近年、「注目されたい」という欲求の暴走によって起きるSNSのトラブルが後を絶たず、自己顕示欲は“悪”だという空気が広がっています。しかし、自己顕示欲は本当に悪いものなのでしょうか?
本記事では、自己顕示欲の本質やメリット・デメリットを改めて見つめ直しつつ、「自己顕示欲を暴走させず、うまく付き合うにはどうすればいいか?」を考えていきます。
自己顕示欲が引き起こす、インターネット・SNSトラブルの例
まずは、行き過ぎた自己顕示欲が招いたとされるトラブルの例を考えてみましょう。
SNSにおける迷惑動画
現代では、SNSにおいて「注目されたい」「バズりたい」という思いで個人のアカウントから投稿された過剰な内容が炎上するというケースが多く見られます。一般的な常識やマナーを守ることよりも、「注目を浴びたい」という欲求が上回り、歯止めが効かなくなった行動が世間の目にさらされるのです。
仲間内だけで楽しむ程度であったはずが、世間を巻き込み、やがて個人に対して法的責任や社会的制裁を招く結果となったケースもあります。
他人の自己顕示欲を侮辱
一方で、自分ではなく「他人の自己顕示欲」に対して攻撃的なコメントをすることもトラブルの火種になっています。たとえば、SNSで自撮り写真や日常の報告をする人に対して「承認欲求が強すぎる」「痛い投稿だ」と揶揄するケースです。
他人に迷惑をかけている内容でもないのにこうした否定的な言葉が投げかけられると、投稿者を深く傷つけるだけでなく、ネット上での口論や誹謗中傷に発展しかねません。
「目立ちたい」「見られたい」の正体は? 自己顕示欲を示したくなる理由
そもそも、なぜ人は自己顕示欲を示したくなるのでしょうか? 自己顕示欲について考えてみます。
自己顕示欲は誰しもが持つもの
勘違いしないでいただきたいのは、自己顕示欲は人間が持っている「自分を知ってほしい」「認められたい」という自然な感情です。決して特別な人だけが持つものではなく、誰の心にも存在しています。
社会生活を営むうえで自分を表現することは必要であり、適度な自己顕示欲はモチベーションアップや人間関係の活性化につながります。SNSの例から「若者特有の未熟な欲求」だと思われがちですが、大小の差はあれど、全ての人に持ち合わされた感情なのです。
手軽に表現できるツールがあふれている
近年はSNSをはじめとする発信ツールの普及により、誰もが簡単に自己顕示欲を表現できる環境が整っています。写真や動画を投稿すれば、瞬時に多くの人の目に触れ、コメントや「いいね」で反応が返ってきます。「周りの人もやっているから」という理由で、投稿のハードルも高くありません。
スマートフォンの普及によって今の気持ちをすぐに共有できる状況が、自己顕示欲を刺激する大きな要因となっています。
他人への嫉妬・憧れ
自己顕示欲が強まる背景には、他人への嫉妬や憧れといった感情があります。職場での同僚の活躍や、友人の華やかなライフスタイルを目にしたときに「自分も評価されたい」「負けたくない」と感じることは自然なことです。
こうした感情が自己顕示欲を刺激し、「自分を良く見せたい」という思いにつながります。
自己顕示欲は“悪”なのか
自己顕示欲は誰しもが持つ感情。SNSによって悪い側面に注目されがちですが、自己顕示欲そのものが“悪”というわけではありません。
「自己顕示欲が“悪”なのか」、もう少し深掘りしてみましょう。
自己顕示欲のポジティブな側面
自己顕示欲は単なる「目立ちたい」という感情ではなく、人が社会の中で自分の存在価値を見出すための原動力でもあります。芸術やスポーツ、学問の分野で成果を残した人々の多くは、「自分を認めてほしい」「評価されたい」という欲求をエネルギーに変えて努力を重ねてきています。
また、自己顕示欲は人間関係の形成にも役立ちます。自分の考えや経験を表現することで、同じ価値観を持つ人とつながるきっかけになったり、新しいコミュニティが生まれたりするのです。つまり、自己顕示欲は人を成長させ、社会に貢献する行動を後押しする力にもなり得ます。
行き過ぎた自己顕示欲は周囲に影響を及ぼす
一方で、自己顕示欲が強すぎると周囲に負担や不快感を与えることがあります。過度に自分を誇示したり、他人を否定してまで注目を集めようとしたりすると、人間関係にひびが入ることも少なくありません。
また、自己顕示欲が暴走すると、ルールやマナーを破るどころかその存在すら忘れてしまい、トラブルの火種になり得ます。
SNSで過剰な投稿がみられる背景
SNSで自己顕示欲が過剰に表れやすいのは、その仕組みに大きな要因があります。SNSは、投稿すると「いいね」やコメントといった反応がすぐに得られるため、短期的に承認欲求を満たすことが可能です。この即時的なフィードバックは快感をもたらし、さらに投稿を繰り返したくなるサイクルを生み出します。
アルゴリズムによって反応が多い投稿が拡散される仕組みも、より強い刺激的な表現を促す要因となります。こうした環境が、自己顕示欲をコントロールすることを難しくしているともいえるでしょう。
自己顕示欲とうまく付き合う方法
自己顕示欲が原因でトラブルを招いた人は、最初からそれを望んでいたわけではありません。気づかぬうちに巻き込まれてしまわないように、気をつけたいポイントを紹介します。
自分を客観視できるようになる
自己顕示欲に振り回されないためには、まず自分の行動を客観的に見つめ直す習慣が大切です。投稿や発言をする前に「これを見た人はどう感じるだろう」「ただ注目されたいだけになっていないか」と一度立ち止まるだけで、不要なトラブルを防げます。
第三者的な視点を取り入れ、行動が及ぼす影響や結果について冷静にイメージしてみましょう。
ストレスに注意を払う
ストレスや不安が強いとき、人は承認欲求を満たそうとして過剰に自分をアピールしてしまいがちです。誰かに認めてもらわないと不安という状態に陥ると、自己顕示欲が暴走しやすくなります。
心身の健康を整え適度にリフレッシュすることが、欲求をコントロールする第一歩ともいえるでしょう。ストレスの原因を把握し解消方法を見つけることが、自己顕示欲とバランスよく付き合うために欠かせません。
自己の内面で評価できる目標設定をする
外部からの「いいね」や称賛ばかりを基準にすると、常に他人と比較して疲弊してしまいます。そこで有効なのが、自分自身で達成感を得られる目標を持つことです。たとえば「昨日より早く仕事をこなせた」「新しい知識を身につけた」といった内面的な成長に注目すれば、承認の有無にかかわらず満足感を得られます。
内側からの評価軸を育てることで、自己顕示欲を健全な自己成長へとつなげることができるのです。
自己顕示欲は悪ではなく、使い方が大切
自己顕示欲は誰もが持つ自然な感情で、努力や人間関係を前向きに広げる力にもなります。ただし行き過ぎればトラブルの原因にもなりかねません。
大切なのは、客観的な視点を持ち、健全に表現すること。上手にコントロールすれば、自己顕示欲は人生を豊かにする味方となります。




