風邪はすっかり良くなったのに、咳だけしつこく続くことがありますね。数日ならいいけれど、数週間~1カ月以上続いて心配になったことがある人もいるのではないでしょうか。長引く咳はなぜ起こり、どうしたら改善できるのでしょうか。原因や受診の目安、自宅でできる対処法を紹介します。
咳はどうして起こるのか
咳のメカニズム
空気中の異物が気管や気管支に入ると、気道の粘膜にある「咳のセンサー(咳受容体)」が刺激されます。 この刺激が脳の延髄にある咳中枢に伝わり、反射的に咳が出ます。咳の勢いは時速約320kmに達するといわれ、体を守るための強い防御反応なのです。
咳のタイプ別に見る原因
咳はさまざまな病気で起こりますが、一般的に「乾いた咳(痰が出ない)」と「湿った咳(痰が出る)」で原因が異なります。ここでは代表的なものを紹介します。
乾いた咳(乾性咳)の主な原因
・風邪や感染後の炎症(感染後咳嗽) ・アレルギーや喘息(咳喘息・アトピー咳嗽) ・胃食道逆流症(逆流した胃酸が刺激になる) ・血圧の薬(ACE阻害薬)の副作用 ・まれに間質性肺炎 など
痰を伴う咳(湿性咳)の主な原因
・気管支炎や肺炎などの感染症 ・喫煙やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)による慢性気管支炎 ・気管支拡張症、非結核性抗酸菌症などの慢性疾患 ・心不全や肺水腫などの循環器疾患
咳が長引くのはなぜ?
出始めて1~2週間以内の咳は「急性咳嗽」 とされ、多くは自然に治まります。一方、3週間以上続くようなものは「慢性咳嗽」にあたります。慢性咳のよくある原因を見てみましょう。
風邪の後に咳だけ続く「感染後咳嗽」
風邪が治ったあとも3週間以上咳だけが続く場合は、「感染後咳嗽(かんせんごがいそう)」と呼ばれます。風邪のウイルスにより気道の粘膜が炎症を起こし、咳反射が過敏になっている状態です。咳を繰り返すうちに、気道上皮がさらに刺激され、炎症が長引く悪循環が起こります。
長引く咳は「咳ぜんそく」のことも
息切れや「ゼーゼー」といった呼吸音がなく、咳だけが続くのが「咳ぜんそく」です。放置すると気管支喘息に進行することがあるため注意が必要です。 次のような症状がある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。 ・咳止めを飲んでも咳が続く ・明け方や就寝前に咳が強くなる ・運動や冷たい空気で咳が出る
受診の目安
感染後咳嗽は時間が経てば自然に治ることが多いですが、長く続くと生活に支障が出ます。咳が続くと気道を傷めたり、夜眠れなかったり、体力を消耗して不安が強くなることもあります。
・2週間以上、咳が続く
・強い咳で眠れない、または胸が痛い
・息苦しさや喘鳴(ゼーゼー音)がある
このようなときは我慢せず、早めに呼吸器内科またはかかりつけ医を受診しましょう。
咳が長引くときは「早めの受診」が安心
咳は体を守る大切な反応ですが、長く続く場合は注意が必要です。 風邪が治っても3週間以上咳が続くときは「感染後咳嗽」、または「咳ぜんそく」などの可能性があります。 2週間以上続く咳や、夜眠れないほどの咳があるときは、早めに医療機関を受診しましょう。 あわせて、加湿・禁煙・水分補給を心がけ、喉をいたわる生活を意識することも大切です。
最後に長引く咳に関して、呼吸器内科の専門医に聞いてみました。
咳は多くの場合、風邪などの感染後にしばらく残る「感染後咳嗽(かんせんごがいそう)」や、気道が敏感になって起こる「咳喘息(せきぜんそく)」などが原因です。多くは時間とともに軽快しますが、なかには注意が必要な咳もあります。
たとえば、3週間以上続く咳、夜間や早朝に強く出る咳、痰に血が混じる、息苦しさや体重減少を伴う場合は、肺炎やぜんそく、肺がん、結核などの病気が隠れていることもあります。また、心臓や胃の病気、薬の副作用が関係していることもあります。
咳が長く続くと体力も消耗し、眠れない日が続くこともあります。「たかが咳」と思わず、早めに呼吸器内科などで原因を調べることが大切です。原因が分かれば、適切な治療で咳が楽になることも少なくありません。
長引く咳は、体からのサイン。2週間以上続いたら迷わず受診し、医師に相談してみましょう。

