自民党新総裁の高市早苗氏による「全員で馬車馬のように働いてもらう」という発言が注目を集めました。実際に馬車馬のように働いて長時間残業をしたら、残業代はどれくらい増えるのでしょうか。今回は残業代をシミュレーションした結果や、残業に関する注意点を解説します。
残業代の基本ルールとは?
残業代は、労働基準法でルールが定められています。
時間別の割増率
残業分に関しては、賃金が割増されることが決まっています。通常の残業は25%増、月60時間を超えた分は50%増、深夜残業(22時~5時)は25%増、休日労働は35%増です。
月60時間超の残業に対する50%以上の割増率は、以前は大企業のみ適用されていました。しかし2023年からは中小企業も適用対象となっています。
残業には36協定が必要
従業員に残業をさせるには、会社と労働者側で36協定を締結しなくてはなりません。36協定とは、「労働基準法第36条」が基になっている言葉で、法定労働時間を超える残業・休日労働をさせる際に求められる協定のことです。
労働組合あるいは従業員の過半数を代表する者との間で36協定を締結し、労働基準監督署に届け出を行います。
残業代をシミュレーション
月給30万円(手当を含まない)の場合で、残業代を計算してみましょう。
時間あたりの基礎賃金を求める
まず、1時間あたりの基礎賃金を計算します。所定労働時間を月160時間(20日勤務 × 1日8時間、9時~18時勤務)とすると、1時間あたりの基礎賃金は、30万円÷160=1,875円となります。
なお、時間あたりの基礎賃金を計算するとき、通勤手当や住宅手当などは含みません。
5つのパターン別の残業代は?
残業代は、1時間あたりの基礎賃金に、割り増し分をかけて計算します。今回は、以下の5つのパターンで計算してみました。
- 1日2時間残業を20日間(残業40時間)20時退社(通常残業)
- 1日3時間残業を20日間(残業60時間)21時退社(通常残業)
- 1日4時間残業を20日間(残業80時間)22時退社(月60時間超、深夜残業なし)
- 1日5時間残業を20日間(残業100時間)23時退社(月60時間超、深夜残業あり)
- 休日出勤をした場合:8時間×2日(休日労働)
この場合の残業代および合計の月給(額面)は以下のとおりです。
残業時間が60時間で額面の月給が44万、80時間になると50万円以上に達します。ここまで残業すれば、給与がかなり増えたと実感できる方も多いでしょう。
残業代は本当に得か?注意点のまとめ
残業を増やせば、手取りも増えると考える方もいるかもしれません。しかし、残業にはさまざまなリスクもあります。
ワークライフバランスが崩れる
残業時間が多くなると、ほぼ一日中が仕事メインになり、ワークライフバランスが崩れます。プライベートにかけられる時間が少ないと、家事ができなくなり、部屋が荒れた状態になることも。
決まった時間にゴミが捨てられないため、部屋がゴミ屋敷になるケースもあります。
心身の不調につながる
長時間労働による疲労は、肉体・精神に重大な健康問題が生じることも。最悪の場合は休職や離職につながる恐れもあります。
一時的な過労であれば、その後に休みを取ることで回復できますが、長時間労働が常態化すると危険性が高くなります。
残業代稼ぎを疑われる
とくに周囲がそれほど残業していないのに自分だけが残業していると、残業代を稼ぐためにわざとやっているのではないかと疑われることもあります。特別な理由なく残業をすると、上司からの目が厳しくなってしまうかもしれません。
長時間残業をする場合は、前もって上司に理由をしっかり説明しておくことが必要です。

