JR貨物は、「北海道地区(室蘭線)における鉄道物流の災害による輸送障害に対するBCP策定に向けた官民一体の検討会」で議論した内容をとりまとめ、公表した。検討会は北海道運輸局とJR貨物が共同事務局となり、2025年8~9月に札幌市で計2回開催された。

  • 室蘭本線を走る貨物列車

    室蘭本線を走る貨物列車

検討会は、貨物鉄道を利用する運送事業者と通運関連団体、北海道と道内の関係自治体、苫小牧港管理組合、国土交通省と北海道運輸局、北海道開発局、JR北海道、JR貨物などで構成され、災害時の輸送障害発生時における代行輸送体制の強化と連携のあり方を協議した。

貨物鉄道輸送に関する災害状況として、北海道に関わる過去の事例が共有された。2016年8月、台風9・10号の影響で根室本線の橋梁流出が発生し、貨物列車が106日間不通となったケースを挙げたほか、2018年9月の胆振東部地震でも被害を受けた例が報告され、全国的に災害による貨物列車の運休本数が増加傾向にあり、今後も運休リスクが増加するとの認識が共有された。室蘭本線特有の事情として、平均30~35年周期で噴火を繰り返す有珠山に近く、噴火した場合は室蘭本線や道央自動車道の不通が想定されるとした。

こうした状況を踏まえ、検討会では災害発生時にトラックおよび内航海運による代行輸送体制を速やかに立ち上げるための課題を整理し、対応方針を確認した。1点目として、トラック・船舶による大規模な代行輸送を実施する際、全国からコンテナ積載トラックが札幌貨物ターミナル駅や函館貨物駅周辺に集中し、夜間・休日の駐車場確保がボトルネックとなり、代行輸送の開始と増強に時間を要する課題が示された。発災時でも迅速にトラック代行輸送を開始できるよう、札幌貨物ターミナル駅および函館貨物駅近くの公共用地を災害発生時の代行トラック駐車場候補地とすることを確認した。

2点目として、代行トラックの通行規制に関する課題を取り上げた。現状では、災害時に全国からコンテナ積載トラックが集まるとしても、車両ごとに特殊車両通行許可を取得する必要があり、許可取得に手間と時間を要するケースがあるという。これを踏まえ、トラック代行輸送を実施する際、特殊車両通行許可について自治体と国が迅速に処理することを確認した。札幌貨物ターミナル駅から函館貨物駅までの想定通行経路についても、コンテナ2個積みトラックが通行許可不要で通行できる「高さ・重さ指定道路」に指定済みであることを確認した。

災害発生時の代行トラック用中継地点の確保も検討された。札幌貨物ターミナル駅から函館貨物駅までの想定通行経路は長距離となり、1人乗務では運行管理上の制約が生じる。札幌貨物ターミナル駅から函館貨物駅までの国道沿いに位置する一部の駐車場やチェーン着脱場など、代行トラック中継地点の候補地とすることも確認した。

船舶による代行輸送についても、函館港、室蘭港、苫小牧港で利用する岸壁を事前に想定し、岸壁や臨港道路の使用許可申請を港湾管理者へ速やかに提出し、許可についても迅速な対応に協力していくことを確認事項としてまとめた。なお、JR貨物は今回の検討会について、2000年の有珠山噴火による輸送障害を踏まえた代行体制の検討であるとしており、実際の災害時にはその規模と場所、時期等によって対応が変わることから、今後も関係者と連携し、地域ごとの検討を通じてBCP策定と輸送障害対策の強化を進める方針を示している。