
大船駅からバスで約13分。「白山神社前」で下車して進行方向へ数十秒も歩くと、左手に白山神社(鎌倉市今泉)の参道が現れます。
今回はこちらの白山神社について、その歴史や見どころについて紹介してまいります。メジャーな観光名所では飽き足りなくなった、中級~上級者向けのスポットです。
白山神社の歴史
こちらの白山神社は、もともと毘沙門堂と呼ばれる村の鎮守社でした。白山神社の創建は鎌倉幕府が開かれる直前の1191年(建久2年)、源頼朝が建立したと伝わります。
『相模風土記』によると、頼朝が鞍馬寺へ参詣した際、毘沙門天の像をいただいて当地へお祀りしたそうです。やがて鎌倉幕府の衰亡にともなって荒廃しますが、戦国時代の1532年(享禄5年)に再建されました。
江戸時代にも何度か改修され、明治時代に入ると、廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)のため号を毘沙門堂から「白山神社」に改められます。
これはもともと境内に末社として白山神社と弁天社がお祀りされていたことに由来し、主祭神が毘沙門天から菊理姫之命(くくりひめのみこと)に交代したのでした。
御祭神が代わっても人々の崇敬は変わることなく、白山神社は地元の氏神様として、現代まで愛され続けています。
白山神社の御祭神
菊理姫之命とは『日本書紀』の異伝に一度だけ登場し、伊弉諾尊(いざなぎのみこと)に何かを申し上げたことだけが伝わる、謎の多い女神です。
一説には、伊弉諾尊が妻の伊弉冉命(いざなみのみこと)と喧嘩した時、両者の仲をうまく取り持ったとも言われます。
そんな菊理姫之命は白山比咩神(しらやまひめのかみ)と同一視され、総本社である白山比咩神社(石川県白山市)はじめ全国各地の白山神社に祀られることとなりました。
「くくり」とは「まとめる」意味を持ち、ご縁や絆を結ぶご利益で知られるほか、白山(白い山々)≒歯という連想から歯の健康を守る神様として信仰されることもあります。
他にも水を司ることから、子孫繁栄やケガレを清める禊祓(みそぎはらえ)、生命を支える農業の神様としても信仰されてきました。これらのご利益に与かりたい方は、ぜひ参拝されてはいかがでしょうか。
白山神社の見どころ
せっかく参拝されるのでしたら、白山神社の境内にある見どころも併せて堪能したいですね。
天廣丸狂歌碑
参道入ってすぐ左手に、ゴツゴツした岩が設置してあります。これは天廣丸(あめの ひろまる)という狂歌師の作品を刻んだ石碑で、彼は江戸時代後期に活躍していました。
くむ酒は 是風流の 眼なり 月を見るにも 花を見るにも 廣丸(石碑の碑文より)
【筆者による歌意】月を見る時も、花を見る時も、盃に満たした酒に映して見るのが最も風流だ≒やっぱり月見や花見には酒が欠かせないよね!
こんな狂歌を詠むくらいですから、きっと彼は大の酒好きです。別名を酔亀亭(すいきてい)と名乗り、着物には徳利のオリジナル家紋をつけるほどでした。
今でも地元では、天廣丸を慕う人々による歌会が催されています。
ムカデ型の大注連縄
白山神社の注連縄は少し特殊な形状をしており、これはムカデを象(かたど)ったものです。ムカデは毘沙門天の使いと考えられており、それを注連縄に象るのは、かつて白山神社が毘沙門堂だったころからの風習でしょう。
地元ではムカデを方言でハガチと呼び、追い払いはしても、なるべく殺さないようにしていると言います。この大注連縄は毎年1月8日の大注連祭(おおしめまつり)で綯い上げられ、当日は見学も可能です。
藁を綯う貴重な体験もさせていただけるので、参加してみてはいかがでしょうか。
今泉寺
地名は「いまいずみ」ですが、こちらの寺は「こんせんじ」と読みます。参道の途中にあるので見逃しそうになってしまいますが、せっかくなのでお詣りされるといいでしょう。
元は毘沙門堂の別当寺で、神社の境内にお寺が建っているのを見ると、神仏が一緒に祀られていた時代の名残が感じられます。
現代の本尊は如意輪観音(にょいりんかんのん)であり、その名が示すとおり「思ったように(意の如く)願いを叶える」ありがたい仏様です。もちろん邪(よこしま)な願いでなく、みんなの幸せなど、正しいことを願う前提であることは言うまでもありません。
まとめ
今回は鎌倉市今泉の鎮守である白山神社を紹介しました。豊かな山々に包まれた境内に立つと、清々しい神気が満ちていることを感じられるでしょう。
日々の気忙しさや都会の喧騒に心身が疲れてしまった時、リフレッシュできるスポットとして密かな人気があります。
近隣の称名寺(しょうみょうじ。今泉不動尊)や散財ガ池(さんざがいけ)森林公園ともども、観光ルートに組み込んでみてはいかがでしょうか。
白山神社
参拝時間
24時間(ただし管理元神社は9:00~17:00)
休務日
社務所はありません(連絡は管理元神社へ)
主な祭礼
1月8日 大注連縄(おおしめまつり)9月第1日曜日 例祭(れいさい)11月23日 新嘗祭(にいなめさい)12月30日 福銭入魂式(ふくぜににゅうこんしき)アクセス
所在地:神奈川県鎌倉市今泉3-13-20
JR各線「大船駅」東口よりバス「白山神社前」下車、徒歩1分
駐車場:なし(近くのパーキングを利用されるか、公共交通機関の利用がおすすめです)
連絡先
管理元神社:岩瀬 五所稲荷神社
電話/FAX:0467-47-4798(9:00~17:00)
メール:iwase5inari@mou.ne.jp






