「大腸劣化」対策委員会は8月7日、世界最先端の老化研究から明らかになった腸内細菌の役割に関する新コラム「PoA(老化スピード)は変えられる!?」を、ウェブサイトで公開した。
同コラムは、世界長寿サミットの責任者の一人で、京都府立医科大学の内藤裕二教授が監修した。
近年、老化研究が進んでおり、抗加齢医学の分野では「老化は一つの病気で、治療も可能である」と提唱する専門家も現れている。老化の度合いは実年齢では測れず、加齢と老化は異なるという。
加齢は時間の経過とともに年齢を重ねる実年齢の変化で、1年に1歳ずつ誰にでも平等に訪れる。一方、老化は年月の経過とともに起こる身体や脳の機能低下で、老化するスピード"PoA(ペース・オブ・エイジング)"は、人それぞれ違うとのこと。
ニュージーランドで行われた研究では、老化スピードが最も速い人は1年に2.44歳、最も遅い人では0.4歳の生物学的年齢の進行が確認され、両者の老化度合いに2.04歳の開きがあった。顔の見た目と体の若さにも相関関係があり、見た目が若い人の方が筋力や内臓、脳などデータ上の健康状態が良く、体の年齢も若いということもわかった。
現在、老化を引き起こす原因となる因子は14項目あるとされている。"腸内細菌の乱れ"はその一つで、腸内細菌叢を若く保つことが加齢性疾患の予防に重要だとわかった。
また、近年提唱されている「腸年齢"gAge(ジーエイジ)"」という考え方についても紹介。多くの研究から、老化スピードが速い人は腸内細菌の多様性が低く、老化スピードが遅い人は多様性が高いことがわかっている。腸年齢の進行を抑える要因は、腸内細菌の多様性と、有用な菌が生み出す短鎖脂肪酸などの代謝物で、逆に老化を加速させる要因になるのが、善玉菌の代表ともいえるビフィズス菌の減少であるとのこと。
ビフィズス菌は腸内で糖やオリゴ糖を優先的に食べて分解(代謝)し、酢酸や乳酸を作る。これらがさらに他の菌のエサになって菌を活性化し、酪酸などの代謝物を作り、腸内細菌の多様性を高める。
100歳を超える人数が全国平均の3倍に上る京丹後地域の百寿者研究によると、ビフィズス菌が多い人ほど正常な免疫機能が維持され、さらに認知症になりにくい可能性も示されたという。






