札幌に在住する筆者の本格的な自転車歴は9年目。現在もグラベルロード、MTB、シングルギアと様々なジャンルにアプローチし、2020年より旅を目的としてグラベルロードバイクに乗りはじめる。現在も旅と冒険をテーマに活動を続行中だ。
昨年9月にニセコグラベルに出場し、存分にグラベルライドの楽しさを経験してきたことに味をしめ、今年も出場する気満々であったが、開催日の近くで下北への自転車旅の予定もあったため今回は諦めることにしていた。
そんな時、インスタで流れてきた「十勝グラベル」の情報を目にすることとなった。
今回が2回目の開催となる2025年の十勝グラベルの開催日は、9月28日。北海道・十勝エリアの音更町・芽室町を舞台に、ミドルコース60km 登坂高度650m、ショートコース40Km 登坂高度315mの2コースが用意される大会だ。
九月の後半であれば旅が終わったあとの身体の回復に十分な時間もある。60km650mUpのコースはやや物足りなさを感じたものの、山岳コースが多い日本では、登り坂が少なくハイスピードで走れるコースは稀だろう。
アメリカ カンザス州で行われる世界最大のグラベルレース、アンバウンドグラベルという大会がある。いつかYouTubeで見たその映像と、インスタで流れてきた昨年の十勝グラベルで撮影された写真の風景が頭の中でリンクした。情報を知ってからの決断は早く、旅の途中でインターネットを使いエントリーを済ませたのだった。
グラベルロードバイクとは?
ここで、スポーツバイクに馴染みのない人のために「グラベルロードバイク」について少しだけ説明しておく。
スポーツ自転車を大きく分けると、舗装路を走るロードバイク、山道やダートコースを走るマウンテンバイクの2種類が一般的だが、近年、未舗装路を走る事ができるグラベルロードバイクというジャンルが誕生し、ここ数年で一般的にもかなり浸透してきた。グラベルロード=砂利道の意味で、今回走る「十勝グラベル」も未舗装路や砂利道を走行する。
ロードバイクよりも太いタイヤを装着することが可能で、悪路にも対応ができる。ドロップハンドルを装着しているので、ハイスピードでの走行や長距離ライドにも適していると言える。ロードバイクとマウンテンバイクそれぞれの良いところどりをした自転車というイメージだ。
音更町道の駅なつぞらのふる里からスタート
やや前置きが長くなってしまったが、帯広駅近くのホテルに前泊し当日はAM7:00より受付、8:30スタートとなる。
今回は約60kmのミドルコース、約40kmのショートコースの2コースの設定があり、筆者が出場するミドルコースには100名近くが出走する。
マウンテンバイクでのエントリーも可能だが、今回は比較的平坦なエリアが多く、ある程度整備された農道や作業道というコース設定であり、グラベルロードバイクが有利と考えた。
スタートは20名ほどのグループで5グループに分かれ、1分から2分おきにスタートする。筆者は3グループ目のスタートとなった。
残念ながらスタートシーンを写真に収めることができなかったが、自転車のトラブルもなく無事にスタート。 13km先の第一エイドを目指す。第一エイドまでは舗装路となり、出場者にとってはちょうど良いウォーミングアップとなった。
第一エイドで振る舞われたパナレーサー特製のアンパンを食べながら、ここで十勝グラベルのネーミング「TOKACHI ANPANTO GRAVEL」の謎が解けた。解釈はこうだ。十勝→特産の小豆→アンパン……「アンパンとグラベル」なるほど! と納得(?)した。
少し早めの補給となったのだが、このアンパンが実に美味しい。広大な景色のなか、伸びのびと歩き回る馬たちを眺めながらいただくアンパンは格別だった。
第二エイドに向けて出発
天気は晴天で気温は26℃。自転車で走るには最高の条件だ。そしてここから第二エイドまで(約30Km)がこの大会の核心部である。 放牧された馬達に見送られながら早々に出発。
ひらけた視界、乾燥した秋の空気、直線で平坦な長いグラベルロードを時速30km程のスピードでペダルを回し続ける。想像通以上、期待を上回るコースであった。 しかし、楽しいだけで終わらないのが大会というもの。 いくつかの緩やかな登り坂は極端にスピードを落とすこともなく超えていくことができたのだが……
なんとなくこの調子で最後まで走れるのでは?と油断していたところに現れたのが遠くに見えるこの登り坂だ。(下写真)
事前に昨年の大会で撮影された写真を公式サイトでチェックしていたので、ある程の覚悟はしていたが、実際現場で見てみるとスケール感に圧倒されてしまう。
浮き上がる玉石にやや手こずりながらも、息を切らせながら二人とも登りきることができた。
坂を登り終えたところでサイクルコンピュータをチェックすると、まだまだ登坂が残っていることがわかった。これで終わりのはずがない。
足を使い切らないようにやや慎重になるのだが、再び長い直線、青い空、ハイスピードで立ち上がる砂埃。この状況でアドレナリンを抑えて走るのは不可能だった。
平坦なコースは相変わらず時速30kmのハイスピード。体力を温存しなければならないとわかっていながらも、勢いを落とすことができなかった。
そして再び現れた登り坂。公式サイトで見た壁みたいなやつ。これだ! 最初の登り坂の倍以上はある。
ハイスピードで散々足を使ってきてからのこの登り。まんまとハメられてしまった。(誰に?)
考えていても仕方がない。行くしかないのだ! 気合いを入れ直し、勢いをつけて走り出したところに本大会公式カメラマンで友人でもあるNB氏が笑顔でレンズを向けていた。
カッコ悪い写真は撮られたくない!できる限りの余裕を醸し出し、引き攣った笑顔でなんとか登りきったが、頂上では呼吸が大きく乱れ、心拍数は爆上がりだった。
激坂との戦いを終え無事ゴール!
この後もいくつかのアップダウンを走り第二エイド、第三エイドで補給を終えた。すでに足の筋肉がパンパンに張っているのがわかる。
登り坂が少ないとは言え、平坦で温存できなければ結果的に足に疲労が溜まる。勢いだけに任せて走ってしまうと後半がしんどくなる。
あたりまえの事だがこれも良い経験となった。そして今回もなんとか笑顔で無事ゴールすることができた。
第三グループでスタートしたがゴールは比較的早い方だったと思う。本大会はレースではないので決してスピードを競うものではないが、自分の体力、脚力がどの程度のものなのかという一つのバロメーターになる。今までの経験からグラベルロード=山道という概念が覆される経験となった。
開催地について
本大会のスタート地点である、音更道の駅なつぞらのふる里までは札幌から高速道路をつかって約2時間半、関東圏からだと羽田空港から帯広空港への直行便が出ている。
帯広市街地から、音更道の駅なつぞらのふる里までは約10km程度。帯広空港からでも自転車で移動できる距離にあるため、交通のアクセスは非常に良いと言える。広大な土地を活かした今回のコース設定は日本国内ではそう多くはない。そういう意味でも貴重な経験ができることと思う。
グラベルロードバイクに興味のある方は、来年の出場を検討してみはいかがだろうか。極上のグラベルライドを是非体験してほしい。
そして筆者の今後の目標が、来年の「ニセコグラベル、十勝グラベル両方にエントリーし、両大会共に完走する」ということになった。














