第39期竜王戦(主催:読売新聞社)は各組ランキング戦が進行中。1月7日(水)には3局が東京・将棋会館で行われました。このうち、1組の羽生善治九段―佐々木勇気八段の一戦は153手で羽生九段が勝利。最先端の角換わりを駆使して決勝トーナメント進出に向け好スタートを切っています。

佐々木八段の角換わり右玉

5つの本戦進出枠をめぐり16名が争う1組ランキング戦、羽生九段の先手で始まった本局は両者の息が合って角換わりへと進展。王道ともいえる相腰掛け銀の定跡はともに通り慣れた戦場です。後手の佐々木八段は右玉への組み替えから「もたれ戦術」を採用、それを見た羽生九段は穴熊の堅陣に組んで戦いの時を待ちました。

羽生九段の2筋の歩交換から佐々木八段が局面を動かします。相手の飛車が中途半端な位置にきた瞬間に反発するのは右玉の常識ともいえる仕掛けで、桂得の実利を得て後手不満ないわかれ。対する羽生九段は玉の遠さで対抗し、盤上は「羽生九段の攻めを佐々木八段がいかに受け流すか」という構図がクローズアップされてきました。形勢不明のまま終盤の入り口へと差し掛かります。

急転直下の結末

羽生九段から金頭へのタタキの歩を受けた佐々木八段。取るか逃げるかの選択で、利かされ得と見て後者を選んだものの、局後これを後悔することになりました。実戦の進行を見るとわかる通り、数手後に銀が捕獲される手が待っており、先手の攻めが振りほどけなくなっています。誤算に気づいた佐々木八段は26分の長考に沈みますが形勢の針は大きく開いていました。

終局時刻は21時24分、最後は自玉が寄り筋に入ったことを認めた佐々木八段が投了。夕食休憩明け直後、魔の時間帯に指された何気ない金引きが敗着となった格好で、佐々木八段としては後悔の残る一局となりました。反対に終盤で抜け出してからは気持ちよく攻め倒した羽生九段は幸先よい年明けに。2回戦では伊藤匠二冠―郷田真隆九段戦の勝者と対戦します。

水留啓(将棋情報局)

  • 来期の1組以上を確定させた羽生九段、竜王戦では1組以上通算36期と歴代1位の驚異的な記録を残す(撮影:編集部)

    来期の1組以上を確定させた羽生九段、竜王戦では1組以上通算36期と歴代1位の驚異的な記録を残す(撮影:編集部)