10月26日、国土交通省 神戸運輸監理部は、神戸市および公益社団法人神戸海事広報協会との共催で「親子交流海洋教室」を開催した。同イベントは、2022年10月に就航したジャンボフェリー「あおい」に乗船して神戸から高松に航海する間、さまざまなプログラムを通じて港や船、船員の仕事などについて親子で楽しみながら学べるとあって、人気を博している。今年は抽選で選ばれた27組54名が参加した。今回は、その模様をレポートする。

クイズ大会やバックヤードツアー、ロープワーク教室など、充実のプログラム

ジャンボフェリー「あおい」に乗船して朝8:15に神戸港を出港し、最初に行われたのは、神戸市港湾局による「神戸港案内授業」。

  • 講師を務めたのは、神戸市港湾局 振興課の関口直樹さん

    講師を務めたのは、神戸市港湾局 振興課の関口直樹さん

神戸港にまつわるクイズが出題され、朝早い時間にもかかわらず、子どもたちは積極的に挙手をして回答していた。

  • 正解者には神戸港のキーホルダーがプレゼントされた

    正解者には神戸港のキーホルダーがプレゼントされた

「神戸港は少なくとも約1800年前から利用されていて、その理由は地形にある」と、関口さん。「山と海が近く、北からの季節風を山が遮ってくれるので、船が風の影響を受けにくい。そのため、昔から神戸は港の地形として優れている」との解説には、子どもだけではなく、保護者からも「なるほど」と納得の反応が起きていた。

明石海峡を通峡する際には、神戸運輸監理部 海事振興部長の岡村知則さんが明石海峡航路について解説。

  • 神戸運輸監理部 海事振興部長の岡村知則さん

    神戸運輸監理部 海事振興部長の岡村知則さん

雨が降る悪天候ながら、子どもたちは配布された資料に目を落としながら聞き入っていた。

  • 雨も気にせず、子どもたちの表情は真剣そのもの

    雨も気にせず、子どもたちの表情は真剣そのもの

明石海峡が目前に迫って来ると、参加者一同、大興奮。船の上からしか望めない珍しいアングルにスマホを向けて、屋上のテラスは大歓声に包まれた。

  • 迫力満点の明石海峡、真下から見上げるアングルは船上ならではの光景

    迫力満点の明石海峡、真下から見上げるアングルは船上ならではの光景

船内に戻り、フェリー内の「のびのび席 ANNEX」エリアにて、本船の運航を行うジャンボフェリー株式会社による「クイズで学ぶジャンボフェリー」が行われた。

  • この問題の正解は「(3)シュモクザメ」

    この問題の正解は「(3)シュモクザメ」

小豆島や海、ジャンボフェリーに関するクイズが計5問出題され、大盛り上がり。ちなみに、ジャンボフェリー「あおい」の速度(約18ノット)は全速力のカバと同じくらいらしい。正解数の多かった上位3名が賞品をゲットした。

  • 上位3名の賞品は、ジャンボフェリーのぬいぐるみ

    上位3名の賞品は、ジャンボフェリーのぬいぐるみ

  • 全員に参加賞が進呈された

    全員に参加賞が進呈された

続いて、2組に分かれてバックヤードツアーへ。普段は入れない操舵室では、双眼鏡を覗いて進路を確かめてみたり、舵を握ってみたりと、子どもたちは船員の仕事を体験。

  • すっかり気分は船員さん

    すっかり気分は船員さん

  • 船長が直々に操舵をレクチャー

    船長が直々に操舵をレクチャー

また、食堂では、夜食のうどんが食べ放題だったり、休憩中はゲームをして遊んでいたりする船員の日常を教えてもらったことで、親近感を覚えたようだった。

  • 質問が飛び交い、船員の仕事に関心を寄せているのが伝わってきた

    質問が飛び交い、船員の仕事に関心を寄せているのが伝わってきた

「のびのび席 ANNEX」に戻り、次のプログラムは授業「海と船に関する話」。

  • 明石海峡航路を解説した神戸運輸監理部 海事振興部長の岡村さんが講師を担当

    明石海峡航路を解説した神戸運輸監理部 海事振興部長の岡村さんが講師を担当

岡村さんは「日本の貿易量の99.7%は港を通じた海上輸送であり、神戸においても市内総所得の約3割を港湾が占めている」と指摘。 船の仕事や神戸港の大切さを知り、港や船、船員に対する子どもたちの興味はますます深まった様子だった。

そして、出港から約3時間、ジャンボフェリー「あおい」は小豆島へ。フリータイムを兼ねた坂出港入港見学では、船長経験を持つ岡村さんが着岸を“船長目線”で解説。

  • 元船長ならではの解説に興味津々

    元船長ならではの解説に興味津々

巨大な船体を巧みに操る“神業”を参加者たちは固唾を飲んで見守っていた。

  • 小豆島坂出港に無事着岸

    小豆島坂出港に無事着岸

最後は、神戸を拠点に活動する神戸海洋少年団による「ロープワーク教室」が開かれた。

  • 披露された手旗信号では、参加者の名前の送受信に見事成功

    披露された手旗信号では、参加者の名前の送受信に見事成功

班ごとに団員に教えてもらいながら、親子でロープワークに挑戦。

  • 子どもも大人もロープワークに夢中

    子どもも大人もロープワークに夢中

8の字結びから引き解け結び、鎖結び、テグス結びと徐々に難易度が上がる中、子どもたちは一生懸命に取り組んでいた。

  • 子どもたちのがんばりに応え、団員の指導にも熱が入る

    子どもたちのがんばりに応え、団員の指導にも熱が入る

  • 根気良く、結び方をひとつずつマスター

    根気良く、結び方をひとつずつマスター

「親子交流海洋教室」で思い出に残る“船の冒険”と盛りだくさんのプログラムを満喫し、ジャンボフェリー「あおい」は高松東港に入港。短い航海は、あっという間に幕を閉じた。

  • 下船前に参加者全員で集合写真を撮影

    下船前に参加者全員で集合写真を撮影

参加した親子からは「クイズやロープワーク教室は難しかったけど、すごく楽しかった(小4男児)」「以前から応募していて、今回初めて抽選に当選して参加できたのですが、プログラムが豊富で楽しかったです。子どもが船に興味を持っているので、こういった学べる機会はありがたいですね(保護者)」といった声が聞かれた。

高松東港に入港後はJR高松駅に移動して周辺を自由に散策し、貸切バスで帰路に就いた同イベント。きっと、思い出に残る“船の冒険”になったことだろう。