――佐藤さんと山谷さんはそんな北大路さんと共演されて、何か感じたことや、印象に残ったアドバイスはありましたか?

佐藤:私は2つあるのですが、本当に細部までこだわりを持って取り組まれているのだなと思いました。友助が、顔が見えないように編み笠をかぶって清左衛門の前に現れるシーンがあるのですが、2人の距離があまりに近いと清左衛門が気づいてしまいます。そういう場面もウソのないようにすごくこだわって、監督やスタッフさんたちと話し合いながら作品作りをされていました。また、セリフのないシーンでの佇まいや、“目で語る”説得力は私たちと次元が違うなと、まざまざと思い知らされました。

北大路:佐藤さんは、立ち回りの動きが素晴らしいです。

佐藤:ありがとうございます!

北大路:(佐藤は)アクションや殺陣に対して、いつも意識を持って仕事をされていると思うんです。だから今回も芝居に違和感がないので、驚きました。

佐藤:恐縮です。

山谷:私はクランクインの日、最初に撮影したシーンが北大路さんと2人でのシーンだったのですが、まだ現場の雰囲気もつかめていない中、お茶の出し方や着物の持ち方など、所作をそっとアドバイスしてくださいました。

北大路:うるさい奴だなと思っていた?

山谷:思ってないです!(笑) 今回、はなえは清左衛門と同じシーンがあまりなかったので、もっとたくさんのシーンで一緒にお芝居をしたかったですね。

――北大路さんから見た、佐藤さん、山谷さんの魅力は?

北大路:お2人とも役に対して本当に素直に向き合っていらっしゃると思いました。決して自分を捨てているわけではなく、しっかりと自分を乗せて、役として登場していることをものすごく感じました。それによって清左衛門も変わるんです。お互いに心をぶつけ合って反応する。今回、そういう出会いが持てたことが素晴らしいと思っています。

最新作は「愛について提示する作品」

――改めて佐藤さん、山谷さんから、『三屋清左衛門残日録』に参加される思いと、シリーズの魅力を教えてください。

佐藤:現代においてもそうですが、友助のように真っすぐで誠実な人間ほど理不尽な場面に直面することがあると思います。そうした中での一筋縄ではない人間の奥深い感情が、テーマの一つになっている作品だと思います。サクセスストーリーで盛り上がって大団円で終わるというところにはない、“おしゃれさ”がある。それを作っているのは、歩き方や佇まいといった現代にはない所作や、厳しい規律などにある美しさだと思います。

山谷:今回は夫婦のお話ということもあって、愛について提示する作品だと思っています。この時代は生活する上で何かと不便なこともたくさんあったとは思うのですが、現代と比べて心の不自由さというものはないと思うんです。すごく自由に人と人が向き合って、だからこそ清左衛門が手を差し伸べてくださるように、優しくなれる。その心の広さが今回、より強く描かれていると思うので、ぜひ注目して見ていただけたらと思っています。