
鎌倉市と横浜市栄区との境目に位置する五社稲荷神社(鎌倉市岩瀬)。幹線道路から一本奥に入ると、閑静な住宅街に荘厳な境内が広がっています。
今回はこちらの五社稲荷神社にて、石井宮司にお話を伺いました。
石井宮司は鎌倉の鶴岡八幡宮で奉職後、現職として約半世紀にわたりこちらで奉職されています。
「地域コミュニティの場を提供したい」

神職を志されたキッカケは何でしょうか?
石井宮司:精神面での社会貢献をしたかったからです。当時はバブル期だったので、就職先は多くありました。しかし、営利目的よりも精神面で社会に貢献したいと考え、神職を志した次第です。
神職として、どのようなお仕事をされてきましたか?
石井宮司:参考までに、鶴岡八幡宮で奉職していた時の話をしましょう。私は当時、祭儀課に所属しておりました。普段はサラリーマンと同じように朝出勤し、祭礼の準備を行うほか、祭礼の際は祭員として神様にご奉仕します。
また、交代で宿直業務もあり、夜間に翌日の支度をすることもありました。休日はローテーションで、互いに配慮しながら適宜取得しています。
五社稲荷神社で奉職される時、最も大きな課題は何でしたか?
石井宮司:私は世襲の宮司ではなく、20代半ばで他所から来ています。そのため、地域の皆さんに受け入れてもらうまでに、多くの歳月を要しました。地域コミュニティの中核を担う一員として、これからも信頼を積み重ねて参ります。
神職として、最もやりがいを感じるのはどんな時でしょうか?
石井宮司:神事を通じて、参拝者の方に喜んでいただけた時が、最も嬉しいです。あえて口には出さずとも、皆さんが帰られる時に、どんな表情をされているか。神職として、そういう心遣いや気配りを大切に心がけております。
神社とは、どのような場所とお考えですか?
石井宮司:神社は昔から地域コミュニティにおける中心的な場でした。神事や行事を通して世代間交流を深めたり、神様のご利益にあずかったりできる場を、これからも提供していきたいです。
五社稲荷神社の歴史

こちらの五社稲荷神社は、1190~1198年(建久年間。平安末期〜鎌倉初期)に鎌倉幕府の御家人・岩瀬与一太郎義正(いわせ よいちたろうよしまさ)が建立したと伝わります。
以下の五柱(柱は神様を数える単位)を合祀していることから「五社稲荷神社」「五社明神」などとも呼ばれてきました。ほか地元では「岩瀬の稲荷神社」と字名を冠して呼ぶこともあります。
宇迦御魂(うかのみたま)→五穀豊穣・商売繁盛・学問や就職にご利益があります。保食神(うけもちのかみ)→風水害を鎮め、穀物と土地を護る神様として崇敬されてきました。大己貴神(おおなむちのかみ)→人畜問わず医学・薬学・病気平癒にご利益のある神様です。大田田根子命(おおたたねこのみこと)→神と人の関係を取り持つ、疫病平癒の神様として信仰されてきました。大宮能売命(おおみやのめのみこと)→良縁・夫婦円満・家内安全・延命長寿の神様として知られます。※御神号(神様の名前)及び御神徳(ご利益)は一例です。

永い歴史を持つ五社稲荷神社は、身分を超えて厚く崇敬されてきました。
例えば、江戸時代後期に発生した天明の大飢饉(1782~1788年)に際しては、村民の不安を取り除くため、困窮の中であえて社殿を再建します。御神威の発揚を通じて助け合いの精神を訴え、また備蓄を投じて粥の振る舞いなどを行い、被害を最小限に抑えられました。
毎年9月29日の例大祭は厳粛に執り行われる一方、鶴岡八幡宮の大神楽による興行が催されるなど、大いに盛り上がったと言います。そして21世紀・令和の現代においても氏子会活動が盛んに行われ、地域の内外からの参加者が増加。これからも神様と人間が寄り集う場所として、大切に守られていくことでしょう。
まとめ

今回は鎌倉市岩瀬の五社稲荷神社にて、石井宮司のお話を伺ってきました。石井宮司の精神的な社会貢献は、物質主義・営利主義に疲弊している現代社会において、とても重要な意味を持っているように感じます。
また、五社稲荷神社の歴史を調べる上で鶴岡八幡宮とのつながりが見られ、鶴岡八幡宮と五社稲荷神社を歴任された石井宮司の経歴が単なる偶然ではないように感じられました。
これからも、五社稲荷神社が地域コミュニティの中心として人々に愛され、発展するよう願ってやみません。
岩瀬 五社稲荷神社
参拝時間
24時間(ただし社務所は9:00~17:00)
休務日
特になし(不定休)
初穂料
御朱印:500円御神札:1,000円お守り:300~700円絵馬:800円破魔矢:1,200~2,200円おみくじ:100円御祈祷:5,000円から主な祭礼
例大祭:8月の最終土・日歳旦祭:1月1日祈年祭:2月1日平島弁財天社例大祭:5月巳の日新嘗祭:11月15日前の日曜日大祓:12月31日神前祈祷:随時(初宮詣、七五三、厄除け、祈願など)出張祭典:随時(地鎮祭、竣工式、神葬祭、祈願など)アクセス
所在地:神奈川県鎌倉市岩瀬1399
JR各線「大船駅」東口ロータリーよりバス停「鎌倉女子大前」下車徒歩2分
駐車場:なし(近くのパーキングを利用するか、公共交通機関の利用がおすすめです)
連絡先
電話/FAX:0467-47-4798(9:00~17:00)
メール:iwase5inari@mou.ne.jp
