
57勝79敗7分。2025年の東京ヤクルトスワローズは、首位から26.5ゲーム離されてのリーグ最下位に終わった。オフには高津臣吾監督が退任し、新たに池山隆寛監督が就任。主砲・村上宗隆はポスティングシステムでシカゴ・ホワイトソックスに移籍した。本稿では、来季以降のヤクルト内野陣に焦点を当て、考察していきたい。
2025年ドラフトから見る決意
ヤクルトは2025年ドラフトで、12球団最初に松下歩叶内野手(法政大)を選択し、見事単独指名に成功した。続くドラフト2位でも松川玲央内野手(城西大)を指名。上位2名で野手を獲得したところに、中・長期的視野でのチーム再建の強い意志を感じた。
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ドラフト1位の松下は、東京六大学通算14本塁打を放ち、3度のベストナインに輝いた実績を持つ。キャプテンシーにも優れ、大学日本代表でも主将を任された。ポジションは三塁手で、村上が抜けた後のチームにとって正に必要なピースであろう。
2025年の秋季リーグでは15試合に出場し、打率.321、4本塁打、13打点と見事な成績を残した。大舞台慣れしておりプレッシャーにも強く、早期の一軍レギュラー奪取も現実的な視野に入っている。
ドラフト2位指名された松川は、俊足を盗塁に結び付ける力があり、二部を含めたリーグ通算盗塁数は52を数える。打撃も秀逸で、首都大学2部リーグでは1年春から打率.368を記録。2年秋から昇格した1部リーグでも3割を大きく超える打率を残した。
最終学年は怪我のため苦しいシーズンとなったが、183cm、81kgと立派な体格を持ち、まだまだ潜在能力を秘めている。今季ヤクルトのチーム盗塁数はリーグ4位の61個にとどまっており、松川の加入は大きなプラス材料であろう。
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池山監督は就任会見上で、来季に向けて内野の布陣を「白紙」と明言している。そのなかでのドラフト上位の内野手指名は、来季はもちろん今後のチームの核として、2名に期待していることを意味していよう。
それを踏まえ、来季の内野手の布陣に最も大きな影響を与えそうなのが、内山壮真捕手の「内野手コンバート構想」だろう。
”ニュー池山”の誕生?内山が握るチーム強化への鍵
内山は、2020年ドラフト3位で星稜高から入団。抜群の身体能力と思い切りの良いスイングが魅力の、右打ちの中距離打者だ。今季は捕手登録ながら、先発した106試合の全てで外野手として出場。自身初の規定打席に到達し、打率.262、8本塁打、48打点を記録。飛躍を果たした。
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今季2試合ではあるが、試合途中から三塁を守った。オフの秋季キャンプでは内野でのノックを受けており、来季からは本格的に内野に挑戦するとみられているが、内山を内野のどのポジションへコンバートするかが最大の焦点となるのではないか。
内山は打力を武器とし、3番打者として今季75試合に先発するなど主軸を担った。打撃の本格開花を目指すのであれば、やはり村上が抜けた後の三塁が最も相応しいと考えられる。
三塁コンバートとなれば、ベテランの茂木栄五郎、若手の北村恵吾、西村瑠伊斗ら、そして新人の松下がライバルとして立ちはだかる展開が予想される。特に昨季一軍で46試合に出場し5本塁打を放った北村は、将来有望な長距離砲候補だ。
ここでキーとなりそうなのが、池山監督が「打ち勝つ野球」を理想に掲げていることだ。それを鑑み、内山を現役時代の池山監督のような攻撃的遊撃手にコンバートする案は、一考の価値があるように思える。
もともと内山は星稜高時代の2年夏に遊撃手として甲子園に出場し、甲子園大会準優勝に貢献した経験がある。フットワークや守備センスは出色で、捕手や外野手を経験したことも全体を俯瞰する能力としてプラスに働くだろう。
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仮に内山が遊撃を守れるならば、正遊撃手の長岡秀樹との対決が待っている。また、長岡を二塁手として起用する選択肢も生まれそうだ。正二塁手の山田哲人がここ数年成績を落としているため、長岡の打撃の成長いかんで二塁起用もゼロではないだろう。
内山のダイナミックな動きは、現役時代“ブンブン丸”と呼ばれ、遊撃手としてかつて5年連続30本塁打を記録した池山監督を彷彿とさせる。“ニュー池山”として遊撃に攻撃的な選手を配置することは、将来的に打ち勝つチームを構築する第一歩となるのではないか。
未来を見据える”フレッシュな布陣”
ここまでの議論に、冒頭で触れた2025年ドラフト上位で指名した選手を当てはめ、更に将来を見据える考察をはかっていきたい。
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ドラフト1位の松下は、やはり慣れ親しんだ三塁での競争となるだろう。自慢の長打力や勝負強さ、物怖じしない実戦力を考えた時、プロ1年目から三塁での先発出場を大いに期待したい。
三塁の競争相手となりそうな北村恵吾は、中央大時代は一塁手として2度のベストナインを獲得、近江高時代は外野手として甲子園出場経験がある。松川が期待通り成長を遂げた場合、長距離砲候補の北村を一塁・外野で起用する案も生じるだろう。
ドラフト2位の松川のポジションは遊撃だ。本稿の考察上で述べるならば、内山や長岡との競争となるだろう。ただ、松川は両者よりも秀でたスピードという武器がある。大学時代の打撃力をプロで磨けば、より走力を活かしやすい中堅手への転向もチームとして検討に入りそうだ。
将来的な理想としては、三塁・松下、遊撃・内山、二塁・長岡、一塁・北村恵吾を軸とし、さらに松川、赤羽由紘、武岡龍世、西村瑠伊斗、田中陽翔、伊藤琉偉ら、期待の若手が激しい競争を展開する流れを期待したい。
いずれにせよ、打力アップを図ることが、新指揮官のもとでのレギュラー奪取条件となるだろう。神宮球場を本拠地とする利を活かし、かつての強豪球団に返り咲くことが求められている。
ヤクルトは2021年に、高津監督のもと前年度最下位からのリーグ優勝を成し遂げた。しかし今回は、より育成や改革を施し戦力値を高めながら、より長期的な視野でのチーム再建時期を迎えている。
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今回は内山の「内野コンバート案」を取り上げたが、チームの強化ポイントは投打ともに山積しており、新たな考察対象は刻々生じていくだろう。
球団が日夜戦略を練り続けることと同様に、われわれ野球ファンも変化していく状況を楽しみながら、未来への展望を考えていきたい。
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【了】