パーソル総合研究所は11月6日、「医療従事者の職業生活に関する定量調査」の結果を発表した。同調査は7月11日~22日、医療・福祉分野で働く全国の医療従事者4,000人を対象に、インターネットで実施した。

  • 医療従事者の「はたらく幸せ実感」

    医療従事者の「はたらく幸せ実感」

同調査では、はたらく事を通じて感じる幸福感は「自己成長」「リフレッシュ」「チームワーク」「役割認識」「他者承認」「他者貢献」「自己裁量」、不幸感は「自己抑圧」「理不尽」「不快空間」「オーバーワーク」「協働不全」「疎外感」「評価不満」というそれぞれ7つの因子で構成されていると定義している。

医療従事者の「はたらく幸せ実感」を、全国の就業者全体と比較したところ、平均を下回っていることがわかった。医療従事者の「はたらく幸せ実感」は「自己成長」「他者貢献」「役割認識」との関係が強く、「はたらく不幸せ実感」は「評価不満」と「オーバーワーク」との関係が強かった。

  • 「はたらく幸せ実感」「はたらく不幸せ実感」との相関係数

    「はたらく幸せ実感」「はたらく不幸せ実感」との相関係数

医療従事者としてのやりがいは、患者との関わりに由来する要因が多く、他者貢献志向が強い傾向にある。約半数が自身の職業に誇りを持っているが、仕事の負担やストレスの大きさなどから、家族や友人らには勧めにくいと感じる人も4割強にのぼることもわかった。特に看護師群の4割以上が、メディアや社会が抱く職務イメージが実態と比べて悪すぎると回答している。

  • 医療従事者の半数以上は、自身の職業に誇りを持っている

    医療従事者の半数以上は、自身の職業に誇りを持っている

仕事への熱意・没頭するようなやりがいについては、医療従事者の約6割が、熱意が持てない「不活性」な状態、またはストレスの高い「バーンアウト(燃え尽き)」状態にあることがわかった。

  • 医療従事者の約6割は、仕事への熱意・没頭するようなやりがいを見出せていない 

    医療従事者の約6割は、仕事への熱意・没頭するようなやりがいを見出せていない 

心理的苦痛は、医療従事者の3割が過去1か月に経験していると回答している。特に看護師で多く、医師からのハラスメント(33.5%)やインシビリティ(非礼・43.7%)を受けた経験が高水準だった。

心理的苦痛の具体的な内容は、「ため息や不満の態度」や「目を見ない・他の作業をする」「無視する」といったインシビリティ事案が多いが、「感情的・高圧的な叱責」「威圧的な発言」などハラスメント事案もあった。看護師(34.6%)と医療事務(37.2%)は、患者やその家族からのクレームに対応する機会が多く、クレーム対応によって心身が疲弊することがよくあると回答した。

  • 医療従事者の約3割が過去1か月に心理的苦痛を経験

    医療従事者の約3割が過去1か月に心理的苦痛を経験

医療現場の給与・賞与の処遇は年功的運用が多いが、管理職登用については個人業績的側面が考慮される傾向にある。人事評価制度の有無よりも、評価のフィードバックと今後の期待の説明の有無が、経営職・管理職との信頼関係を高める可能性があることもわかった。