、国際情勢の緊張など、世界経済の減速や、円安の影響によるGDPの目減りへの懸念、国内における人手不足、低い生産性や財政の健全化などの課題も下振れリスクとなっている。
総じて、2026年の日本経済は、内需の底堅さにより緩やかに成長するものの、海外リスクや国内の構造問題への対応が鍵となると考えられる。
足元の経済状況をみると、円ドルの為替レートは2019年は110円前後で推移していたが、その後円安・ドル高が進んだ。2025年も継続しており、4月には140円台前半まで戻したものの、12月には155円前後で推移している。
また 「海外旅行を実施する気持ちになる円ドル為替レート」について、国内旅行予定者を含む、2024年夏休み旅行予定者と2025年年末年始旅行予定者に聞いた結果を比較したところ、「120円未満」は8.8ポイントの減少、「140円未満」は3.7ポイント減少し、140円以上の合計は5.5ポイント増加した。また「為替に関係なく海外旅行を検討する」も5.0ポイント増加し、円安への受容が進んでいる様子も見受けられる。
日本銀行が実施している「生活意識に関するアンケート調査」の「現在の暮らし向き」をみると、2025年9月は「ゆとりが出てきた」の割合が上昇し、「現在の暮らし向き」の値はやや改善したが、まだ2021年以前の水準には戻っていない。
また、アンケート調査において「旅行に行く」と答えた人に、「今後1年間の旅行の支出に対する意向」を聞いたところ、「支出を増やしたい(23.6%)」が「支出を減らしたい(11.4%)を上回っている。





















