コスモエネルギーホールディングスらが2025年3月、国内で初めて大規模製造を開始した持続可能な航空燃料「SAF」。その原料となるのが、家庭などから出る廃食用油だ。どうせ捨ててしまう油なら提供したいと考える人もいるだろうが、一体どう回収すればいいのだろうか? 「Tokyo Fry to Fly Project」報告会というイベントで詳しく聞いてきた。

  • 「Tokyo Fry to Fly Project」報告会

    菊池亜美さんが廃食油の回収から提供までの一連の流れを体感した「Tokyo Fry to Fly Project」報告会

「Tokyo Fry to Fly Project」とは?

SAF(Sustainable Aviation Fuel)は化石燃料以外を原料とする持続可能な航空燃料のこと。コスモ石油、日揮、レボインターナショナルの3社は廃食用油を原料とするSAFの大規模製造を2025年3月に始めた。1日あたり最大で10万リットルの廃食用油を使用し、年間約3万トンのSAFを製造する計画だ。

  • 「Tokyo Fry to Fly Project」報告会

    家庭や飲食店から回収された廃食用油は、日揮がコスモ石油大阪堺製油所構内に新設したSAF製造設備に運ばれ、SAFへと生まれ変わる

廃食用油を毎日10万リットルも集めるのは、並大抵のことではない。一般家庭で毎日揚げ物が出るわけでもないし、飲食店の使用量も1軒あたりでは微々たるものだからだ。そこで、日揮が中心となって始めたのが「Fry to Fly Project」である。一般家庭も含めた多くの人たちから協力を得て、効率的に廃食用油の回収を進めていこうという取り組みで、現時点で271の自治体や企業がプロジェクトに参加している。

日揮らが東京都と連携して進める「Tokyo Fry to Fly Project 油で空飛ぶ大作戦」は2023年に始まった取り組み。具体的には都内各所に廃食用油の回収ボックスを設置したり、自治体イベントで回収を実施したりするなどの活動を進めてきた。

家庭の廃食用油を効率的に集めるには

今回の「Tokyo Fry to Fly Project」報告会には、ゲストとして2児の母でもあるタレントの菊池亜美さんが参加。まずは座学で「Tokyo Fry to Fly Project 油で空飛ぶ大作戦」への理解を深めていった。

  • 「Tokyo Fry to Fly Project」報告会

    SAF事業や「Fry to Fly Project」「Tokyo Fry to Fly Project 油で空飛ぶ大作戦」などの詳細を菊池さん(写真右)に説明するFry to Fly Project 代表(日揮)の西村勇毅さん

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    東京都 環境局 資源循環推進部 資源循環調整担当課長の山中敏晃さんは、先日行われた「東京2025世界陸上競技選手権大会」における廃食用油の回収キャンペーンや人気YouTuberとのコラボ、廃食用油の回収に便利なロゴ入りの「じょうご」などを紹介した

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    東村山市 環境資源循環部 ごみ減量推進課長の武田源太郎さんは、東村山市の取り組みや10月19日に開催された「エコライフフェア」で日揮の協力のもと行った廃食用油の回収などについて紹介した

  • 「Tokyo Fry to Fly Project」報告会

    日本航空 調達本部 国産SAF推進タスクフォースプロジェクト担当部長の喜多敦さんは、SAFが実際に使われる様子を説明。菊池さんから出た安全性に対する疑問には、「従来のジェット燃料と基本的に同じものとして扱えるので、安全性に関しても全く同じです」と回答していた

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    国土交通省 航空局 カーボンニュートラル推進室長 山下泰史さんは、SAFを取り巻く世界の環境や国として機運醸成に取り組む意義を解説。「ICAO(国際民間航空機関)とCORSIA(SAFの国際認証スキーム)という単語だけでも覚えておくと、航空通として話ができると思います」とのアドバイスを受けた菊地さんは、「”ICAOね、知ってる知ってる”みたいな感じですね」と応じていた

4者からの説明を聞き終えた菊池さんは、「主婦目線で言えば、イベントなどに1回だけ油を持っていくだけでは意味がないので、長期的に家庭で廃食用油を集めることが習慣になるような仕組みが必要ですね」と話していた。

廃食用油の回収に菊池さんがチャレンジ! 難易度は?

廃食用油の回収について、現在主流の固めて捨てるよりも簡単で、家事が楽になるのであれば個人的にやろうと思うと話した菊池さん。実際に廃食用油の回収デモンストレーションにチャレンジしてみた感想は?

  • 「Tokyo Fry to Fly Project」報告会
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    最初に使用済み食用油から油とりで揚げカスなどのゴミを取り、東京都のオリジナルじょうごを手にした菊池さん。じょうごを使ってフライパンの油をペットボトルに移していく

  • 「Tokyo Fry to Fly Project」報告会
  • 「Tokyo Fry to Fly Project」報告会

    油を移し終えたらペットボトルのフタを閉めて回収は完了。回収した廃食用油入りペットボトルは設置ボックスに持っていく

回収デモンストレーションを終えた菊池さんは、「油の処理をめんどくさいと思っていた私ですが、固めるよりもペットボトルに入れる方が断然簡単でした。これなら、少しずつ溜めておいて、溜まったら近くの回収所に持っていくだけなのでいいですね」とご満悦。

そんな菊池さんに西村さんは、「油のゴミ取りは最終的にはSAF製造設備でも行うので、そこまで神経質に取らなくても大丈夫です」とアドバイスを送っていた。

続いて登場したのは「フライガチャ」だ。これはいわゆるガチャガチャで、「Fry to Fly Project」に参加している自治体や企業が景品を提供。東村山市で開催された「エコライフフェア」にも登場し、大盛況だったという。

  • 「Tokyo Fry to Fly Project」報告会

    意外と大きいフライガチャのサイズ感に驚く菊池さん

  • 「Tokyo Fry to Fly Project」報告会
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    フライガチャの景品一例。ラインアップはステッカーからボールペン、帽子など多岐にわたる

  • 「Tokyo Fry to Fly Project」報告会
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    フライガチャの楽しみ方は通常のガチャガチャと一緒。ガチャを回して、出てきたカプゼルに書いてある番号の景品がゲットできるという仕組みだ。フライガチャは今後もイベントなどに登場するとのこと

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    菊地さんは東京地下鉄提供の「東京メトロオリジナル絆創膏」をゲット。「ちょっとした切り傷でも子供が“絆創膏貼って”と言ってくるので、うちは絆創膏の消費が激しいんです」と菊池さん

イベントの最後には、「知らないことばかりで、SAFという言葉にもなじみがなかったんですが、取り組みや使われ方、回収方法など、いろいろなことを知ったので、私も日頃から油の回収をやっていきたいと思います」と話した菊池さん。座学で山下さんが話した「9月に開設した国土交通省航空局の公式インスタグラム『ソラカボ』のフォロワー数が現在160人問題」については、「もう少しフォロワー数が増えるように、私も拡散します」と話していた。