ゴミ箱のフタを開けた瞬間、思わず顔を背けてしまうほどの強烈なニオイ。今回は、ゴミを捨てても消えない悪臭の原因と、ニオイを防ぐ簡単で効果的な対策を家事アドバイザーの河野真希さんに教えていただきました。
本記事を読んで、悪臭から解放されて、快適な暮らしを取り戻しましょう。
ゴミ箱が臭くなる原因とは
ゴミ箱が臭くなる主な原因は、生ゴミの腐敗臭です。腐敗臭とは、微生物が生ゴミを分解する際に発生する不快なニオイのこと。微生物は「栄養」「水分」「温度」の3つの条件がそろうと活発に増殖します。栄養や水分を含む生ゴミには微生物が繁殖しやすいため、強い悪臭が発生しやすいです。
また、家庭でよく使われるポリエチレン製のゴミ袋は透過性があり、口を閉じてもニオイを通してしまいます。
さらに、生ごみの悪臭の原因となるのは嫌気性微生物。酸素を好まないため、ふた付きのゴミ箱で密閉してしまうと、微生物がより繁殖しやすい環境となってしまいます。結果として腐敗臭が強くなる上に、ゴミ袋の外にも漏れて、ゴミ箱自体も臭ってくるのです。
ゴミ箱が臭いときの対処法
それでは生ゴミのニオイを解消するにはどうすればよいのでしょうか。ここでは具体的な対処法をみていきましょう。
消臭剤を使う
もっとも手軽な方法は、ゴミ箱専用の消臭剤を使ってニオイを抑えること。生ゴミ用の消臭剤は2種類あり、ひとつはスプレーで吹きかけるタイプ、もうひとつは設置するタイプです。即時性を求めるならスプレータイプを、継続的に消臭したいなら設置型を使用しましょう。夏場は併用すると効果が高まります。
アルコールスプレーを使う
コロナ禍を経て、アルコールスプレーを常備する家庭も増えたかと思います。除菌・消臭効果があるので、生ゴミをポリ袋に入れるときや、ゴミ箱に生ゴミを入れるときに、その都度シュッと吹きかけると、ニオイを抑えてくれますよ。
ゴミ箱を丸洗いする
生ゴミを処分したあとでもゴミ箱が臭う場合は、中性洗剤を使ってゴミ箱全体を丸洗いし、天日干しでしっかり乾燥させてください。特に溝や角に汚れが残りやすいため、ブラシを使って丁寧にこすり落としましょう。完全に乾かすことで、水分を好む微生物が繁殖しにくくなります。
さらに、底に新聞紙やペット用の吸水シートを敷くなど、汚れや水分がつかないような工夫をすると、掃除の負担を減らすことができ、長く衛生的なごみ箱を保てます。
ゴミ箱の悪臭を予防する方法
悪臭が出てから慌てて対処するよりも、日頃から予防しておく方が効率的です。置き場所や捨て方を工夫するだけで、ニオイの発生をぐっと抑えられます。それでは実際にニオイを予防する方法をご紹介します。
生ゴミを濡らさないようにする
生ゴミのニオイを防ぐには、「濡らさないこと」が大切です。シンク内の三角コーナーは水がかかりやすく、雑菌が繁殖しやすいため、調理台の上など水がかからない場所に生ゴミを集めましょう。
また、野菜は皮をむいてから水洗いすると、生ゴミを濡らさずに処理できます。さらに、ジャガイモなど土の付いた野菜は、買ったときに洗って乾かしてから保存しておくと調理がスムーズ。ちょっとした工夫で生ゴミの悪臭を大幅に減らせます。
生ゴミの水分をしっかり絞る
生ゴミの悪臭を防ぐには、水分をできるだけ減らすことが重要です。排水口にたまった生ゴミは特に水気を多く含むため、そのまま捨てずに一度しっかり絞りましょう。水分が残っていると微生物が繁殖しやすく、ニオイの原因になります。
また、水気の多い生ゴミは他のゴミと分けて処理すると効果的です。一緒にすると乾いていたゴミまで湿り、悪臭が強まってしまいます。
温度の高いところに置かない
ゴミ箱を直射日光の当たる場所やキッチンの熱がこもる場所に置くと、微生物が繁殖しやすくなり、悪臭が強まります。なるべく涼しく風通しのよい場所に設置するだけで、ニオイの発生を抑えることができます。
特に夏場は温度上昇が避けられないので、置き場所を見直すことで少しでも悪臭を防ぎましょう。
生ゴミに重曹をかける
重曹には除湿・消臭の効果があります。生ゴミに重曹をまぶしておいたり、ゴミ箱に入れた後に軽くふりかけておいたりすると、腐敗臭を抑えてくれます。翌日ゴミ箱を開けたとき、ニオイが気になるのなら、さらにもう一度ふりかけましょう。ドラッグストアや100円ショップなどで購入でき、掃除などにも使えるので、常備しておくと便利です。
回収日まで冷蔵・冷凍庫で保存する
夏場などニオイが強く出やすい時期は、生ゴミをポリ袋などに入れて冷蔵庫や冷凍庫で保存するのも有効です。温度を低く保てば腐敗が進まず、ニオイ対策になります。冷蔵庫内で場所をとると感じる場合は、ニオイを発生しやすいたんぱく質や脂質を多く含む魚の骨や肉の端切れといった臭いやすいものだけを入れるのもおすすめです。
ただし、捨て忘れには注意してください。食材にもよりますが、冷蔵の場合は数日で腐敗が進むこともあるので、早めに捨てるようにしましょう。
きちんと密閉してから捨てる
ニオイを外に漏らさないためには、生ゴミをゴミ箱に入れる前にポリ袋に入れ、密閉します。口をしっかり縛ったり、二重に袋を重ねたりすることも効果を高めます。また、生ゴミを入れるゴミ袋に、ニオイを外に漏らさない効果がある防臭ポリ袋を使うのもよいでしょう。
抗菌・防臭効果のあるゴミ箱に変える
抗菌加工や防臭機能を備えたゴミ箱も多く販売されています。フタがしっかり閉まるタイプや密閉度の高いものを選ぶと、ニオイが外に漏れにくく快適です。高額なものが多いですが、冷蔵・冷凍機能のついたゴミ箱もあります。悪臭を避けたいけれど、冷蔵庫で生ゴミを保管するには抵抗があるという人に便利です。
ゴミを新聞紙で包んでから捨てる
新聞紙は水分を吸収し、消臭してくれるので、生ゴミを包んでから捨てると、悪臭を抑えられます。特に魚や肉など水分が出やすいゴミに最適で、ゴミ箱の底が汚れるのも防げます。
また、牛乳パックも水分やニオイが漏れにくいです。飲み終わった後の牛乳パックを洗って乾かしてから、生ゴミを入れ、ガムテープなどで口を閉じてから捨てるのもおすすめです。
生ゴミの量を減らす
生ゴミの量そのものを減らすことも、悪臭防止に大きな効果があります。たとえば、野菜を皮ごと食べればゴミが減るだけでなく、栄養も余すことなく摂取できます。また、食べ残しを減らす工夫や、必要な分だけ購入する意識を持つことも大切です。
それでも出てしまった生ゴミは、コンポストで堆肥化して家庭菜園に活用したり、ディスポーザーや生ゴミ処理機を導入したりするのも効果的な方法です。日々のちょっとした工夫で、家庭内の悪臭を防ぎつつ、環境にも優しい暮らしが実現できます。
ゴミ箱を掃除するときの注意点
ゴミ箱を掃除する際は、清潔にすることだけでなく安全面にも配慮しましょう。洗剤や消臭剤は誤った使い方をすると有毒ガスが発生するなど、危険を伴う場合があります。効果をきちんと得るため、安全のためにも次のことに注意しましょう。
消臭剤の使用期限を守る
市販の消臭剤は、使用開始から一定期間を過ぎると効果が薄れていきます。期限を過ぎたものをそのまま入れておいても悪臭対策にはならず、場合によっては雑菌の温床になることも。使用開始日を容器に記入しておくと管理がしやすく、常に効果的な状態を維持できます。定期的に取り替える習慣を身につけましょう。
塩素系漂白剤と酸性の製品を同時に使わない
頑固なニオイがついてしまったゴミ箱の除菌・消臭に塩素系漂白剤を使うのは有効です。ただし、酸性の洗剤やクエン酸、お酢、レモン汁などの酸性のもの、またアルコールなどと混ぜると、有毒な塩素ガスが発生し、非常に危険です。必ず単独で使用しましょう。
また、スチールやステンレス、木などでできたゴミ箱は腐食や変色の原因となるため、塩素系漂白剤は使用できません。なお、素手で触ると、手荒れの原因になります。ビニール手袋を使うことが推奨されています。
悪臭対策をして快適な暮らしを取り戻そう!
ゴミ箱のニオイ対策は、まず原因と正しい対処法、予防を知り、実践することが大切です。消臭剤やアルコールスプレーを利用した手軽なケアから、丸洗いや設置場所の工夫まで、今まで行っていなかった工夫があれば、少しでも取り入れると大きく改善する場合があります。
安全面に配慮しながら掃除を行い、毎日の生活空間を清潔で心地よいものに整えていきましょう。




