芝浦工業大学は9月16日、同学の廣田佳久准教授と須原義智教授らの研究チームが、神経前駆細胞を神経細胞へ分化させる新しい化合物「ハイブリッド型ビタミンK誘導体」を開発したことを発表した。
この誘導体は、神経分化を促すビタミンAの代謝物「レチノイン酸」の構造をビタミンKに組み込んだもので、両方の生理活性を持つ。薬剤の到達を阻む血液脳関門を通過し、脳内に移行することが最大の利点であるという。
実験では、この誘導体が脳内で天然のビタミンKより効率的に神経細胞を増やすことがわかった。さらに脳内に移行後、時間の経過と共にもっとも活性の高いビタミンK2(MK-4)に変換されることも確認でき、脳内で長時間にわたり神経細胞を増やす効果が持続することも明らかとなった。
この誘導体は、神経細胞を失った脳の機能を回復させる可能性があり、根本的な治療法がないアルツハイマー病などの神経変性疾患の治療に新たな道を開くものであるという。今後、進行抑制や症状改善につながる治療薬として、再生医療への応用も期待できる。
同研究は、アメリカ化学会誌「ACS Chemical Neuroscience」に掲載された。
