小学館は、鉄道写真家・広田尚敬氏の集大成となる写真集『鉄道写真 広田尚敬』(B4判変型318ページ、5万5,000円)を11月5日に発売した。この秋90歳を迎える広田氏が自ら選んだ未発表作を含む約400点を収録し、60年以上にわたる創作活動をまとめた決定版となる。
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背景は流れるが列車は止まって見える「流し撮り」の技法でブルートレインをとらえた作品(東北本線 / 1977年)
広田尚敬氏は、鉄道ファンやカメラマンから「レジェンド」「神様」と称される存在で、鉄道写真というジャンルが確立していなかった1960年からフリーランスとして活動を開始。1968年に日本初の本格的な鉄道写真展を開催し、1970年代のSLブームや1980年代のブルートレインブームを牽引した。鉄道を単なる記録対象ではなく、季節や風景、人々の暮らしとともに詩情豊かにとらえた作品群は「広田調」と呼ばれ、多くの後進に影響を与えたとされる。
『鉄道写真 広田尚敬』では、超スローシャッターで列車の疾走感をとらえたC55形や、D51形の煙を超望遠でとらえた室蘭本線の名作など、鉄道史に残る代表作を多数収録。昭和、平成、令和を通して日本人と鉄道の関係を映し出す貴重な記録となっている。
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昼過ぎの工業地帯を行く川崎市電。ひとりの女性にスポットを当て、車内に漂う生活感をとらえた写真(1959年)
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C55形が牽引する旅客列車の疾走感と重厚さ、迫力を超スローシャッターでとらえ、話題となった作品(日豊本線 / 1973年)
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D51形の上部をとらえ、激しく噴き上げる煙を超望遠レンズで撮影した作品(室蘭本線 / 1975年)
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日本の鉄道写真を切り拓いた広田尚敬氏
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『鉄道写真 広田尚敬』表紙イメージ
初回出荷分には、代表作「C62動輪」(1967年)の六つ切り銀塩プリントに広田氏の直筆サインを入れた特典が付く。愛用したカメラ機材など抽選で当たる応募券付きチラシも封入する。